しばられたキューピッド
今回はレンブラントの「ダナエ」
西洋美術、古典美術は神話、宗教を主題としたものが、多く、ぼくらにはなんとも馴染みがない。
ダナエと言われて「ああアレね」と言える方は、よっぽどの勉強家か、ギリシャ人。
ダナエとはギリシャ神話に登場する娘。
アルゴス王アクリシオスの一人娘。
王はある日神託を受ける。
「お前の娘が男の子を産む。ほんでもって、そいつがお前を殺す」
親兄弟親族といえども、権力、政治、ビジネスの世界では敵になりうる。
孫に殺されちゃたまらんと考えた王は、ダナエを塔に閉じ込める。
男に触れさせなければ、子供は産めない。そうすりゃ自分を殺すやつも生まれてこない。
純潔をすごく強制的に行ったわけだね。
そんなダナエの右にへんてこな金ピカがいる。
キューピッドといえば、恋の矢を放つことでおなじみの神。
それなのに、この金ピカは両手をしばられている。とくいの矢が射られない。
お年頃なのに、人を愛することができないダナエの苦しみ、かなわぬエロスをあらわしています。
彩美画廊 大北良彦