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#28 NPO法人久高島振興会理事長 西銘 武良(にしめ たけよし)さん
南城市の安座真港からフェリーで約25分。周囲8キロの小さな島、久高島は、琉球王国時代より「神の島」として特別な存在として崇められてきました。久高島は、琉球開闢(りゅうきゅうかいびゃく)や五穀発祥にまつわる数々の祭祀が今なお息づいており、古来の文化と自然が共存する貴重な場所です。
今回、お話をいただくのは、久高島で生まれ育ち、島の文化と歴史を知り尽くした 西銘 武良(にしめ たけよし)さん です。西銘さんは、現在NPO法人久高島振興会の理事長として島の振興に尽力する傍ら、久高島ガイドとして日々観光客を迎え入れています。 西銘さんの後半です。
観光ガイドの重要性
ーー南城市の斎場御嶽を核としていた先ほどのアマミキヨ浪漫の会から、島のガイドの方たちが今独立なさってやっているというのが現状だけど、西銘さんの立場からすると、もしくは西銘さんのお考えとしては島にどんどんいらっしゃっていただける方たちを増やそうとしたら、ガイドが必要だと思っているということですよね。
「必要だと思っていますし、ちゃんとした島の歴史とかそういうのが分かるんじゃないかと思いますね。ただこれも今回れるんですよ。」
ーースマートフォン見て。スマートフォンでガイドする仕組みというのは日本全国観光地で導入されているのですがやっぱり生のガイドに案内してもらうのが一番なんですよ。]
「リピーターで何回も来て、あとはガイドを頼みますね。」
ーーそうでしょうね。リピーター化する方たちはやっぱり生のガイドに触れたのがきっかけでリピーター化しますので、スマートフォンを見ている方たちはリピートしないです。しないんです。」
ーー場所だけなんですね。 そうですよね、行ってシャシャッと見てねこういうとこだったのでって帰っていくのがスマートフォンガイドの大体王道ですので、なるほどね、ありがとうございます。
DMO(地域観光振興組織)の必要性
ーーDMOの話になります。勉強会にもご参加いただきまして、ありがとうございます。南城市は今DMOを検討しておりますけれども、南城市にとってDMOは必要ですか。それともいらないでしょうか。
「必要だと思いますね。」
ーー必要だと思われる、その理由は。
「歴史を文化を後世までずっと正しく伝えていける、作ってみてくればいいのかなと思います。」
ーー歴史文化を後世まで正しく伝えていくための組織、機能として、観光地域づくり法人がそういうのになってほしい、ということで合ってます。
「それで合っています。」
ーー西銘さんのお立場は。
「よろしくお願いします。」
ーー僕は伴奏者ですので、決めるのは南城市民の皆さまなんですけれども。西銘さんのお立場としては、DMOなるものは必要だと。観光とか文化を後世まで伝えていく機能としてのDMOとして必要だと、ありがとうございます。」
ーー最後になりますけれども、このまちで生まれ育ったお子さまたちが、またできれば久高に戻ってきていただいて働いていただきたいという強い思いをお持ちだと思うんですが。そのお子さまたちにメッセージを先輩からお願いしたいんですけど。
島の過疎化と若者への働きかけ
「島の出身のですか、南城市の。ですから自分が生まれ育った島、もうだんだん過疎化になっていますので、島の年寄りももうだんだん減っていますので、この子どもたちにですね、特に久高は神行事が多いですので、このイラブーもそうですけど、この伝統的なですね行事をやっぱり残すためにはやっぱり若い後輩なんかが島に戻ってきて頑張ってほしいと思いますよね。」
ーー戻ってきて、頑張ってほしい。と。
「はい、あの今あの儀式で三線とかも僕は今ずっとやっていますけど、もう年ですからそろそろ交代時期に来ているのかな、と。そのためにいろんな行事を。その時に今来ています。これがもうなくなるか続くかというのはこの10年ぐらいでも決まってくるのかなと。」
ーーそうですね。
「そこまで危機感を持っていますね。」
ーーなるほどね。そのためにも若い方たちにぜひ戻ってきて。
「そうそう。」
ーーちょっと突っ込みますが、どうしたらいいですか、若い方たちに戻ってきてもらうには。結局どうしたらいいんですか。
住宅建設と島への人口誘致
「さっきから言ってますけど。住宅ですよ。」
ーー住宅。
「要するに住宅。結婚した方々が住宅があれば戻ってきますから人口も増えるし学校も子どもで、もし嫁さんなんかはうちの振興会なんかでも働くんじゃないかなと思います。」
ーーなるほど。住宅だけの問題だったら結構簡単な話じゃないですか。住宅建てればいいんじゃないですか。
「金をどうするんですか。」
ーーだって賃貸業でやったら何年か2,3年ぐらいとか、4,5年とかで回収スキームに持っていけるじゃないですか。
「それはもう住宅建てる人の考えなんで。これ琉球王国時代からの制度、要するに久高は個人の土地ありません。」
ーーー個人の土地がありません。
「あるんですか。字久高区の土地を借りてるんですよ。」
ーー久高区の土地を借りてる。
「ですから勝手に売れない。」
ーーなるほど。
リゾート地開発と土地利用
「ですから大型リゾートが入れないのこの辺にあるのかなと。もし、個人的にもしこの土地総有制がなければ地割制度がなければ、大型リゾートが入ってくるんじゃいかと思います。これ久高島だけです。」
ーー西銘さんのご自宅は区から借りてるってことですか。
「そう。」
ーー借りてるってことは土地代を払ってるってことですか。
「土地代は固定資産税が出るから入ってるんでしょうね。」
ーー税金はお納めになってらっしゃるわけですね。
「ただ畑に関しては字が払ってると思います。字久高。」
ーーじゃあ新しく僕、横浜の善井さんがですね、久高いいと久高に家持ちたいんだと思ってもこの人来れないわけですよね。
「そう、この地割制度はですね、基本的にはリゾート感覚でですね土地借りようとしたらダメなんですよ。あくまでも久高の人。30年ほど前にですね北海道から来て久高に永住することで土地貸したんですけど、子供たちが高校に行くことになった時に全部出ていったもんですけど、久高の子や孫が多い、子や孫がさっきの住宅の話に出ましたけど、長男は自分の実家がありますけど、長男さんになると土地は借りれることができるんです。土地管理委員会というのが字久高のここに申請してここで吟味してですね、よっぽど悪いことをしていなければ大丈夫です、ここでオッケーでれば今度は字総会で、今100坪ぐらいですね。借りられます。」
ーー100坪借りて、そこに借りられれば家は建てようと思えば建てられる。
「金があればですよ。」
ーーもちろん。
地割れ制度と土地所有権
ーーもうひとつ、地割制度というのはですね、もともとは16歳から70歳、正しい小人と言って大人なんですよ。大人なので男の人を10組に組み分けしたみたいですね。組み分け10組。その組み分けした土地は今度15等分。いい土地もあれば悪い土地もあるので、これうまく噛み合わせということで、これが約300坪割り当てられている。これが子や孫に引き継がれています。高齢者の島ですが北に行けば行くほど土地が荒れてますね。荒れてる、返さないんですよ。」
農地と土地利用
「返さない。字に返せばいいんですけど。」
ーーなるほど、借りたままになっちゃっている。
「そうそう、ということは子や孫のために残そうというのがあるのかなと個人的に思いますけど。子や孫のためにこの辺は歳取っても95、96年でもやってますけど、北はほとんど畑として機能してない。」
ーー機能してない、土地は借りてるんだけども、畑としては使ってないので荒れ放題になっちゃってると。
「人によっては自分も畑できないんで身内のものに譲るかと思います。これは別に身内に言っても権利は大丈夫です。」
ーーそれは例えば農地専用地みたいなのあるじゃないですか、この土地は農業だけしかやってはいけません、みないな。
「こういうのはないです。」
ーーないですか。
「ないです。ただ、ノロ。ノロの畑は一般の人は使えない。ヌンジー(ノロの地)って言ってやっぱりこれ王府からの与えられたあれですから、これはまた別。」
ーーある意味ずっと守られてきた良い側面があるんだと思うんですけども、なかなかそこが能動的に動きにくいということですよね。
「ただですね、沖縄県が土地改良結構あちこちしてるんですよ、その土地改良は厳しかったみたい。要するに一人一人了解を得ないといけないから、土地改良できたらいいんですよ。そういう難点もあったという話を聞いたことがあります。」
ーーじゃあもう本当に何百年前に決まったままになっていると。
「一人一人確認しないといけないから、そういう話を聞いたことがあります。ありがとうございます」
住宅問題と久高島
ーーこのインターネットで配信している番組、南城市内の方が聞いていただける方がほとんどだと思います。久高島は住宅で困っているそうなので、ちょっとお金が余っている方はぜひ久高で家を持たせていただきたいと。あと言い残したことないですか。言い残したこと、これだけ言っておきたかったんだ前々から、みたいな。
「言い残したことはないですねもう。」
ーー住宅だけですか。
「住宅だけ。住宅。」
ーーもう西銘理事長言い残したことが。
「もっと久高に来ていただいて宿泊していただきたい。」
ーーそうですね。
「綺麗な朝日見て、一番最初に朝日が出る島ですから。」
ーーそうですよね。
「その朝日を拝んでから、健康、だいたい久高の行事は健康祈願が主ですので、健康になって百二十歳まで長生きしていただけるような、なればいいかなと思いますね。」
ーーなるほど。
「綺麗な朝日、宿泊をよろしくお願いします。」
ーー私も明日の朝日を見るのを楽しみにしております。ありがとうございました。 本日はNPO法人久高島振興会の西銘武良理事長にお話を伺いました、ありがとうございました。
「ありがとうございました。」