付き合い始めた頃
正式にいつ、とははっきりとは覚えてはいないが、付き合い始めた頃、俺は61歳になっていた。
バツイチになって数年経った頃で、知人を介して彼女と知り合った。
ビックリするほどのエネルギーと、脳天気なお調子者っぽい雰囲気で、だけど目の奥が寂しげな人だった。
会って早々に彼女に言われた。
「貴方って会社でエロサイト隠れて読んでいたクチでしょう?」と。
身に覚えが無かったので否定はしたが、何処かで見透かされていたようにも思えた。
なんて失礼な聞き方だろう、とも思えるこのセリフ。内心ちょっと嬉しかった。
体裁で良い人風で生きていてもつまらないし、彼女も出来ない。ちょうどそんなタイミングだったから、彼女といれば自分の殻から抜け出せるとも思えた。
その当時、彼女とこのような未来を歩むとは想像しなかったけれど、今は彼女と出会うための過程の中に過去が存在するかもしれないとも思える。
そしてそう思うほどに、亡くなった両親にも、元かみさんにも感謝が溢れて来て、余計彼女が愛おしく思える。
今だから堂々と言える。俺はセックス好きだ〜という事。