スペインは「うさぎの多い土地」
以下の記事の続きです。今回はスペインの都市と中米の地名の語源についてです。
スペインとラテン・アメリカ
それでは、地名の解説に入っていきましょう。
「スペインSpain」という国名は、フェニキア語のi spn yaに由来し、諸説ありですが「ウサギ(ハイラックス)の多い土地」の意味とするのが通説です。
i spn yaからラテン語に転訛した「ヒスパーニアHispānia」はイベリア半島のことを指しており、俗ラテン語では「スパーニャ*Spania」、スペイン語では「エスパーニャEspaña」となります。「ヒスパニックHispanic」という言葉を聞いたことがあると思いますが、これはラテン語のヒスパーニアから派生した「ヒスパーニクスHispānicus」に由来し、本来はスペイン人やスペイン文化などを指す言葉でした。現在では主にアメリカ合衆国に移民したラテン・アメリカ出身者を指すことが多いです。
「カディスCádiz」はフェニキア語のガーディール「要塞」に由来します。ラテン語でガデス、アラビア語でクァーディスを経てカディスに転訛しました。
「サンタ・フェSanta Fe」は、スペイン語で「聖なる信仰」という意味です。スペインのアンダルシア州サンタ・フェに由来するこの都市名は南米各地に存在し、いずれもスペインのサンタ・フェから来ています。宮沢りえのヌード写真集で有名な「サンタ・フェ」は、スペインが支配したニューメキシコ州の古都サンタ・フェのことです。
「バリャドリッドValladlid」の意味は、アラビア語のbalad「町」+al Walid「ワリド」でウマイヤ朝のカリフ、ワリド1世に由来するのではないかと推測されています。他にも「オリーブの谷」「水の谷」「晴れた谷」など諸説ありで、本当のところはよくわかっていません。
ラテン・アメリカという中南米のガイアナ、スリナムを除く地域を指す言葉は、ラテン系の言語を話すスペイン人、ポルトガル人によって支配されたことに由来しています。ラテン・アメリカの対義語として使われるアングロ・アメリカは、北米のうちイングランド、大英帝国と深い関係のある地域を指す言葉です。
アングロ・サクソンについては以下の記事で取り扱っています。
中米の国の名称
パナマ地峡周辺の国の名称の由来についても確認しておきましょう。
「ホンジュラス(オンドゥラス)Honduras」はスペイン語で「深み」を意味します。
「ニカラグアNicaragua」は、先住民ニカラオ族の酋長ニカラオに由来しています。
「コスタ・リカCosta Rica」は、「豊かな海岸」という意味です。
「パナマPanama」は先住民クナ族の言葉で「魚が豊富な場所」という意味です。
カリブ海の島々に続きます。
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