すまスパおよばれ体験記&ピリカ文庫3周年記念朗読回「誕生」~思いがけない吉穂まつり~
声のお仕事をしたいと思ったことはないのだが、地元で「アナウンス教室」というのに通ったことがある。
アナウンサーの基本中の基本を、少しだけ教わった。
発声とか話題作り(『木戸に立てかけし衣食住』も初めてそこで聞いた)、声で伝えるというのはどういうことか、などなど。地方で長年アナウンサーをされていた方が講師で、丁寧に教えてくださった。
先日、念願かなって「すまスパ」の配信におよばれした。
こんな私を呼んでくださった「すまスパ」のピリカさん、marmaladeさん。太っ腹である。その節はありがとうございます!
すまいるスパイス『朗読について語っちゃう?』
結論から言うが、その「アナウンス教室」で習ったことは、何ひとつ活かすことができなかった。
でもとても楽しかった。
そもそも、自分の声と話し方が嫌いだ。
すまスパのコッシーさんの記事に、多くの方が私の声についてのコメントを書いてくださっていて、顔から火が出る思いがした。
椎名ピザさんも、紹介記事を書いてくださっている。
ありがとうございます!
自分の声には長年、コンプレックスがある。
もっと大人っぽく、落ち着いた声にならないものだろうか??といっても、こればかりは持って生れたものであるからどうしようもない。緊張しているからなおさら、うわずって高い声になっていた。話すスピードも速く、「なんか」を何千回も言っていて、恥ずかしくてならない。思い出すと冷や汗が出る。
以前にも書いたが、私がよく聞いているのは「すまスパ」の他には、書きのたね@ブルボンヌさんの「リー研」(最近はリー研としての活動はお休み中で、kindle本「スピリチュアルミーティング」を出版中)や、おぬきのりこさんの「おぬきのりこですが」、ユハコさんの「オラクルリーディング」、geekさんのお散歩配信などだ。いぬいさんの朗読は居ずまいを正して拝聴するのでちょっとハードルが高くて、たまにしか聴けない。最近、白鉛筆さんの短編を朗読されたと記事が上がっていたので、さっそく聴かなければと思っている。
なかでも「すまスパ」には、no+eでお馴染みのかたが沢山出演されているので、とてもお得に感じている。笑
みなさん話が非常にお上手だ。
初出演の方でも、よどみなくお話されている。どうしたら、あんな風に自然に話せるようになるのだろう。
stand.fm、略してスタエフは、その存在をnoteで初めて知った。
誰でも気軽に、録音した番組をネットで配信したり、ライブで本当のラジオのように配信したり、その番組にリスナーが出演したり、アーカイブ(保存して何時でも聴ける状態にする)ことができるサービス。いわば「誰でもラジオ」。画期的だと思った。
振り返れば小学生の時。
ラジカセを買ってもらった。妹と兼用だった。ラジオとカセットテープが一体になったタイプで、カチッと押すと、録音ができる。最初のラジカセは単純に録音だけができるもので、ダビングができる「ダブルラジカセ」になったのは、中学生の時だ。
私がまずやったのは、好きなテレビ番組の主題歌を録音することだ。
家族に「シーッ!音を立てないで!」と強要し、録音が終わるまでみんな息をひそめていたけれど、必ずなにかしらの生活音が入るのが常だった。それでもレコードを買ってレコードプレイヤーがなければ音楽を聴けなかった当時には、超画期的なことだった。『熱中時代』は撮った気がするが、他に何を撮ったか覚えていない。でも46分のカセットテープの半分の23分を埋めるために、必死にテレビとこたつの前にラジカセを設置していた思い出がよみがえる。
それから私は、本を朗読して録音することを思いついた。
自分が自由にしゃべる、ということは全く思いつかなかった。
最初に朗読を吹き込んだのは松谷みよ子さんの『ちいさいモモちゃん』。選んだ理由はただ本棚にあったから。
その後、漫画の朗読も思い付いたのだが、漫画は脳内のイメージを絶対に再現できないことに気づき(擬音、擬態語、台詞無しのコマも多いので)、今度は「音楽を流しながら、それにあわせて漫画を読む」に切り替えた。
太刀掛秀子さんの『まりの、君の声が』の一部シーン(ラストシーンだったかも)に、さだまさしの『道化師のソネット』をあわせると絶妙に合うことを発見した。
―――くだらな。笑
誰しも一回は、自分の声を録音してみたい、と思うものなのかもしれない。誰かに聴いてもらわなくても、自分が聴いてみたい。好奇心だ。自分の発した声と、外から聞く声のギャップの不思議さに魅入られていたのかもしれない。自分の声は骨伝導で聴いていると知ったのはずいぶん大人になってからだ。
あ。そういえば「放送部」にも入ってたことがある。なんだかんだ言って、意外と好きだったのかもしれない。笑
現在は少し活動から離れているが、小学校での「読み聞かせ」の時は、時間を把握するためにスマホに録音することがある。一度、突然思い立って太宰治の『走れメロス』全文を朗読したことがあるのだが、短そうに思えても結構な時間がかかるのが朗読だ。
人から何か言われたことがあるわけではないが、そのうちに、だんだん自分の声を聞くのが好きではなくなった。次第に「自分の声を録音する」ということから離れていき、それ以後は、ほぼ「聴き専」だ。
最近の音声配信を、自分自身がやってみたい、と思ったことはなかったけれど、誰かの番組に出演してみたい、とは思っていた。でも、最初のころはとにかく「身バレ厳禁」と頑なに身を慎んでいたし、なによりコンプレックスがあるから、とても無理、と思っていたのだ。
最近、恥とか外聞とかをかなぐり捨てているので、今回の出演を快諾した。初めて体験してみて、小学生の時の、あの「ラジカセのもたらした感動」を思い出した。
一発撮りで、後から編集ははいるものの、基本的に何テイクも撮り直しをしないものだったからより緊張したのだが、リードしてくださるピリカさんとmarmaladeさんがお上手だということもあって、話そのものは詰まったりすることなく、出来たような気がする。
自分が「話を聞かれる側」も緊張するが、話を聞く側、進行する側は大変だろうなと思った。相槌を打ちすぎてもよくないし、話が逸れ過ぎるのも好ましくない。
ゲスト(私)は暴走しがちだし、それをうまい具合に収めていくのは凄いなあと思った。
そしてそんなかじ取りをしてからの、朗読である。
いやもう、ピリカさん、すごいとしか言えない。すごい。
すまスパの『創作について語っちゃう?』のほうでは、『青い車』をピリカさんに朗読していただいた。
収録の時は20年くらい前の作品、と言っていたが、いつできたか本当に定かではない。
ちなみに、私の作品に過去作が多いのは、「池の水全部抜く」的なやけくそさで「過去作全部文庫化」を目指しているからである。さすがに40年前の作品は稚拙過ぎるが、20代~30代の作品や、その時代の作品を核とした作品を主に「文字として実体化」させているため、今露出している作品に過去作品が多い。
『青い車』は、『白熊と光』という短編集に入っている。『白熊と光』は過去の短編と昨年書いた作品をおさめたものだ。
ピリカさんが『青い車』を選ばれたのが、意外でもあったし、嬉しくもあった。『青い車』は、スピッツの『青い車』からインスパイアされたお話だ。
草野マサムネさんは「自分は死とセックスしか書いてない」とおっしゃっている。今思えば、母の性を受け入れようとする娘と、思春期の娘の命のギリギリ感みたいなものを描こうとしたのかも。後付け。笑
良かったら、スピッツを聴いてから、聴いて(読んで)みていただければと思う。ちなみにnoteには記事として投稿していないのでレア感はある。笑
すまスパ誕生3周年記念朗読回~誕生~
さて、1週間後の昨夜、今度は「すまスパ朗読回~誕生~」で、誕生をテーマにしたピリカ文庫の朗読が配信された。
コッシーさんのお誕生日と、すまスパの3周年を記念して、文学フリマで「突撃となりの晩ご飯」風に(この番組、今ご存じの方っているのだろうか)その場で「書く人」に白羽の矢を立てた、らしい。私はまんまとその白羽の矢を真剣白刃取り風に受け止めたのであった。
今回は、樹立夏さんと一緒で、しかも朗読していただくのみ。
自分の出演はないので寛ぎながら聴くことができた。
樹立夏さんの『エンブリオはただ前を向いて唄う』は生命の誕生をテーマにした素晴らしいお話。納豆ご飯さんの声が、お話にとてもよく似合っている。
私の『タケナワモールワラシ』は、”座敷童”をモチーフに、地域型百貨店の誕生と衰退、再生をテーマにしたもの。こちらは、ピリカさんが読んでくださった。
こちらも、宣伝部長のコッシーさんが紹介してくださっている。
朗読では読み手であった納豆ご飯さんも紹介記事を書いてくださっている。それにしても、本当に、ピザさんと納豆さんのご夫婦は、素敵なご夫婦だ。家で創作の話をしたり、小説を読みあったり―――昭和生まれの夫にはあり得ない。憧れ。笑
実は推敲中、頭の中でピリカさんの声で再生されていた。私は読むとき書くとき、脳内で声はしない。だからこれはとても珍しい現象だった。「ピリカ文庫」に出すということを念頭にしていたからだと思う。
ただ、実際に読んでいただいたのを聴きながら、少し朗読のしにくい文章を書いている個所があったことに気づいた。声に出して読んでみないとわからないことがあるなあと感じた。だいたい、『タケナワモールKITAGAWAYA』が言いにくい!ピリカさん、ごめんなさい。
そして、『青い車』と『タケナワモールワラシ』は、なんと同日録音だったと聞いた。なんとあの収録日、ピリカさんは期せずして「吉穂まつり」となってしまっていた。かたじけないやら、嬉しいやら。
どちらも配信時間が1時間弱と、結構たっぷりとした尺になっている。
やはり、朗読は、思いがけず時間がかかるものだ。
誰かに作品を朗読してもらう喜びは、何ものにも代えがたい。耳から聞くと、雰囲気も変わる。
「いつかすまスパで読んでもらいたい」
と思う人が多くなればいいなあと思う。
それによって、おのずとnoteの創作分野が活気づいていくのではないかと思ったりする。
次はあなたの作品が、朗読されるかもしれない。
今はお忙しくてなかなか時間が取れないなあと言う方も、心のどこかに覚えておいていただき、夏休みにでも聴いていただけたら嬉しいと思う。
ちなみに私は、配信は「家事の友」である。
洗濯物を干したり、洗い物を刷るときに聴いている。
車の中で聴くのも、いいかも✨
改めまして、すまスパのみなさま。
今回は、吉穂を取り上げていただき、出演させていただき、朗読していただき、みなさんにお知らせいただき、本当に、本当にありがとうございます!
このご縁を大切に、またいろいろな形でお会いできることを、楽しみにしております。
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