和製ジャズ温故知新.再編Vol.14/和製ジャズ誕生
1961年「祭りの幻想」というレコードが発売されている。
演奏は時代の寵児と言われていた白木秀雄クインテットである。
メンバー:小俣尚也(tp), 松本英彦(ts,fl), 世良譲(p),栗田八郎(b), 白木秀雄(ds),白根きぬ子(琴)※「祭りの幻想」のみ参加1961年録音
このレコード、一口で言うと和洋折衷のジャズ。
しかし、戦後から続くジャズブームの熱い息吹がある。この曲「祭りの幻想」を書いたのがピアニスト八城一夫である。
書いたのは58年位らしいが、58年というとマイルスがモードジャズ「マイルストーン」を発表した年である。日本でもモードによるアプローチが始まっていたのである。
しかし、アプローチと言っても本質的なものではなく、琴をジャズに組み込むなど安易な手法とも言えなくもない。
戦後のこの時代、ほとんどのミュージシャンがアメリカに追いつくことを第一に考えていた時代に、日本人のジャズを作り出そうとしていた空気は非常に読み取れる。
このアルバム名盤と言われるが、しかし、このジャケットすこし安易すぎる・・・。
クラシックの分野で、日本人では武満徹がジャズの手法を取り入れ盛んに映画音楽を作曲している。
その中には「他人の顔」「ホゼトーレス」等デュークエリントンのハーモニー手法を取り入れ、メロディーを日本情緒豊かに作られた曲が多く見られる。日本人にとってもまだまだ夢のある良い時代だったのである。
次回Vol.15に続く。