【1年経って】SonnyBoy第3話考察
3話は最終回への伏線となる重要な回
3話は爽やかな印象受ける回だったが、掘り下げていくと中々重い内容となっていた。
漂流世界で更に漂流
今回の話の軸としては、フリーズ現象もとい黒幕世界が挙げられるが、この
ハテノ島→黒幕世界
へのワープは
元の世界→漂流世界
という、2つの出来事を漂流で韻を踏む構成となっている。
3話で長良や希はフリーズしたものたちは自発的に行ってしまったわけではなく、この世界のルールでそうなってしまったという主張をしている。
つまり、逃げたいという気持ちはあったが、それでも逃げずに踏ん張っていたところを世界のルール・強制力を受けてこちら側に来てしまったということなのだろう。
そして、この不可抗力でそうなってしまったというテーマはそのまま
元の世界→漂流世界
へと漂流した学生たち、引いてはこの現実世界においても漂流している者たちへの問いかけになっていると思う。
今の現状は、自分がこうなりたいからこうなったんだ、自分に力が無いからこうなってしまったんだと結論付けているが、実は世界のルール・力によって実は気づかないうちにそう思い込まされて来ただけなのかもしれない。
それを示すように、3話では瑞穂と長良が聞き込みをする過程で、生徒が労働をしている姿が映る。
そして、能力があるものは日陰で作業していたり、ある者たち(クラスカースト的な上位層)は仕事をしていなかったりする。
そうして、居ても居なくてもいい=この社会のシステムに関与しないものたちから先に消えていく。
その中で、瑞穂は現システムのトップである朝風に何も言えない長良に
「ぶつからないと分かんないことがあんだよ 長良もあいつらも」
と叱責する。それでも勝てっこないと諦める長良に
「それでもいいじゃん。」
と瑞穂は言うが、この流れは別シーンで希が明星くんに
誰かが試してるみたいだね〜
と問いかけるのと対になっていると思う。
希のセリフは、疑問形のようでいて、目が大きく覗き込むようなカットになっていたことから、明星くんが問い詰められてるように見える。
そして、長良ひいてはこの世界に漂流してしまったものたち全員に問いかけ試されているのであろう。
そうしてその一つの答えとしてぶつかる・どすこいすることが挙げられ、長良はラジダニの能力を使って黒幕世界を攻略する。
「学校以外にある別の世界への扉、仲間はずれ外しはこの世界のルール。」
扉というのは物理的なものでなくても存在して、いつの間にか自分がそうなってしまっている。
それを助けるのもまた誰かの能力である(今回の場合はラジダニの能力を使用している)。
救いのようでそうではない
「彼らは引きこもっていたんじゃなくて、本当はみんな…」
「本心はさ中々言えないもんなんだよ。」
このセリフが出てくるシーンは中々爽やかでいいシーンに見えるのだが、結局のところこの黒幕世界から出てきた加賀くんは9話になっても何者になれずにいたのだから、元の世界へと戻ってもそれが救いになるとは限らないのだ。
それを暗示するかのように、3話ですでに朝風は希の言う光に対して
「それが出口かは…」
と意味深な発言をしている。この時点では、単に別の世界に繋がっているだけだろと思っていたのだろうが、別の解釈として
元の世界へと戻れたとしてもそれが自分達にとっての出口ではないだろ。
とも取れそうだ。今回の黒幕世界での件に照らし合わせて考えれば、加賀くんがある種、理想の世界から元のハテノ島の世界に戻ってきても馴染めなかったように、漂流世界から元の世界へ帰還しても同じく馴染めない。
では、その中で長良は如何にして出口を見つけるか。
それが最終回のメッセージで、第3話はその問題提起としての回だったと思う。ただ、鍵は
「ぶつからないと分かんないことがあんだよ 長良もあいつらも」
ここにあると思う。