全然、ノープロブレム
ライブ : 花田裕之 “流れ” (所沢・MOJO、2023年2月19日)
春とは名のみの2月半ば過ぎ。にもかかわらず、この日の所沢の最高気温は17°c。夕方でもまだ暖かい。西武線所沢駅から会場のMOJOまでは歩いて15分ほどで到着。MOJOは3年半前、夏に今回同様「流れ」を一度観に行ったきり。2021年に移転したという新店舗はこの日が初めて。建物2階の店の中はまだぴかぴか。レモンではなくライムを添えたシャーリー・テンプルを飲む。往年の名子役の名前のノンアルコール・カクテル。おいしくて、珍しくおかわりしてしまった。私はお酒を飲まないので、ノンアル・メニューが充実しているのは嬉しい。
さて、ライブは18時に開演、休憩を挟んで終演は20時25分ごろ。アンコールも含め時間いっぱいたっぷり堪能。演目のおそらく1/3ぐらいがサンハウスのカバーだったように思う。この割合が高いのかそうでないのか、偶然なのか何なのかはよくわからない。けど私にはやはり、鮎川さんのことが浮かんできてならない。鮎川さん、今ごろ天国にたどり着いて、シーナとゴキゲンにロックンロールしてるんだろうか。思いは尽きない。
この晩の「流れ」は、見せどころも聴かせどころも、花田さんらしいペースできちんと押さえられている感じで、個人的には充分合格点。ただ、ギターが突然、森の中で迷子になりかけたような印象も散見したので、その辺は聴き手に委ねられるかもしれない。また、歌い出しに喉が絡んで声が出にくそうな場面も見受けられた。とはいえ、特に大きなミステイクがあったり、ノリが悪かったりとかいうわけではなく、むしろライブ後半には曲に合わせて手拍子が聞こえてくる盛り上がりさえあった(「流れ」では割と珍しいのでは?)。いつも通り淡々と渋いギターとボーカルで楽しませてくれたステージだったと思う。全然、ノープロブレム。でも、喉は大切にしてほしい。花田さんにはずっとギターを弾いて、歌い続けてほしいから。
「魅惑の宵」に思わずクスリとさせられてしまった。本来なら「僕」が歌うセレナーデに「君」が気を失う、という内容の歌詞。それがいつの間にかセレナーデを歌うのは「君」で、気を失うのは「僕」になっていた(笑)。なんとお茶目でかわいいイタズラ。それにしてもこの歌詞変更、自分が今まで気がついていなかっただけなのか。あるいは空耳だったか。(もし空耳だったらすみません。)
「ロックンロールの真っ最中」、「新型セドリック」。ずしりと重いんだけど、そのぶん跳ねるというか、伸びるというか、響いてくる感じがとてもいい。もっともこれは、今回聴いたどの曲にも当てはまることだと思うが。
最後にどうでもいい話を。「祭りばやしがきこえる」の最中、ずり落ちてきたシャツの袖を慌ててたくし上げた花田さん。いつもは長い袖の下に隠れている腕が肘までむき出しに。露わになった腕の白さに不覚にも胸が高鳴ってしまった。何かいけないものを見て申し訳ないような、めったに見れないものを見て得したような…。しかしながらこういう「事件」も全然、ノープロブレム。歓迎いたします(笑)。