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光る稲妻か、轟く雷か

CD:「KAMINARI」 The Roosterz(1986 年/コロムビア)
(2018年発売のUHQCD版によせて。2018年10月投稿のAmazon CDレビュー(削除済)を加筆修正)

このアルバムの良さ、凄さは、もう既にオリジナル盤を始め、過去数回に渡る再発盤、さらに今回のUHQCD盤のレビューなど、あちこちで語り尽くされていると思う。

だから自分としては、すべてに目を通したわけではないけれど、それぞれのレビューに賛同と尊敬を込めて、「いいね!」なり「役に立った」ボタンなりをクリックすればよいだけなのだが、私自身もこのCDを手にしたところで、冗長にならぬよう手短に感想を書かせていただきたい。

言いたいことは、つまり、いい音楽は1986年にレコードの針を落として聴いても、こんにちCDのPlayボタンを押して聴いても、いい音楽なのだな、ということ。(今やCDというメディアも、すっかり古い部類に属しているとは思いつつ。)

30年ぶりに聴く(元)ファンの贔屓目にみても、驚くことに古びて錆びた感じがまったくない。長い間の封印ののち、久方ぶりに紐解いて鞘からスラリと抜いてみても、稲妻の閃光の如く、相も変わらず鋭い光を放つ刃物のような感触。

いや、違う。

このアルバムはあくまで「カミナリ」で、光る稲妻のように視覚で語られるものではない。聴覚即ち「音」で語られるのがふさわしい。目を固く閉じ、顔を背ければ稲妻は見ずに済むかもしれない。しかし、そこにいる限りは、どんなに強く手で耳を覆っても、あの音からは逃れることはできない。きつく閉ざした指の隙間から、いや、身体中のあらゆる皮膚を強引に突き抜けてさえ、彼らのカミナリはおかまいなしに感覚の中に入り込んで来る。

このロックを、私は「聴く」のではなく、このバンドに「聴かされて」しまうのだ。それほどに彼らのこの音は強い。

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