物価が上がっているのになぜ給料は上がらないのか/Why has salary not gone up despite price average has been increasing?
昨日、物価は上がっているのに給料は上がっていないというニュースについての考察をしてほしいという要望があったのでやってみたい。サラリーマンの給料を上げるにはどうしたらいいか。
これは、いつものように単純に生産物で考えてみればわかりやすいと思う。例えば、交換相手がいない、狩猟の世界で、主人(資本家)と補助した人が獲物を10匹、鶏を獲ったとする。そのうち、主人は8匹をもらい、補助した人すなわち従業員が2匹もらう。主人は捕獲するための道具など、いわゆる資本を有して提供しているから、取り分は大きい。
サラリーマンの給料が上がらないというのはその2匹が3匹にならないということである。その中で物価が上がっているというのはその獲物の価値が上がるということではないだろうか。しかし、そこに交換相手がなければ、すなわち自給自足であれば、物価など関係ない。
交換相手がいれば、その1匹で、通常例えば、豚1匹と交換できるところを、何かの理由で鳥の需要が上がるなどして、2匹交換できるようになったということである。
豚を明け渡す人からすれば、通常、豚を1匹と引き換えに鶏1匹を手に入れられるのだが、2匹必要となった際には、豚を明け渡す側からすれば物価が上がったと捉えられよう。そこで、豚をお金に変えてみたら、お金の価値は下がり、物の価値(鶏)の価値が上がったとわかりやすく見える。物価が上がるということは、お金の価値(豚の価値)以外の物全ての価値が平均で上がっているということである。
では、その従業員の取り分はどうやったら増えるのだろうか。まずは単純に同期間に得られる獲物が10匹から20匹に増え、同じ取り分(1/5)であったら、2匹から4匹に増える。ポイントとしては、同期間ということだから、生産効率を上げないといけないのは明らかである。
方法としては教育による生産効率の上昇か労働時間の延長しかない。労働時間の延長は同期間ではなく、労働者の労働時間がより多く奪われ、悪く言えば搾取となり、何か時間と体力等の犠牲があり、取り分が増えたとは言えないから、生産効率の上昇しか取り分を増やす方法はないとする。
ここで、獲得した鶏が20匹になったとしても、資本家が従業員の取り分を減らし1/10としたら従業員の取り分は2匹のままである。資本家にとって、従業員の仕事が鶏を得るためになくてはならない仕事になればなるほど取り分は増えるだろう。そのためには、従業員にしかできない仕事となっていくべきで、生産効率の上昇が必須となり、そのためには教育、勉強が必要となってくる。
しかし、全員が全員、教育の水準が上がっていけば、資本家の取り分が小さくなり、結局得た獲物はどう配分するかということになってきて、争いになってしまう。資本主義では資本家に取り分が多くなるシステムになっており、そのシステムには矛盾もはらんでおり、より分配してかなければ持続的な成長がないというのが共産主義などの社会システムの考え方である。
その従業員の仕事が機械に置き換われば、従業員は解雇され、資本家の取り分は100%となり、機械を保有している資本家しか生産物を得ることがないということが極論としては出てくる。資本家が100%生産物を保有しても消費しきれないから、結局、他の獲物をとる人たちが全て資本家となり、従業員の存在がなくなり人口が減ると考えれば、従業員に生産を分け与える時よりも、交換相手が少なくなり、生産しても腐ってしまう可能性が高くなり、結局、全体の生産物が増えないというのが、資本主義の矛盾であると考えている。
では、従業員の生産効率向上、または希少性以外に、資本家がどういう時に従業員の取り分を増やすだろうか。それは、将来の安定であると考える。先の鶏10匹のうち4匹従業員に与えたとすると、資本家の取り分は6匹である。しかし、与える分を増やしても、もう10匹がすぐに得られるということがわかっていれば、分け与えやすくなるだろう。逆に、もう10匹が獲れないという予測すれば、取り分を減らして、1匹にして、獲物を獲れない期間のための食糧として保管していくおくに違いない。景気が悪い時にはその傾向が顕著となり、サラリーマンの給与は上がらないというメカニズムである。だからこそ、景気が悪い時は貯蓄が増え、消費が落ち込む。
交換相手がいない場合は、獲物が獲れないというケースを想定し、交換相手がいる場合は、獲物を増やすかどうかは物理的な問題でなく、獲物を増やせるが、このケースではその鶏を豚と交換してくれる人がいるかということになると想定する。
後者では、むやみやたらに鶏を増やしても、他の物に交換してくれる人がいなければ腐ってしまうだけなので、無駄な労働に終わり、この無駄な労働が貸倒れのような考え方になってくる。鶏を貸して返ってこないか、鶏が腐るかは同じことであると考える。
鶏の生産側から見て、先ほど述べた物価が上がり、全て10匹交換して豚を20匹を手に入れたとしても、従業員の取り分が増えない、結局2匹のままであるというのが、今回のテーマの物価が上がっても従業員の給料が増えないということになる。
であるから、サラリーマンの給料を増やすためには、サラリーマンの生産効率の上昇と明るい景気予測・期待ということになる。景気予測・期待というのは、あてにならないものであるから、言い換えれば、セーフティーネットということになってくるのかもしれない。
セーフティーネットには、政治の補助が大きな役割を担うが、自分の中では健康ということが一つの大きな課題になってくると思う。健康がなければ、生産活動ができず、人々は生産物を消費に回さず、貯蓄として保存していくというのは将来の不安を考えれば自然のことだろう。
少しマイナーな例であるが、日本の歯科の保険適用になるのは、銀歯までであり、より虫歯になりにく金歯やセラミックは保険適用外である。たかが歯だと思うかもしれないが、歯は健康において大事な要素であり、歯の治療にかかるお金が抑えられれば、他の消費にお金を割り当てられる。医療というのは人間の欲を満たすものではなく、マイナスからゼロに戻す活動であるから、生産増加には貢献しないが、生産活動を維持する基礎になるものである。鶏の例に戻れば、鶏をより多く獲得、生産して、より多く交換、シェアができるということである。
また、大人に対するワクチンや内視鏡検査も保険適用ができるものが日本は少ないと言われている。こういった健康に対するセーフィーネットが充実すれば、より多くの人間が生き残り、消費、生産活動が促進され、資本家、労働者も安心が増し、投資や消費に回すお金が増えてくるに違いない。
又、もう一つ、生産数は維持または減少させ、人間の欲を抑制するシェアリングエコノミーなどの考えもある。人間は富を独占しようとする傾向もあるので、ある程度の社会システムや規制が必要になってくるかもしれないが、そうやって生産物をより多くの人と分け合い、選挙を意識した高齢者よりの政策、無駄な公共事業を減らし(公共事業は資産となるから大事であるが)、本当に必要とされる場所に適切に配分をすれば、資本主義の中でも持続的な成長は可能であり、皆が安心して、より分配するようになっていくのではないだろうか。
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