大阪
大阪に住んでもうすぐ20年になる。
生まれた長崎で18年 大学で住んだ福岡で5年(4年+1年‥)、最初の配属地の香川で7年なので、人生の中で最も長く住んだ土地になってしまった。
大阪本社の会社に入ったのでいずれは大阪に住む可能性も考えてはいたものの、ここまで長くなるとは思わなかった。娘なんて完全に関西弁しか喋れない、どネイティブの大阪の子になってしまった。
大阪に来る前の印象は、ウルフルズの『大阪ストラット』の印象しかないくらいで、こんな街で営業としてやっていけるのだろうか‥と恐れおののきしかなかった。
でも、いざ住んでみると、すぐに馴染んだ、と言いたいところだがそれは嘘になり、馴染むまではやっぱり10年くらいかかってしまったように思う。
というのも、大阪は東京に次ぐ大都市とはいえ圧倒的に地元の人が多い。たしかに住んでみると、大阪以外に移り住む理由がないくらい、便利さと住みやすさが同居している街だと思う。
そんな地元の民の多さに疎外感を強く感じることは多かった。特に子育て中は、周りはジジババ三世代育児が当たり前で、お財布にも余裕があり、大変な時は誰かが助けてくれている場面を見たくないのに見てしまう機会も多く、何度「ジジババ死ね!」「三世代育児死ね!」「大阪死ね!」と思ったかわからない。
そんな大阪だけど、今はとても好きだ。
それは街というより人なのかも知れない。大阪の街ではなくて大阪の人はとても繊細で、とても優しい。そう一見見せないようにするところも含めて繊細だし、優しい。
仕事をしていても、飲みに行っても、地域のいろんなことに関わっても、心からそう思う。
でもそれは、ありがたい出会いがあったからそう思えているわけで、そのような出会いがない人にはとてもつらい場所なのかも知れない。
東京のように多様な街だと、その中で感じる孤独はまだ許容しやすいのかも知れないが、大阪で孤独を感じてしまうと、沼にはまって抜け出せないような孤独を感じ、悩んでしまうと思う。
大阪が好きになった今、自分はそんな人に何が出来るんだろう?と考える。
出来る範囲で優しくすること、はもちろん大切だけど、何より大切なのは、「大阪死ね!」と思っていた時の気持ちを忘れ切ってしまわないことかもしれない。
そしてそれは大阪に限らず、何かに対して「死ね!」と思ったこと全般に対して、そうなのかもしれない。