見出し画像

「クルエラ」を観てきました

~ 華麗に ド派手に 憎い相手に 下剋上 ~

ヴィラン誕生の物語と聞くと陰鬱な話なのかなと思いがちですが、そんなこともなく終始テンションが上がる魅せ方でスカッとする映画でした!!
全体を通してキレイにまとまっていて、見やすいし飽きない作品だったように思います。


以下ネタバレあり




物語の立役者でありマジで気に入らない上司

バロネスが本当に傲慢というか気に食わないキャラクターだったのがこの復讐劇を非常にスカッとするものにさせてくれました。

デザインを見極めるセンスは持ち合わせているのだろうけど、自身で一からデザインする描写がなく、社員にデザインさせたドレスを見てコメントを言うだけ...。そして自分以外は無能だと思っているという絶対に上司にしたくないランキング堂々の1位みたいなのが悪役だったからこそ、この復讐劇は観ていて気持ちいい。

「バロネス様の言うことは絶対!」であり、基本的に部下はYESしか言えないし、たわいのない会話もできない。何かあってもバロネスから謝ることも感謝することもない。さらには感謝の言葉を敗者の言葉だとすら思っている尖った考え方というのが、ここまでくると逆に気持ちいいくらいの悪役でしたね。

自分は有能で全部わかっていると言った態度で部下に指示するものの、全部出し抜かれているし、「家を割り出して焼く」とか過激な反撃しかできないのはなんとも無様。
途中クルエラの正体に気が付いているような発言もありましたが、それでも自分でデザインをせず、エステラに頼ってしまっていた時点でデザイナーとしては勝ち目のない勝負になっていたのではないでしょうか。

偉くなると手を動かさなくなり、判断をするのが仕事になることも多いでしょうが、ピンチの時は指示命令だけでなく"協力をする"という選択肢もあると思います。ただこの映画ではその選択をせず終始気に入らないキャラクターだったからこその面白さでしたね。
そしてこのピンチのときに協力をするという"選択"をとったのがクルエラであるというのもキレイな対比になっていました。


クルエラを認めてくれた存在

溢れんばかりの才能に蓋をされ続け認められずに生きてきたエステラが、盗人仲間と楽しく生活している中で人間性や衣服の制作力の高さを認められる。これは母親と同じく、"デザインについては知らない"けど"自身を認めてくれた存在"だからこそ、同居人や盗人仲間を超えた家族になったのだろうと思います。
そして才能に蓋をするのではなく、活躍のきっかけを与えてくれて、その後も助けてくれたというのが終盤の"選択"につながってるのが良かったですね。
一方バロネスは"一番認めてほしかったデザイナーとしての才能を初めて認めてくれた存在"ではあるものの"認めているのは才能だけで、性格等の人間性を認めているわけではない"というのもまた面白いですね。

復讐劇へ

バロネスが母親殺しの犯人であることに気がついたところから一気に物語が進みましたが、作戦を遂行する度に過激に変化し「次はどんな作戦でバロネスを出し抜いてくれるか」をワクワクしながら見てました。

派手に登場して話題をかっさらっていくかと思えば、大衆を焚きつけてライブをやってみたりと、わかりやすくインパクトのあるシーンは圧巻。

ドレスに仕掛けをして、わざと盗むふりをさせて、といった作戦はまったくオチがわからなかった。金庫を開けたときに「あっそうゆうこと!?」とこちらにもびっくりな手法でしたね。

復讐が進む度にクルエラの行動がバロネスに似ていき、ジャスパーやホーレスに対する態度が変わるにつれて、危うさがどんどん引き立てられているようでドキドキしました。
この似ているというのも理由付けがあり、それが物語の根幹を担う内容だったというのに驚いてしまいました。
冒頭のシーンがあっただけに普通にキャサリンから生まれたのだと思い込んでいたために驚いたというところですね。
思い返せば病院ではなく自宅で出産したこと、お金持ってそうな内装だったことに違和感はありましたが、真実が明らかになるころにはすっかり忘れてました。

クルエラの正体と真実

命を狙われ、隠れ家を焼かれ、家族同然の仲間は捕まってしまった。そこで真実を聞かされ、母親が"普通になれ"と言っていた意味に気が付き、精神的に追い込まれてしまう。このピンチの時に前述してきた"選択"を迫られることになります。ジャスパーとホーレスにまた協力をしてもらおうにも、当然これまでの態度を"謝罪をする"必要がある。これをするかしないかが物語の大きな分岐点だったではないでしょうか。
仲間に謝罪し足蹴にせずに協力を依頼することができなければ、バロネスと同じようなキャラクターになっていたでしょう。
ちゃんと仲間に気持ちを打ち明けて仲直りできたことで、クルエラがより魅力的なキャラクターになったように感じます。

ラストパーティ

参加した女性が全てクルエラのコスチュームを着ている状態にしてバロネスの心を効果的に折ってくるあたり容赦がない。
そこで始まるスピーチでバロネスからクルエラに対し感謝を述べるシーンは鳥肌ものでした。
エステラに言われる度にイライラしていた感謝の言葉、敗者の言葉をついに自分でクルエラに言う状況に追い込まれている!!とニヤリとしてしまいました。
その後、母を殺した崖で復讐を果たすという熱い展開。
改心して抱きしめるだけにしておけばよかったのにやっぱり突き落として捕まっちゃうバロネスの自業自得感と、全て目論見通りに進んでメッチャ楽しそうなクルエラ。このオチはスカッとしましたね。

葬儀

この物語は単なる復讐劇ではなく、二人の母との決別であることを初めて理解しました。
バロネスは才能を認めてくれたけど、母を殺し、自分をも殺そうとした相手。
キャサリンは愛していたけど、真実を隠し、バロネス譲りの傲慢さを恐れ普通でいろと窮屈を強いてきた相手。
どちらもいい面はあったけど、自分は別の道を行く。
そのためにエステラの葬儀を行い決別をしたというのは、ヴィラン誕生の物語としてすごくきれいにまとまっいてすっきりしました。


最後に

ディズニーにはあんまり詳しくないし予告もそんなに観てない状態でしたが、映画館の休業が明けたしせっかくだから観に行こう!と思い観に行きました。とにかくクルエラがカッコいい。衣装も立ち振る舞いも音楽も、キマッててテンションが上がるメッチャいい作品でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?