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#19ホテル百名伽藍オーナー兼総支配人 渕辺美紀(ふちべみき)さん

ホテル百名伽藍は、琉球創世神話の舞台として知られ、自然と歴史が深い南城市玉城百名に佇むリゾートホテルです。
2011年に開業し、「旅行業界のアカデミー賞」とも称される「「ワールドラグジュアリーホテルアワード」を10年連続受賞、また、アジア初の「ミシュランキーホテル」にも今年選ばれました。
今回は、ホテル百名伽藍オーナー兼総支配人の、渕辺美紀(ふちべみき)さんにご登場いただきます。

ーーはい, 本日ですね。ご登場いただきますのは、まず波の音が聞こえておりますけれども、波の音にふさわしい場所で今インタビューをさせていただいております。 こちらの方でございます。自己紹介をお願いできますでしょうか。

「私は百名伽藍の渕辺美紀と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします。」

ーーお願いいたします。 渕辺美紀様、渕辺様は百名伽藍のどのようなお立場でございますか。

「まあ。肩書き上、あのオーナー兼総支配人という肩書きを持って動いているところでもあります。」

ーーはい、ありがとうございます。 僕も南城市なるところに関り始めたのはこの半年なんですけども、それまで、あの全く沖縄の仕事をやったことなくて、南城市さんに来ることになって、実は泊まる宿を毎月5日間くらいいるんですけど

「そうなんですか」

ーー毎回宿を変えてるんですよ。で、当然この中にいろんな宿リストが登場するわけなんでございますが、なんだろうこの百名伽藍て、というみたいな。 南城にお伺いするまでは存じ上げなかったんですね。 すみません。勉強不足で。 色々調べてみたんです。いいじゃないですか。 特に温泉、屋上のあの露天風呂。いやー、よくできてるなと、まだ泊ったことないんです。 ただ、ウェブサイトは全部拝見しましたよ。

百名伽藍さんのお客様層と県外・インバウンド比率

簡単に百名伽藍さんの概要といいますか、どのようなお客様で、どんなところに立ち位置があってみたいなことをオーナーの立場からお話しいただいてよろしいですか?

「お客様の層といったら、あまり限定的ではなくて年齢層も幅広いですし、それからもちろんカップルでいらしたり、親子だったり、それからおじいちゃんおばあちゃんへの思い出の旅行だったりとか、自分への勤続年数のお祝いのものであったりとか、本当に幅広いですね。本当に幅広いです。」

ーー県外、県内の比率はどんな感じですか?

「宿泊客に限って言えば、9割以上は県外です。県外、海外です。」

ーー県外、海外。ちなみにその県外、その泊まられる方。 インバウンドの方ってどのくらいの比率なんですか?

「コロナ前は3割が海外でした。今、それも戻りつつあるところですね。」

ーーなるほど。

「時としては今年もゴールデンウィーク、その後もですけども、半分以上が海外の方っていう日も結構ありました。」

ーー半分くらいか

「そうですね。」

ーーそういう方たちはどうやって百名伽藍を見つけるんですか。

海外からの宿泊客の割合と集客方法

「多分ですね。おかげさまで私どものホテルは世界的なアワードを受賞しているものですから、そこからのそういうサイトからの発信とか、いろいろな繋がりで情報を捉えているのかなって感じがしますね。」

ーーなるほど。もう直接百名伽藍さんのウェブサイトに予約申し込みですか?

「アクセスもありますし、そこはいろいろ何でしょう、そういうツーリストみたいなタブを使ってというのももちろんありますし、それも様々ですね。」

ーーそうですか。3割ぐらいの方が

「海外ですね。」

ーーありがとうございます。 このような素敵なお宿、お宿といいますか、ホテル、これはホテルでよろしいんですか。

「ホテルなのか、旅館なのかどうなんでしょうか。ホテル旅館みたいな感じですね。」

ーーそうですよね。規模で言いますと、何室ですか。

「18室です。」

ーーどちらかというとゆっくり

「そうですね。」

ーー1日を豊かに過ごしていただく

「もうゆっくりやってあの過ごしていただきたいという。それだけですね。」

ーーありがとうございます。 あの僕、渕辺さんのいろいろ日経新聞の記事とか読ませていただいたんですけど、そもそも渕辺さんがここの宿のオーナーにたどり着くまでの人生の方がちょっと興味ありまして。 すみません。

「この番組の中で話していいものかどうか。」

ーー30分喋ったら3分くらいに編集しますけど

「なるほど」

ーーあの、元々どうしてここにたどり着いちゃうかというところをちょっと教えて欲しいんですけど。

「まあ先ほどね。 ご縁があって沖縄に来たって話をしましたけども。その後に私たちの会社は飲食から始まったんですね。」

飲食業

ーー飲食も最初は「ワンダーおばさんのチーズケーキ」あれからなんですよ。 ワンダーおばさんのチーズケーキって大体ご存知の方が多いと思うんですけども、あのそのチーズケーキやったところがそれなりにヒットしまして。 そこから和食レストラン、和食ですね、というその飲食の展開をしていったんですけども同時並行で貿易とかそういったこともやってきて、貿易も今、海外貿易やってますけども。 でもやはりサービス業の一番上といったらあれですけど、目指すところはだいたい皆さんホテル、つまり飲食業だったら、店舗での接客はせいぜい3時間4時間じゃないですか。 ホテルですと丸1日長いともう数日間。 だから、逆に自分たちの提供したいものが相手にゆっくり提供できるという。 それは沖縄の文化であったり、それから工芸であったり、自然であったり、またある意味では沖縄の人柄であったり、そういったものを伝える場所としてはホテルっていうのはやはり長時間長期間滞在しますから、そこはやっぱり目指したいなっていうところで、そういういい場所があったらホテルっていうのがちらほらあるところに、たまたま夫がそういった目線で動いている中、この場所を見つけまして、それで非常にこの場所を周りの方々に頭を下げてお願いして取得するのにそれなりの時間がかかりまして、というところからのホテル経営です。」

ーーなるほど。元々この場所をご主人が偶然で見つけるんですか?

「いやー、それも偶然だったんで、やっぱり想いがあったからそこにたどり着いたと思うんですけど。そもそもここは百名伽藍という、伽藍はご存じ通りにお寺の伽藍ですね。 彼が座禅とか瞑想とか、そういったものに大変興味を持ってまして、ですから、ゆっくり自分で座禅が汲める場所というのもあって場所を探していたんですけど、それがこの場所です。何もない中で本当に自然見ながら海見ながら、自分の無に帰る場所という」

ーーご主人は、ここはいろんな想いがあって、この場にたどり着いたとおっしゃっていただいたんですけども、そもそも何ですかコンサルタントか、何かのお仕事をなさっていらっしゃいますか。

「全然全然」

ーーどんなご主人様は、また別のお仕事を

「同じ会社です。」

ーー同じ会社で

「同じ会社で彼は非常にそういう発想、それから戦略的なものっていうものが非常に、妻の私が言うのもなんですけども、そこは結構得意とするところで、それを具現化するにあたって私なんかそのパーツパーツを具体的にどうするかっていうことで一緒に動いてきた感じはしますけど、」

ーーそうですか。 これを作られるのに、どのくらいのお時間がかかっているんですか。

ホテル経営

「土地の取得から実際着工に至るまで10年かかりました。

ーー取得から10年。

「そうですね。」

ーーなるほど

「さっき申し上げましたけど、やはり土地の方にとってもここは大変大事な場所ですので、それまでもいろんな方がこの場所を買いにきたいっていうのがあったらしいんですね。 でも土地の方は、やはりここにビル的なものとかそぐわないないじゃないですか。 だから私たちはそうではなくて、さっき申し上げたように精神性をしっかり持った建物を作りたいっていう。 ここは聖地ですから、だから変な言い方ですけど、土地の神様に背くようなことはしちゃいけないと思ってますので、そういった意味でじっくり根回しして建物の設計なども平たいものにして、ということで、それで了解いただいて設計に入り、建築に入ったというところですね。

ーーそれが場所が決まってから出来上がるまで10年、長い戦いをなさいましたね。 途中で心折れますね。10年、そうではなかったですか。

「いや、自分たちの夢の実現といいますか。なんとなく想いの実現ということであれば早い短いってあんまり、それも中途半端で、設計なんかもそうですけど、中途半端で、こういくよりも、やっぱり自分たちが納得するものをやりたいし、ということでの時間のかけ方はしましたけど。」

ーーなるほど、で、出来上がって今11年目ですか?

「12年目ですね。東北大震災の2011年でしたでしょうか。 その時の12月がプレオープンで、翌2012年の4月がグランドオープンでしたので、ちょうど12年です」

ーー12年目ありがとうございます。なんでしょう。 そうしますとご主人と二人三脚で

「だと思います」

ーーなんでしょう。 本当に人生のパートナーと作り上げてきた

「そうですね。形としてできたということかもわからないですね。」

ーー素敵ですね。

「そうかな」

ーー素敵だな。そうですか。そこの取材させてくれって話聞きませんか?ご主人との

「いろんな取材がありますけど、できるだけ避けて避けて、」

ーーご主人は表舞台には登場しないんですか?

「彼はですね。私たち、いろんなカップルなり方があると思うんですけども、二人とも表に出るって、あまり美しくないと思ってるものですから。 だから彼は戦略的なもの。私は実際それを実践部隊みたいな感じですね。 だから彼は中にいって、いろいろこう練ってそれを実現し、発信といいますか、っていうのは私のやっぱり外交的なものも含めてですけども」

経済同友会の代表と委員会の活動

ーー外交的なものといいますと、経済同友会の代表も?

「あの7年目ですけど、」

ーー7年目、女性の経済というかの代表って僕あまり聞いたことなくて

「日本で今私だけです」

ーーそうですよね。 その7年間もこういう宿の会社経営者としての側面と同友会の代表って結構大変

「結構大変です。結構大変です。 本当にもう同友会代表に紐づいている委員会が数十ありますので、結構大変です。」

ーーそれも毎回当然ご出席になられて

「そうですね。昨日も10年後に沖縄で国体があるんですけど、その委員会だったりとか、その前の日はMICEの委員会だったりとか、ほぼ毎日何かの委員会に出ている感じですね。」

南城市の良さ

ーーご苦労さまです。 そんな渕辺さんから、今日は貴重なお時間をいただいておりますけれども、ありがとうございます。 次のご質問に移りますが、南城の好きなところ、

「えーとですね。 沖縄らしさが残って、なんとも言えないあの空気感ですかね。 それは本当に那覇市内から入ってくると、特に海が見えた瞬間、ほっとしますね。 それは他のところにはない南城の良さなのかなぁという感じがします。 どこっていうことではなくて、南城市の持つ空気感ですかね。 沖縄の良いものが残っているという、良いものが残っているっていう感じがします。」

ーーありがとうございます。

「それは自然も含めてです」

ーーそうですよね。 南城に入るとなんかこう空気が変わったなっていうのがあります。

「ありますよね。」

ーー先輩としては、それがどういう理由ですかね。

「今申し上げた通り、こう自然が豊かに思っていることとか、それからひょっとしたらですよ。海とあの森もいてますか。緑のバランスの良さとか。 もうそれから上から見下ろすこの奥武島の雰囲気が、何でしょう。それこそクロアチアみたいな感じすらするんですよ。 あのアドリア海にこう、ああいうなんかあのヨーロッパなんかにもある非常に古い、古いと言いますか。歴史ある街の佇まいにも似てるような感じもするんですよね。」

ーーなるほど、そうですね。

「それからもう一つひょっとしたら、これはあのあんまりこう言い方は良くないのかもわかりませんけど、やっぱり聖地じゃないですか。なんとなくこう、そういう空気感といいますか。なんとなく、その久高島とか斎場御嶽とか受水走水とか、あの辺のそういう空気感も、あの全部ミックスしてこう違うパワーがひょっとしたら、あのあるのかわからないですね。」

ーーそうですね。 僕はなんかやっぱり南城っていう場所に入ると全くソーンが変わったっていうのは、いつも感じていいなかった。 渕辺さんもそうおっしゃっている。

「同感です。」

観光地のブラッシュアップ

ーーありがとうございます。あえて皆様に入っているんですが好きじゃないところ。

「好きじゃないって言うことでの目線は持ったことはないですね。 それもまあ不便と言ったらそういう言い方でしょうか。 普遍というよりも、あのまだ余地があるって言い方でしょうかね。 観光においてですけど、まだまだセンスアップされてないというか。

ーーなるほど

「ブラッシュアップされてない。だからいいものがあるんですけども、それをどうやって、しっかりブラッシュアップして、いいものとして価値を付加価値をつけて発信するという。そこはまだできてないのかなっていう。素朴さは素晴らしい。 でも素朴だけでいいのかという。 そうじゃなくて製品化するときに商品化するときに、そこはより極端な言い方をすると、しっかり金額が取れるような消費額を取れるような商品として出す。そこのブラシアップ化とか。そこがまだちょっと遅いっていうのは、ちょっと嫌いというよりも悩ましいといえます。」

ーーなるほどね。と思ってらっしゃる。 なるほどという感じがします。 いいものは残っているのだが、あともう一つ商品といいますか、サービスみたいなところにグッと見える化するプロセスがまだ途中だという。

「まだ途中だと思います。」

ーーそれを私も非常に感じておりまして、逆な見方をしますと、あんまりこういうところがないんじゃないかって思ってるんですけど、それはどうですか。

「あのまあそうだ、と思います。もったいないっていう、もったいないていう言葉ですね。」

ーーそうですね、もったいないっていう、ワンワード。ありがとうございます。

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