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#27 NPO法人久高島振興会理事長 西銘 武良(にしめ たけよし)さん
南城市の安座真港からフェリーで約25分。周囲8キロの小さな島、久高島は、琉球王国時代より「神の島」として特別な存在として崇められてきました。久高島は、琉球開闢(りゅうきゅうかいびゃく)や五穀発祥にまつわる数々の祭祀が今なお息づいており、古来の文化と自然が共存する貴重な場所です。
今回、お話をいただくのは、久高島で生まれ育ち、島の文化と歴史を知り尽くした 西銘 武良(にしめ たけよし)さん です。
西銘さんは、現在NPO法人久高島振興会の理事長として島の振興に尽力する傍ら、久高島ガイドとして日々観光客を迎え入れています。
西銘さん、前半です。
観光施設と活動
ーーはい、本日はですね、初めて南城市に来てから、島を渡りまして久高島に来ておりまして。本日ご登場いただくのはこちらの方でございます。ご紹介からお願いできますでしょうか。
「はい、みなさんこんにちは、こんばんはですかね。NPO 法人久高島振興会理事長やらせていただいてます、西銘武良(にしめ たけよし)と申します。よろしくお願いします。」
ーー理事長、緊張しなくて大丈夫ですからね、いつものままやってくださいね。あとで編集しますからまったくもって大丈夫。
NPO法人の設立と運営
ーー本日はですね、久高島振興会の西銘理事長にお話をいただきたいと思っております。西銘さん、理事長としてどんなお仕事なさっていらっしゃるんですか。
「基本的にはその宿泊交流館とか、あとはレストランとくじんと、また安座真売店、久高売店をうちが運営してます。」
ーー売店の運営。
「はい、管理というんですかそういったのをやってますね。」
ーーNPO法人なんですね。何年前にできてらっしゃるんですか。
「久高島振興会になったのはですね、平成13年だったと思います。その前にはですね、久高振興会ということで、えっと13名の責任会員でですね立ち上げたんですよ。建物自体は南城市のですので、運営する場合に責任会員ということで、要するに金がないわけですか、運営がちゃんといけるまで、13名で毎月1万出して36万円でしたね、これでやり始めて、当初はですね、4年ぐらいは赤字です。その後から黒字になってきたもんですからやっぱり税金関係というかね、対策と言ってねNPO法人にしたんですよね。」
訪問者数と国籍 ーー私も初めて久高島にお邪魔させていただきますが、久高島なるところは年間どのぐらいのお客様がいらっしゃってますか。
「あのですね、総合事務局、久高海運の資料によるとですね、7万人ぐらいってますね、年間。」
ーー年間7万人。
「そのうちの2割弱が久高関係ですから、観光のお客さんとしては5万ちょっとぐらいじゃないですか。」
ーー5万人のお客様がいらっしゃっている。泊まられている。
「泊まるお客さんですか、それちょっと把握しないんですが、基本的にはですね、日帰りが多い。」
ーー5万人の方の日帰りが多い。
「泊まるのは1割もいるかどうかですよ。」
ーー1割いたとしたら5000人が泊まっているということですね。先ほど。
「感覚ですよ、ちゃんとしたデータではない。」
ーー外国人の方がちょくちょくいらっしゃっていると聞いたんですが。
「たまにいますね。」
ーーたまに。お客様の国別で言いますと、どんな国が多いんですか。
「久高に来るときですね。コロナになる前はですね、あの韓国とか 台湾か中国はわかりませんが多かったですけど、最近は西洋の方とか多いですね。多いって言っても昔みたいにいません。」
ーーコロナの前の方が多かった。
「そうです。」
ーーコロナの前と比較しますと、どのくらい減ったという認識ですか。
「それちょっととわかりませんけど。そんなに多くなかったんですが、ただ団体であの旅行社の団体で来る方が多くて、まぁ日帰りですよね。」
ーーじゃあえっと船で来て、ザザザーッと見て夕方に帰るみたいな。
「すぐ帰る。ですから基本的には久高にあんまり落ちてない。」
ーーあんまり落ちていないってことですよね。それは残念ですね。
「それが悩みですね。」
ーー宿泊のキャパシティを増やすっていうことと、あとは泊まりたくなる理由の開発ということですね。コンテンツをどう作るかと。あのどうなんですか、島自体の人口も減少傾向にある。
「減ってますよ。」
ーー減っている。そうすると宿泊場所の運営とか飲食の場所の運営という観点から、やっぱり人口が増えるような仕組みづくりと言いますか、働く場所づくりが必要なわけですよね。
人材募集と島への定住
「まあ場所一番久高で来て感じるのはですね、人材なんですよ。働く人材。できれば島の出身の子がいいんですけど。今年に入って何名か島の子が働きたいということで面接もやってますけど。島はやっぱり島の。目的が最初の目的が島の人を採用というのがあったんですけど、そうもいかなくてですね。」
ーーなかなか思いはあるんだけど、Uターンしてくれないってことですか。
「そうUターン。一番は住むところがないんですよね、基本的には。長男は自分の自分がありますけど、次男三男になると公営住宅が4棟あるんですけど、ほとんどもう出てない。」
ーー住宅の土地が手に入れにくいとかそういうのがあるんですか。じゃあ次男ですと帰ってきましたと、就職したいですと仕事先もありました、でも住むとこがないですと。
「なぜかというとですね、久高はサラリーマンもいますけど、ほとんど自分で小型漁船持って1週間とかパヤオとかで漁したり、じゃあどこが住んでいるかというと、本島のアパートなんかなんですよ。」
ーーそういうことなんですね。
「それが久高で生活できれば子供たちも帰ってくるし、学校も多いし、ここの人材も確保しやすいかなと思うんです。」
ーー住むとこ問題っていうのがちょっと今・
「と僕は思っています。これ20年前からずっと。」
南城市の魅力と交通の課題
ーー次のご質問に入りたいんですが。南城の好きなところを挙げていただきたいんですが。
「南城の好きなところは、やっぱり歴史観光のまちですので。それで我々はご飯を食べさせていただいていますので、やっぱり歴史観光が好きなところって言うんですかね。」
ーー歴史や観光。歴史があるところが好きだっていうことでいいですか。
「北部はリゾートの街ですけど、南城市は歴史のまちです。」
ーーあえて皆さんに聞いてるんですが、好きでないところ。南城の中で好きでないところ。
「好きでないところは、昔から陸の孤島と言われていますんで、交通の便が不便。最近高速が来るって話聞いてますので市役所まで。あれができればもっといいのかな。交通の不便ですね。レンタカーであればそんなに不便ではないと思いますけど。路線バスとかやっぱり少ないんじゃないかと思って。」
ーーちなみに那覇空港から久高島まで来ようとすると。
「バスですか。」
ーーバスなんですよね。王道は。
ーー運転できないとバスですよね。
ーー結構お時間かかりますよね。
「そうですね。」
ーー1時間。
「バスだともっとかかります。」
ーービーチの船が出るところまで 1時間半くらいかかるんですか。
「那覇から1時間半くらいかかるんじゃないですかね。レンタカーからあれば50分くらいですよね。」
ーーバスで来たとして、そこからさらに船に乗り換えて。
「港まで来れば、あとは15分か25分です。」
久高島への観光と文化行事
ーーいらっしゃる方、先ほど年間5万人という中で宿泊なさる方がその1割だったとすると、その方たちはだいたいレンタカーを借りてきてるんですか。
「が多いみたいですね。だいたい斎場御嶽から久高島にメインで、その関係も多いですね。」
ーーなるほどね、南城を回られて車を港に置いていらっしゃっていると。はい、ありがとうございます。
「久高島好きな方は毎年来る方もいるんです。リピーター。」
ーー毎年来るんですか。
「行事があるんで、行事に合わせてくる方結構いますよ。」
ーーそれは神々の行事と合わせて。
「例えば先月の8月マティということで旧暦の8月の9、10、11、12日、4日間行事だったんですよ、このマティ。これはいろんなグルイとかですね、演武、こういったのがあります。これまた観光のお客見れますので。あとテイラーガーミっていうのが大きい、テイラーていうのは太陽神の祭りということになると思います。50歳から70歳のですね男の人たちが太陽の神様の力をいただいてですねやる儀式なんですよ。」
ーーテイラーガミ。
「テイラーガーミー。」
ーーテイラーガーミー。
「テイラーガーミー(神)ですね。これですこれ。」
ーーはい。テイラー神祭り。
「久高の方言書けないのがいっぱいあるんで。こういう感じの儀式です。あともう旧正月のですね、健康祈願の儀式ですから、これも観光のお客さん、ここも三味線とかまた華やかですのでこれリピーター多いです。」
ーーそうですか、なるほどね。今の好きでないところを確認しますと、交通の便がいまひとつよろしくないよね、というのが南城の好きじゃないところだと。
歴史文化の町としての南城市の未来ビジョン
ーー次の質問なんですが、10年後ですね、この南城というまちは、どんなまちになっていたいですかね。
「歴史文化のまちでありますので、この歴史のまちとしてですね、ずっと栄えていけばいいかなと思ってます。」
ーーなるほど、歴史文化のまちとして栄えていってほしいと。
「日本全国、日本全国から来てほしい。」
ーーお客様に来てほしいと。じゃあ日本全国からお客様に来ていただける歴史文化のまちになっているためなんですが、
南城市の認定ガイドに関する活動と価格設定
ーー西銘さんの今のお立場、個人的な見解でも結構なんですが、どんなことができるんでしょうか。
「今、南城市の認定ガイドも持ってますので、このガイドとかですね、歴史を後輩たちに教えて継続できていければいいのかなと思ってますね。」
ーーなるほど、南城市の認定ガイドなる仕組みをこちら久高島でやってらっしゃる。
「そうですね。たまに斎場(御嶽)も行きますけど。久高島は要するにやっぱりこのガイドを、友の会というのもありますのでガイドでご飯を食べている方もいますので、ガイド、たくさんのお客が入れるような、歴史をもっと勉強しながらやっていければいいのかなと思いますね。」
ーーなるほど。今現在で言いますとガイドの方がどのくらいいらっしゃるんですか。
「アマミキヨは僕一人なんですが、友の会というのが6名か7名いますね。」
ーー6、7名の方がいらっしゃる。僕、明日受けるんですよ、ガイド。
「僕がやりますね、ありがとうございます。」
ーーそれはガイド費払うじゃないですか。ガイド費はおいくらですか。
「基本的には2時間コースと3時間コース、2時間で基本は7000円一人プラス一人増えると500円。3時間コースというのが9000円、あと一人増えるごとに500円プラス。」
観光ガイド数の増加について
ーーというような価格設定になっている、ってやられている方が6名とか7名いらっしゃるというのが今日現在ですけども、これを今後歴史文化のまちとして日本中から来ていただくためには何人ぐらいに増やしたいとお考えですか。
「ガイドですか、何人ぐらいですか。」
ーー理事長の希望でいいですよ。
「もうちょっと増えればいいのかなと、団体の時に一人で対応しきれないんで。」
ーー今はそのアマミキヨの時は西銘さんはお一人でやってらっしゃるってことなんですか。
「認定としては会員としては僕だけです。もともと友の会も一緒だったんですが、今は別れて久高島友の会、区長認定になっています。」
ーー久高島友の会っていうのがあって。
「久高島ガイド友の会かな。ホームページにも出して」
ーー実はそれ拝見しています。そこに確か6名ぐらいの方のお名前が書いておりましたけども、それとはまた別に西銘さんの所の所属する会があるってことですか。
「僕、うちは本部は斎場御嶽です。」
ーーああそういうことなんだ、斎場御嶽です。なるほど根本的な質問して申し訳ないですけど、アマミキヨ浪漫の会と久高島ガイド友の会、なんで一緒にならないんですか。
「最初一緒だったんですよ。」
ーー最初一緒だった。分かれちゃった。
「分かれちゃった。向こうが。
ーー向こうが、友の会さんが。
「というのは自分たちの島ですから、やっぱり自分たちでやりたかったんじゃないかろうかと思いますけどね。」
ーーそういうことですか。
「アマミキヨの場合はいろんな勉強会するとき向こうに行きますので、そういったのもあったんじゃないかな。」
ーーなるほどね、そうですか、それ困りましたね。
「僕は困りませんけど。」
ーー人を増やそうっていう観点からすると、そんな、せっかくなのにね、一緒のチームプレイした方が全然いいはずなのに。