若きバスク人GKのサン・マメスデビュー戦
出場可能な選手が足りないチームのなかで、無名の若手がまぶしく輝く。ラ・リーガではよく見る光景だ。昨季のシャビ・バルサが得意としたパターンではあるが、決して彼らの専売特許ではない。
ラ・リーガの24-25シーズンはサン・マメスで開幕した。ホームでリズムに乗れないアトレティックを救ったのは、アレックス・パディージャだった。彼にとってこの試合は、トップチームでのデビュー戦でもあった。
🔝❌ La carta de presentación de Álex Padilla a San Mamés.#LALIGAHighlights | @AthleticClub pic.twitter.com/sCUFrdJvEG
— LALIGA (@LaLiga) August 15, 2024
20歳のゴールキーパーが真価を発揮したのは後半だった。アレーニャがパレデスをかわして放ったシュートを見事に弾き出した。チームが勝ち点1を拾うための決定的な活躍だった。このパフォーマンスで、サン・マメスに詰めかけるファンを魅了した。
アトレティックのキーパーとしてピッチに立つのは簡単なことではないが、彼はまずひとつ乗り越えた。サン・マメスでのトップチームデビューという難題を見事にクリアし、正ゴールキーパーの不在を忘れさせた瞬間だった。
🆕 Debut oficial de Padilla en @laliga con el Athletic.
— Athletic Club (@AthleticClub) August 15, 2024
👏 ¡Gran trabajo, Alex!#AthleticGetafe #AthleticClub 🦁 pic.twitter.com/9vuKhtPxRX
7月、エルネスト・バルベルデは頭を抱えていた。ウナイ・シモンはEUROの直後に手首を手術し、4ヶ月ほど離脱することが決まっていた。セカンドゴールキーパーのアギレサバラは脊椎の側面に3ヶ所の骨折を負い、おそらく9月までプレーできない。8月を待たない時点で、トップチームからゴールキーパーがいなくなった。
プレシーズンマッチに出場したパディージャは、強敵との対戦で失点を重ねた。そのパフォーマンスには疑念が生じていたものの、実力は折り紙付きだった。昨シーズンはセグンダ・フェデラシオンでプレーし、26試合11失点16クリーンシートという驚異的な活躍をみせた。その活躍で、ビルバオ・アトレティックのプリメーラ・フェデラシオン昇格に大きく貢献した。
「プレシーズンで多くのゴールを許したにもかかわらず、自分を信じ続けており、うまくやれると確信していました」
バスク州ギプスコア県サラウス出身の彼は、U19スペイン代表でも6試合に出場した。今年3月に国旗を変え、母の故郷であるメキシコのU23代表チームの一員としてアルゼンチンとの親善試合も経験している。
アトレティックで20年以上にわたってゴールキーパーを育て続けたペイオ・アギレイラは、パディージャの能力に疑念を抱いていなかった。
「彼の高さを考えると、敏捷性はないが、大きくてゴールを広くカバーできる。技術的にも戦術的にも準備ができていると思う。レサマ(下部組織)で5年間過ごし、よくトレーニングを受け、アトレティックのゴールキーパーが何を求められているか、フィールド上だけでなく他の面でも理解している。彼はしっかり学んできた。そこから先は心理的な要素だ」
190cmの長身はウナイ・シモンと同じだ。バスク人らしい優れた体格を備えている。彼はアトレティックの育成部門が求めていた選手像に合致していた。
アギレイラが率いたキーパー育成体制は、ケパ・アリサバラガ、ウナイ・シモン、フレン・アギレサバラ、アレックス・レミーロを輩出した。パディージャはここに名を連ねる存在となる。ヘタフェ戦でのデビューパフォーマンスは、クラブのキーパー育成体制が健在であることを証明した。
本来のセカンドゴールキーパーであるアギレサバラが回復すれば、パディージャはベンチに戻る予定だ。その後はウナイ・シモンが復帰する4ヶ月後まで、アギレサバラの控えを務めることになる。
しかし回復状況によっては、第2節のバルセロナ戦でも20歳の彼がゴールマウスを任される可能性はある。優れた体格と能力に、確かな自信をひとつ積み上げたところだ。サン・マメスのプレッシャーに適応し、トップチームで居場所を掴むための第1歩を踏み出した。
開幕節の最初の試合で、無名の若手の花開く瞬間を見ることができた。近年のラ・リーガをみる楽しさといえば、この瞬間である。たまらなく好きだ。