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#20 ホテル百名伽藍オーナー兼総支配人 渕辺美紀(ふちべみき)さん

ホテル百名伽藍は、琉球創世神話の舞台として知られ、自然と歴史が深い南城市玉城百名に佇むリゾートホテルです。2011年に開業し、「旅行業界のアカデミー賞」とも称される「「ワールドラグジュアリーホテルアワード」を10年連続受賞、また、アジア初の「ミシュランキーホテル」にも今年選ばれました。

今回は、ホテル百名伽藍オーナー兼総支配人の、渕辺美紀(ふちべみき)さんにご登場いただきます。

渕辺美紀さん、後半です。

未来の町の理想像

ーーここの百名伽藍さんは初めて12年目なんですが、10年後ですね、2034年、この町はですね、どんな町になっていたらいいなと思われますか。

南城市の魅力

「そうですね、今申し上げましたけども、西海岸にはない自然が残っていて、またそういう空気感があって、それから独自の歴史、そういったものを持っている市ですよね。

そういうものが一貫して、南城市の魅力特色が目一杯あって、その魅力で惹きつける、どこに行っても南城市らしさが感じられる。自然と建物と人の接客といいますか、応対の仕方とか、そういったものが面としてつながっているまちだったらいいなと思います。」

ーーなるほど、南城市らしさが。どこに行っても感じられる。

「どこに行っても、やっぱり南城市だよねっていうような、そういう言葉が出るようなまちになっていればいいですよね。」

南城市の魅力を発信する取り組み

ーーなるほどね。

そんなまちにしていくために、今のお立場としてなのか、個人的な思いでもいいんですけど、こんなことができるといいなとか、もしくはその事業としてこんなことをやりたいみたいなのはありますか。

「基本は、やはり私たちは会社のコンセプトとして沖縄の魅力を発信するという、沖縄の歴史文化、魅力を発信するというのが会社のコンセプトなんですけど、それプラスやっぱり南城市の魅力を発信するということもこれからもっと強化していかないといけないなと思います。

同時にユニークベニューですね、そういったものなんかももっと南城市でできるんじゃないかなと思うんですよ。

例えばこれから先、観光客インバウンド含めてですけど、富裕層といったらあれですけど、そういった方たちが来て、例えばちょっと違う町ですけど、スーパーヨットで来たお客様たちを連れてきてユニークベニューでここでもてなすとかね、そういうことができればいいなと思います。

安座真サンサンビーチとかありますでしょ、空いたところで、それこそ夕暮れからサンセットを見ながら、シャンパン飲んでゆっくり海を見ながら、南城市のいろいろな材料でお食事を提供してっていう、そういったことなんか十分できると思うんですけど、だからいかにして高付加価値をつけて、それから消費額を高めていくか、南城市にお金を落としていただけるかって、その仕組み作りをやっぱりホテルとしてもやっていきたいですし、そのためには官民一緒になってユニークベニューみたいな取り組みとか、こういったものもまだできるんじゃないかなと思うんですけどね。」

ーーそうしますと、百名伽藍さんに泊まっていただいたお客様に、より体験としての付加価値の高いもの、言い方を変えますと、ここでしかできないものっていうのが提供されていて、ここでしかできない体験であるがゆえに多少高価格帯であっても、ぜひやりたいというような流れを作っていくということですよね。

「そうですね」

ーーありがとうございます。

「これから多分人材不足はそんなに解消するとは思えないじゃないですか。

そうであれば生産性を高めるって言い方おかしいですけど、そのためにも高付加価値をつけて、そういう層に持っていかないと、やっぱりそれこそ一人一人の所得も上がらないわけですし、そこに持っていくべきだなと思うんですけどね。」

ーー素晴らしいと思います。

観光地域づくりと地域経済の持続可能性

ーー僕、こういう観光の地域づくりをやる専門家という立場でして、もう20年ぐらい地域づくりを担当させてもらっているんですけども、私が持っておりますのは、旅をする人も迎える人も幸せになる仕組みづくりをやろうと思っています。

そうしたときに重要なことは、当然お金を落としていただける仕組みづくりが作られて、お金が落ちていくので、最終的には働いていらっしゃる方の賃金が上がっていく。

マストなんですが、それで労働時間が伸びちゃいけないと思っているんですよ。

落ちるお金が増えたんだけども、労働時間が長くなっちゃったというのは、イコールオーバーツーリムズの設計になりますので、南城が今後観光というところで進もうとしたときに、そういう地域づくりをやっちゃいけないなと思っていまして、たぶんこれから南城市さんが進もうとしている中でも、旅する人が幸せなのはある意味では当たり前なのですが、地域の経営者の皆さまとか、働いている皆さまが、俺たちだんだん幸せだなという実感値を上げていけるような、お金の面だけじゃなくて、働ける喜びというのを作っていければいいなと思っております。

「私も、やはり観光というのは一つの大きな産業ですから、大きな基幹産業でもありますし、観光客が良し、それから事業者が良し、それからそこに住んでいる方たち、市民、個人も良しという、そういう環境を作っていかないと本当に持続的な観光はできないと思うんですよね。

だから、個人の方たちも、今おっしゃったけども、オーバーツーリズムだったらやっぱりそこは弊害になる方たちもいらっしゃるでしょうから。

だけども、規模の大小問わず自分たちが生産しているものが、個人でもそれが何か流通に回るとかね、そういう枠組みができたら、そういうお互い良いものをシェアできるような環境ができればいいなと思いますよね。」

ーーそうですね。

南城市はそもそもですね、僕が今日何でここにいるかと言いますと、今、観光地域づくり法人、DMOを今検討しておりまして、今、いろんな市民の皆様、事業者の皆様にお話を聞いております。

観光の必要性と活性化

ーー渕辺さんの率直なご意見を伺いたいんですが、南城市にDMOがそもそも必要なのか、いらないんじゃないのかみたいな、そこはどのようにお考えでございますか。

「私は必要だと思います。」

ーー必要だと思う。

それはなぜ必要だと思われますか。

「さっき申し上げた、これだけ素晴らしい資源があるのに、まだそういった観光の目線からの発信力、商材一つですけど、まだ薄いという感じがします。

皆さん一生懸命努力、一生懸命頑張っていらっしゃるけれども、もっとそれをパワーアップして、県外、海外に発信するということも必要じゃないかなと思うんですよね。

で、どこでしたっけ、長野県でしたっけ、上田市かどこかが、インバンド富裕層がすごく今来ている事例が、数ヶ月前でした、テレビであったんですけど、白馬でしたっけ、それも結構10年以上にかけてDMOが一生懸命誘致した結果ですよね。

だから少々時間がかかったとしても、その先、それこそ10年、20年先への南城市にとって、どういう形態を作っていくかということは、どういう形態でここを活性化させていくかということは、やはり今取り組むべきことかなという気がするんですよね。

ただ観光協会もありますでしょう。だから観光協会とか関連するそういう組織との連携とか、それは不可欠ですし、そういった意味では、ほんとに地元への深い理解と愛情を持ったDMOを作ってほしいなと。」

ーーーありがとうございます。

「作るんだったら。」

ーーその通りなんですよ。

やっぱり地域の皆様が、この場所を愛し、この先の未来を考えて、真剣に考えるという組織が求められている、司令塔の姿だと思いますし。

地域への愛情と組織形成

「そうですね。きつい言い方をすると失礼だと思うんですけど、いわゆるコンサルが外から入ってくると、同じペーパーを表紙だけ変えて、どこでもそれを使うみたいなのがあるじゃないですか。それはやっちゃいけないと、と思うんですよ。」

ーー時々変換を間違えちゃってね。

前ので地名が出ているというケースがありますけれども。

「だから本当に地域に深く入り込んで根ざして、地域の方々も喜ぶような形で動かしていかないといけないなと思います。」

ーーありがとうございます。最後に、このまちで生まれ育ちまして、このまちで働いて育っていくお子さんたちが、南城て割と人口が減っていなくて、0歳から15歳までの伸び率で言いますと、沖縄県で3番目か4番目なんですね。というお子様たちの層がいるんですけれども、先輩として、お子様たちにアドバイスがありましたらお願いします。

「南城市は本当に素晴らしいところです。他のまちにない、他の市にない歴史を持っています。素晴らしい自然もあります。だからこそ、自分たちの生まれたところ、自分たちの地域に誇りを持って、そしてそれをまたつなぐ人材になってほしいと思います。」

ーーつなぐ人材にね。誇りをもって。ありがとうございます。

渕辺さま、最後に言い残したことないですか。

このインターネット上に音声ファイルと、それを文字で起こしていますが、南城市の方が一応聞いていただける環境になっていますけれども、当然南城以外の方も聞くことができることになっておりまして。

「本当に一言なんですよ。南城市、まだまだ魅力発信できるぞという、そこをもうちょっとみんなでやろうよということじゃないですか。

これだけ素晴らしいところで、観光地といったら大体が西海岸という定番ですけど、そうではない。うちのお客様に来る方もそうですけど、東海岸にはないゆっくりした落ち着いた沖縄らしさが残っているよね。そこをぜひ大事にして。変に荒らすという言い方はおかしいですけど、変にそこを変えることなく、周りがこうだからじゃなくて、南城市の良さをどうやってしっかり維持し発信していくかという。」

南城市の魅力発信と維持

「今回のあれ、将軍にでした?キーワードが出ましたよね、本物っていう。

だから南城市の本当に本物の南城市を作り上げる、南城市を発信するという、維持するという、そこじゃないですか。」

ーー南城市を発信する、なるほどね。

「魅力を。」

ーー魅力をですね。

「だから南城市らしさを損なうことしちゃいけない。」

ーーそうですね、私もそう思います。

そう考えると、百名伽藍さんなるこの宿の存在ってすごく大きいですよね。

大きいと思ってたんですけど。

「頑張ります。」

ーーこういう宿が存在していただけるというのは、ものすごくマグネット力としてもありますし。

「そうですね。私たちにとって、ご覧になって分かるとおり、何もないですよね。人工物もない。だから都会から来る方は本当にそういう風景ってほぼ見ないわけですよ。必ずどこかのところに人工物が見えたり。それがなくって、素に帰るという環境ができればなと」

人工物と環境の概念

ーー素晴らしいですね。

「だからこれはご覧になって分かるとおり、リゾート、究極のリゾートでありたい。

リゾート、リソートですよね。リソートイコール、禅と一緒ですから。

そういった場にここはしていけたらなと。それを敢えて言葉で言うのではなくて、それを感じていただける。それが一つの私たちの望むところですかね。」

ーーはい。ありがとうございます。次回、泊まれる日を楽しみに。

「ぜひお待ちしています。」

ーー本日は百名伽藍オーナーで、総支配人の渕辺美紀様にお話を伺いました。

渕辺さん、どうもありがとうございました。

「ありがとうございました。」

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