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少子化の戦犯は、誰か。


 産経izaの記事で、2016年のものなのに、最近アクセスが増えている記事があります。その記事がとても興味深く、また示唆に富んでいるので、紹介しておきます。

上・中・下の三回に渡って特集されるほどの重たい記事ですが、産経さんの視点は、「少子化になった原因は、GHQによる産児制限、つまり

人工中絶の認可

にあったとしています。

 少子化の直接的なきっかけになったのが、この「子宝思想から、産児制限へ」という部分であることはとても興味深いです。しかし、単純に、その戦犯がGHQであるとも言えない事情が、全体から読み取れます。


 シン・ウヨク(注・造語です)である私、吉家孝太郎から見れば、GHQの言っていることは、とてもよくわかります。日本が戦前に海外進出、つまり帝国主義的侵略をしなくてはいけなかった原因は、農地の不足でした。物理的な食料としての農地でももちろんありましたが、江戸時代を通じて「米こそが経済」の名残を引きずっていた日本人にとっては「次男三男は、引き継ぐべき農地がないから、北海道や満蒙へ開拓しに行かねばならない」という話は当然のことだったのです。

 シン・ウヨク的研究の本質は、まさにそこにあります。日本人はそうやって、「農地を確保することで、発展してきた」民族でもあるからです。

 ですので、GHQから見れば、「土地が不足すれば日本は必ず侵略を再び画策せざるを得なくなる。戦後現在の土地領地に制限したのであれば、当然人口増も制限すべきである」と考えるのは、実に頭がいい、と思わざるを得ません。


 しかし、そこから、当初政府主導で始まった「明るい家族計画」は、皮肉なことに現代日本人の生活スタイルにマッチしてしまい、「個人の尊厳と核家族」の登場によって、命の火種を最初から消してしまうことがこれもまた当然のようになってしまいました。

 このことは、沖田×華さんの『透明なゆりかご』というマンガによっても、投げかけられたので覚えている人も多いことだでしょう。

 日本人の死因第一位は、人工妊娠中絶

である、という衝撃の事実です。

 その意味では、少子化の戦犯は、GHQでも、日本政府でもなく、私達国民であるとも言えるでしょう。


 一体、何が起きているのか。出会いがないとか、女性の社会進出とか、いろんなことが少子化の原因だと考えられていますが、シン・ウヨクの目線は違います。その原因はもうはっきりしているのです。

 引用した図は、国立人口問題研究所  平成21年度国土交通白書

からのものです。

 これを見ると、鎌倉時代から江戸時代までは、ほとんど人口が増えていません。江戸時代にやや増えて、そこから明治維新までは横ばいです。

 これは、日本という国家において、土地とそこから取れる農作物の量が、島国という枠内で「物理的に取れる面積が決まっていた」ことに由来します。江戸時代に開拓開墾がやや進み、かつ品種や作法の改良が進んだのでやっとこさ人口は増えたけれども、物理的に養える人間の数は限られていたのです。

 それが、明治維新から終戦まで増えたのは、北海道、樺太、満州を開拓したからといえるでしょう。ハワイや、ブラジルに現在も日系人がいるのは、食い扶持がない人たちが移住したからです。ここでは拡大路線を取らざるをえませんでした。

 そして、戦後1億2千万のピークを迎えるには、「土地から貨幣経済へ」という産業構造の転換と、「農家の次男三男が、金の卵として、工業社会へ移動する」ということがあったわけです。

 ものづくり日本、の姿と、人口増はリンクします。そして、中国に経済大国2位を明け渡し、ものづくり国家からサービス国家へと変容している現在とこれからは、

「お金を稼げなければ、人口は維持できない」

のです。土地や農地こそいらなくなりましたが、それに変わる「食い扶持」がなければ、人口は維持できません。

 大陸へ侵略、進出しなくても、海外に製品が売れ、日本製品が進出、侵略してくれたので、おなじだけの対価が入手できたこれまでと、その立ち位置が中国に取って変わられたこれからを考えれば、そりゃあ、人口は減少し、

「人工中絶という現代の間引き」

が行われるのは当然なのです。

 これは、とても簡単なことです。すべては庶民の「食い扶持」の話なのですから、日本人は派遣労働者をこきつかったり、海外から労働者を招いているどころではありません。食い扶持を安くするのも、人口を他所から投入するのも言語道断です。

 国民ひとりひとりが、より高い給料を稼げる体制を作らねば、少子化は止まらない、とシン・ウヨクの吉家さんは考えています。



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