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「高い目標」はなくてもいい―”小さく創り出すこと”の大きな力
実は人生で、ずーーーっと悩んでいたことがあります。
それは「人生を賭けるような高い目標が見つからない」ことでした。
大学生の頃「いつか起業したい」と思い、ベンチャー企業でインターンシップをしたものの結局、そのまま卒業後に就職。興味のある分野へ転職しては事業の立ち上げに関わり、面白く仕事をしていました。
それでもなお、「私には人生を賭けるような目標が見つからない」と心の中で嘆いていました。会社員時代は「目標となる何か」や「天職があるのではないか」と考えては探し続け、社外活動も主に勉強面を色々試してみました。英語の塾に通ったり、MBAの授業を体験してみたりなど「これはヒントになるかも?」と思うものに手を出したり。
それでも見つかりませんでした。
そんな時、ある本に出会いました。
ロバート・フリッツの『自意識と創り出す思考』という本です。
「自分は何者なのか」ではなく、「自分にとって大切なことをどれだけ創り出せているか」にフォーカスを移そう。
それができたら、世界は一変する。
必要な能力を身につけ、学び、行動し、適切な方針を持って作り出しせるようになっていく。
この本を読んだ後、「私の人生にとって、とても大切なことが書いてある気がする! もっと学んでみたい!」と夫に話したのを覚えています。そこで、インターネットでロバート・フリッツについて調べ、彼の考え方を学ぶ基礎講座に申し込みました。
「今度こそ、長年探し求めていた答えが分かるはずだ!」と期待に胸を膨らませて。
師匠ロバートからの、あっけない回答
2019年の初頭に開始したオンラインクラスでは、ロバート本人からも直接講義が受けることができ、質問もできました。
そこで満を持して、私はこう尋ねました。
「人生で何か大きなテーマを決めて、それに向けて創り出したいと思っているのですが、そのためにはどうしたらいいですか?」
ロバートは、すぐに答えてくれました。
「何か小さく創り出すことだよ。皿洗いでも、夕飯の支度でもいいんだ。創りだすことに慣れれば、それから徐々に大きく創りだせるようになる。」
ロバートなら重大な秘密を教えてくれるはずだと思っていた私は、この回答に正直なところガッカリしてしまいました。
「うーん。皿洗いが、私の人生の目標が見つかることにつながる気がしない・・・」
しかし、ロバート自身も食事を作るのが好きで料理を楽しんでいる話をなどを交えながら「小さく創り出す」ことの大切さを教えてくれました。
そこで、自分の考えや感じていることを書き出すジャーナリングを始めてみるなど、小さな行動を少しずつ取り入れ始めたのです。
”自分にとって”大切なことを見分ける
その後、ロバート本人が来日する際のワークショップなどで学ぶうちに、少しずつ「自分にとって大切なことを創り出す」実践に慣れてきました。
とはいえ「自分にとって」というのは簡単そうで意外と難しいものでした。
なぜなら、「○○すべき」といった思い込みに引っ張られてがちだからです。
たとえば、転職しようと考えていた時に、ロバートに「転職しようかどうか悩んでいる。でも失敗してしまうかもしれない」という相談をしたことがあります。
ロバートの答えは、いつもシンプル。
「失敗するかどうか、今わかるのか?」
このやりとりを通じて「失敗してはいけない」という思い込みに自分が囚われていたことに気づきました。新しい仕事にチャレンジしたいかどうか、新しいことを創り出したいかどうか?ーーそれで判断すればいいのだ、と。
こうして「自分にとって大切だと思えること」と「他の人や社会にとって大切だと言われていること」の区別が段々とできるようになっていきました。
新型コロナが分岐点に
そして2020年に新型コロナがやってきました。在宅育児と在宅勤務の両立を目指しましたが、朝から晩までSlackやメールに追われる日々と育児の相性は悪く、すっかり疲れ果ててしまいました。いわゆる燃え尽き症候群の状態だったと思います。
「コロナの期間は、キャリアよりも自分と家族の健康の方を大切にしよう!」と決めて会社員のキャリアを手放せたのも、ロバートの考え方を学んでいたおかげです。
プログラミングで、自分の関心にようやく気づく
2021年夏、たまたま目にした記事を読んだことがきっかけで、「自分でソフトウェアを作って起業してみたい」と思いG’s ACADEMY(以下ジーズ)でプログラミングを半年学ぶことにしました。
ジーズには毎週課題があり、期限が決まっている中で「どうすれば自分が創りたいものを作れるか」にひたすら集中しました。事業の企画というよりも、当時保育園児だった娘が喜びそうなプログラムを作るなど、「その時作りたいと思うもの」を形にしてました。
とある週に「チャット機能を作ってくる」という課題が出ました。
そこでチャットについて考えるうちに、「ビジネスチャットは流れて見落としやすい」と、自分自身の課題感に気づいたのです。そこから、チャットから簡単に議事録を作成できるアプリを作り、提出しました。
そこからチャットベースの働き方や、多数のツールに囲まれて情報・タスクを見失いやすい現状をさらに深掘りしていくと、私だけではなく多くの人が同じ悩みを抱えていることに気づいたのです。
もともと仕事術や手帳術などのジャンルは自分の興味関心のど真ん中。
(意外と自分では、自分の好きなことに気づきにくいものですね)
「多くのツールに振り回され、キャリアも諦めた私だからこそ、このテーマに取り組めるはず。今の働き方をもっと持続可能なものに変えよう!」と決意し、2022年に起業。
現在はタスク管理のツール開発と研修の提供を提供しています。
そう、ふと気づけば。
ずっと思い悩んでいた「人生で何か大きなテーマ」が自然と生まれていたのです。
「ああ、ロバートが言っていたのは、こういうことだったのか!」
今になってようやく分かります。
ロバートに出会ってから、数年はかかりましたが。
(ロバート・フリッツをワークショップなどで体感したい方はこちら!)
大谷選手だって、最初は野球が楽しい、から始まったはずだ
大リーグで大活躍の大谷選手は、高校時代から人生の中での高い目標を立てていたことでも知られています。でも本当に最初の最初は、小学生の頃の「野球が楽しい」「野球が好き」という純粋な気持ちから始まっているはずです。大リーグに入りたいから野球を始めたわけじゃない。
すなわち、高い目標は実際、”行動した後”に結果として心に宿るもので、”行動する前”には見つからないのではないでしょうか?
トップダウン的に目標から逆算して行動計画に落とし込むアプローチもありますが、それは「こう創り出したい」という具体的な思いがある人向けだろと考えています。
実際には、短時間でできる活動を主体的に試しているうちに、面白さや没頭したいテーマが見えてくるものではないでしょうか?本来ボトムアップ的な活動の結果として、目標を持つものなのではないでしょうか。
やりたいことが明確でない人に「高い目標を持て!」「夢を持て!」と言うだけでは、「見つからない……」と苦しむだけになってしまうことも多い気がしています。
少なくとも、私は長年そうでした。
そもそも、目標を持つかどうかは人間の“義務”ではありません。もっと自由でいいはずなのに、「目標を持たねばならない」という間違った思い込みが私の中に横たわっていて、それが結果的に私の人生に謎の苦しみを与えていたのだ、と今となっては気づきます。
まずは今日1日を小さく創り出すことから始めてみる
いま私が研修で行っていることは、ChatGPTを使ってタスクを細分化するコツをお伝えしながら、作業時間を割り当てて集中し、タスクを終わらせる習慣をサポートすることです。
朝15分×7日間という短いトレーニングでも、3期目の受講者の皆さんからも「仕事がとてもはかどるようになった」「1日をデザインしている感覚があって充実している」など、大きな効果を実感していただいています。
・習慣化や細分化について、実践ができてとても仕事がはかどるようになりました。
・毎日のタスク管理で1日を、生活をデザインしている、そんなコントロール感を持てている今、とても充実しています。
・ありがとうございました!感動です。会社のオペレーション改革のヒントも得ました。
・仕事をお願いする時も、お願いされる時も、より具体的に期日などを確認しながら進められるようになりました
・たった15分朝に話すだけでこんなに意識が変わるものかと感動しています。
そして、多くの受講者の方が「中長期的な物事を進めるためにはどうすればいいのか?」という質問も多く出るようになるのが印象的です。
1日1日を主体的にデザインできるようになり、タスクが今までより短い時間で片付くと、思考の余白が生まれていきます。
その余白によって、より大きなことにチャレンジしたいという意欲が湧いてくるものなのだと実感しています。
今までの受講生の方々には、これから中長期の目標に取り組むための、とっておきのロバートの方法をお伝えする予定なので、とても楽しみです!
研修は3月にバージョンアップしてお届け予定です!
研修は3月からバージョンアップして再開します。
「やってみたい!」という方は、最新情報を、X(@yoshienagatomo)と、noteでご案内しますので、よろしければフォローいただけたら嬉しいです。
今後も、タスク管理に役立つ情報を発信していきます。
株式会社Zenmetryの長友でした。ご一読いただきありがとうございました!
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