読書ログ 「プロダクトマネジメント ビルドトラップを避け顧客に価値を届ける」
概要
ビルドトラップとは、プロダクトマネジメントが失敗している負の状態を指している言葉です。
具体的には、「組織がアウトカムではなくアウトプットで成功を計測しようとして行き詰まっている」、「実際に生み出された価値ではなく機能の開発とリリースに集中してしまっている」のような状況です。
ビルドトラップを避けるために、プロダクトの定義、そしてプロダクトマネジメントにおける戦略、戦術、施策というレイヤーを説明し、その上で経営とプロダクトマネージャーが果たすべき役割はなにか、そしてその役割を果たすためのプラクティスを丁寧に説明してくれている一冊です。
プロダクトを提供している会社の経営者や、プロダクトマネージャーにとって、プロダクトとプロダクトマネジメントの定義とその実践方法を提示してくれる良書です。
「ビルドトラップ」と「ビルドトラップを避ける方法」
ビルドトラップとは?
組織がアウトカムではなくアウトプットで成功を計測しようとして行き詰まっている状況
実際に生み出された価値ではなく機能の開発とリリースに集中してしまっている状況
ビルドトラップを避けるためには?
プロダクト主導の組織になり、アウトプットではなく、目的に沿ったアウトカムとそこから生まれるインパクトにフォーカスすることです。
プロダクト主導の組織目指すにあたって、以下のような状態を作れる必要があります。
適切な責任と構造を持つプロダクトマネージャーの役割を作る
優れた意思決定を促進するような戦略の下で、プロダクトマネージャーがうまく機能するようにする
実験と最適化によって作るべきプロダクトを決めるというプロセスを理解する
適切な組織の方針、文化、報酬によって、みんなをサポートしプロダクトマネジメントを成功させる
プロダクト主導の組織になるためには?
重要な目標を中心にして、容赦なく優先順位を付けられるような一貫した戦略を持ち、みんなが同じ方向を向いて連携し、そのアウトカムに対して計測可能な影響を実際に与えられることを扱っていくことが重要です。
そのために、以下のようなステップを踏み、どの山に登るかを決め、現状においてどういったルートで登頂を目指すのかを、組織全体でアライメントをとる必要があります。
Vision/Missionを作る(北極星となるぶれないものをしっかりと作り込む)
戦略とは、組織を現在の場所からどう動かしてビジョンに到達するかです。戦略策定のためには、最初にビジョンやどこに行きたいかを理解しなければいけません。そうすれば、そこに到達するまでに立ちはだかる問題や障害を特定して、対処のための実験ができます。ビジョンに到達するまでこれを繰り返すのです。
戦略を策定する
戦略とは実行可能な意思決定のフレームワークであり、現在のコンテキストとの整合性を保ちながら、現在の能力の制約の下で望ましいアウトカムを達成するための行動を可能にするものである。(スティーブン・バンギー The Art of Action)
戦略を展開する
戦略展開とは、組織全体を通じて適切なレベルの目標を設定し、チームが行動できるように活動範囲を狭めることです。
ほとんどのプロダクト組織で、4つのレベルの戦略展開が必要になります。最初の二つは企業レベルで、残りの二つは会社の特定のプロダクトやサービスのレベルです。
ビジョン
戦略的意図
プロダクトイニシアチブ
オプション
Netflixの実例
ビジョン
「世界最高のグローバルエンターテイメント配信サービスになること、世界中のエンターテインメントコンテンツのライセンスを提供すること、映画制作会社のためのマーケットを創出すること、世界中のコンテンツ制作者がグローバルで閲覧者を見つける手助けをすること」
戦略(2005年前後)
DVDで収益を上げる
ストリーミングを推進する
世界展開
戦略展開
プロダクト戦略
ガイドライン「顧客を喜ばせる、利益を多く稼げて、他社には真似のできないやり方で」
書籍内での実例
補完するのにおすすめの書籍
戦略策定や戦略実行における名著です。
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