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カイロ大学声明の本質①―小池百合子・学歴詐称問題より深刻な政治犯罪

小池百合子都知事の学歴詐称と、その隠蔽工作の疑惑が深まっている。

小池都知事の元側近・小島敏郎氏が『文藝春秋』5月号で、「学歴詐称工作に加担してしまった」と告発記事を発表した。「カイロ大学声明」への関与の事実である。

声明は前回の都知事選前の2020年6月8日、駐日エジプト大使館の公式フェイスブックおよびウェブサイトに掲載されたもの。学長名で「小池氏の卒業証明」と「カイロ大学の卒業証書の信憑性に疑義を呈するジャーナリストへの警告」が記されている。

詐称疑惑が再燃し、”焦燥”する小池都知事からの相談を受け、小島氏は「それなら大学から声明をもらっては」と提案。文案は別の側近ジャーナリストA氏が書いたという。

その後の記者会見(2024年4月2日)で、小島氏は「正式な手続きを経てカイロ大学を卒業しているのであれば、なぜ隠蔽工作をしなければならなかったのか。卒業していないから、と考えるのが相当」としたうえで、告発に至った問題意識を明かした。

「我が国の東京都知事がエジプトからもカイロ大学からもいざというときに言われて、失職するかしないかを左右する弱みを握られているとすれば国益上、非常に大きな問題だ。そんな日本国ではダメではないですか」

『カイロ大学”闘争と平和”の混沌』(ベストセラーズ)の著者として本疑惑を長年取材してきた筆者の結論はさらに深刻だ。すでに日本の国益毀損も甚しい。より本質的な問題が生じている。

“超法規的”なカイロ大学卒業証書保持者である小池氏は、エジプト軍・情報部に生殺与奪権を握られており、その見返りを長年果たしてきたいわば”エジプトのエージェント”も同然の存在なのだ。

本記事では、その後の取材・調査をふまえ、新事実をもとに真相を解明していく。

外国勢力を日本に手引き

まず、今回の小島氏の告発で重要なのは、カイロ大学声明のエジプト大使館での発表について、小池氏の関与が明らかになった点である。

大使館といえば、わが国におけるエジプトの全権を代表する外国使節である。声明の日本語訳にはエジプトの国章「サラディンの鷹」の紋章が記されており、まさしく国家文書だ。カイロ大学声明を取材した現地メディアも、当時、こう報じている。

「大学はコメントを控えながらも、エジプト・アラブ共和国の日本における公式代表であるエジプト大使館からの発表どおりだと認めた」

報道サイト「アルバラド」2022年6月1日

小池氏がその作成・発表に関与した行為とは、外国の国家機関と通謀、共謀したことに他ならない。わが国の首都の指導者を決める選挙活動において、再選を目指す現職知事が外国政府の権力行使・介入を日本に手引きしたのだ。「反逆罪」と呼んでも大げさではない。外国勢力による選挙介入、という民主主義の下での深刻な「政治犯罪」であり、日本国民・東京都民に対する重大な裏切り行為である。

たかが外国の一大学にすぎないカイロ大学声明ではないか、と問題を過小評価する人もいるだろう。しかし、声明発表を本国エジプトのメディアがどう報じたかを知ればそうはいかない。

カイロ大学は、政治的意図をもって都知事選に介入したのだ。憶測ではない。エジプト軍・情報部の管理下にあるエジプトの現地メディアがはっきり、カイロ大学声明は介入が目的だと報じている。一部の見出しをあげる。

「カイロ大学、小池都知事のために都知事選に点火」

報道サイト「アルバラド」2022年6月1日

「カイロ大学、都知事の卒業証書を認めない日本メディアに対し法的手段で脅迫」

ネット版「アルワフド新聞」6月1日

「カイロ大学、危機に瀕する東京都知事を救うために介入」

総合ニュースサイト「アハバーラック」6月1日

何のための介入か。

「7月5日に行われる日本の都知事選を前にして、小池百合子都知事の反対派や対抗馬はカイロ大学卒業の学歴を認めないキャンペーンが展開されている」

「カイロ大学の学位を取得していないとの発言・主張をしているが、これは事実に反する」

「カイロ大学が在日エジプト大使館のフェイスブックを通じて声明を発表。小池百合子氏は1976年に文学部社会学科を卒業しており、日本の一部メディアが卒業証明書に疑問を呈し報じた内容を非難」

報道サイト「アルバラド」2022年6月1日

現地メディアが解説するように、小池氏の再選目的の介入であることが明らかだ。

そのために、カイロ大学卒業に疑念を呈する者はみな都知事の反対勢力とみなし、声明は再選を目指す都知事に代わって対抗措置をとる、との強権的な脅迫である。

しかも、なんの根拠、反論も示さず、取材・報道の行為自体を罰しようとしている。

実際、声明では「エジプトの法令にのっとり対応策を講じる」と警告しており、現地取材を封じようとする意図がみえる。実力行使もありえる。エジプトで取材をした多くのジャーナリストが、いまも軍事監獄に拘束されている。

2020年のジャーナリスト保護委員会(CPJ)の調査によればその数は、中国、トルコに続き世界ワースト3位だ。

この強権的な姿勢は、カイロ大学の問題を指摘する教職員に対しても同じだ。メディア学部の教授が学長の汚職の疑いを示す証拠文書を自身のフェイスブックにあげ告発したところ、何が起きたか。

捜査保留のまま留置所で手錠をはめられた教授の画像がいきなり現地メディアに掲載されたのだ(ニュースサイト「アルカーヒラ24」2022年1月26日)。

カイロ大学長に逆らうとこんな目に遭うぞ、という見せしめだ。この学長こそがカイロ大学声明を出したアルフシュト氏だ。


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