和製ジャズ温故知新.再編Vol.10/CBナインと舶来主義
1952年から起こった戦後のジャズブームは55年には下火になる。
52年ジンクルーパトリオ、53年ルイ・アームストロング・オールスターズ、JATPオールスターズと相次いで来日し、日本のジャズファンは本場の圧倒的な演奏とスイング感に打ちのめされるのである。
そこで日本のジャズファンの中に起こったことは、ジャズはアメリカ!という舶来主義派と日本のジャズを大切に!しようと言う国内支持派に皮肉にも分かれてしまい、そのことが原因となりジャズブームは下火となっていく。
その欧米に偏った舶来主義は2024年の現在でも続いている。
そんなこととは関係なく、ジャズの追求に余念のないミュージシャンはジャズブームが来る前の1949年、本格的なビ・バップバンド「CBナイン(クランベークナイン)」を結成する。
中心にはリーダーで編曲もやる馬渡誠一(as)、海老原啓一郎(as)、北里典彦(tp)、清水閏(じゅん)(ds)。戦中は敵性音楽として禁止されていたJAZZが、戦後なだれのごとく入って来て、それを受止めるミュージシャンも大変だったに違いない。
そのJAZZの流れを的確に読み、いち早くバップ・イディオムを身につけた馬渡誠一や海老原啓一郎は一歩先を行く存在だった。さらにジーン・クルーパに酔っている時代にビ・バップのリズムをたたき出そうとした清水閏(Dr)の存在も大きい。このグループには松本英彦(Ts)も在籍した。
CBナインは大きな功績を残すも2年間の活動で解散となり、ジョージ川口とビックフォー、渡辺晋とシックス・ジョーズ、与田輝雄とシックスレモンズを頂点とするジャズブームにつながっていく。
映像はCBナインのメンバーを中心に編成された、スイング・ジャーナル・オール・スターズ。
『スイング・ジャーナル・オール・スターズ』
北里典彦(tp)
林 一(tb)
海老原敬一郎(as)
厚母雄二郎(ts)
松本英彦(ts)
塩井芳幸(bs)
寺岡真三(p)
荒井襄(g)
小原重徳(b)
清水潤(ds)
安藤八郎(vib)
馬渡誠一(comp,arr )
次回Vol.10に続く。