『なぜ科学はストーリーを必要としているのか』と『ゲーム・オブ・スローンズ』と『人志松本のすべらない話』を通して感じたこと
ちょっと今更かもしれないが、『なぜ科学はストーリーを必要としているのか』がよかった。
ぼくはありがたいことに、サイエンスライティングについて講師をさせていただく機会をもらった。そのため、自分の経験を整理する意味も込めて、いくつか本を読んでいる。
「たくちゃんはきっとこれがいいよ」
幸枝さんがそう言って差し出してきたのがこの『なぜ科学はストーリーを必要としているのか』だった。
「講義をやるのに、このちょっと軽い感じのテイストの本が参考になるのかねぇ・・・」と思いながらも、ぼくはページをめくることにした。
結果的に、この本はぼくの中に、サイエンスライティングにとどまらない、とても強い考え方を残すことになった。
この本の良いところはメッセージがシンプルなところだ。
「ストーリーってめちゃくちゃ強い伝える力を持っているんだぜ」
というのが1つ目のメッセージだ。本の半分はこの話ばかりを繰り返しているといっても過言ではない。
さらにそのストーリーについてもシンプルに提示してくれる。
「最強のストーリーのテンプレートはABTなんだぜ!」
ABTとは、And(そして)、But(しかし)、Therefore(したがって)の頭文字で、いいストーリーっていうのは「〜〜〜そして〜〜〜、しかし〜〜〜、したがって〜〜〜」の流れでできているんだ」という主張だ。こ
の本のもう半分はこの主張でできている。
「ストーリは伝える力最強!」「最強のストーリーはABTで作れる」
この著者のシンプルな2つのメッセージ。わかりやすいし、活かせそうだけど、ホンマかいな?読んだ直後はそう思ってしまうところもあった。
ただ、最近、この本の外で、2つのメッセージへの信頼がぐっと深めるものがあった。
それは「ゲーム・オブ・スローンズ」と「人志松本のすべらない話」という2つの人気コンテンツだ。
ありとあらゆる賞を総なめにしたアメリカのファンタジードラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』。その最終エピソードの重要なシーン。すべての争いが終わり、最後に七王国の君主を選ぶ場面で、影の主役ともいえるティリオン・ラニスターはこう話す。
「人々を団結させるのは、軍隊か、金か、旗印か、『ものがたり』だ。よい『ものがたり』ほど強いものはなにもない」
まさか、ここでものがたり(ストーリー)の力が語られるとは・・・。
そして、『人志松本のすべらない話』。人気芸人がエピソードトークだけで笑いの渦をつくる番組だ。
流れるように繰り出される面白い話を、ひとつひとつ丁寧に聞いていくと。話が上手な芸人さんほど、その根底にABTのテンプレートがある気がする・・・。
『なぜ科学はストーリーを必要としているのか』、『ゲーム・オブ・スローンズ』、『人志松本のすべらない話』。この3つを通して、ぼくは一つの結論に到達した。
ぼくもABTを意識して文章を書くようにしてみよう!
『なぜ科学はストーリーを必要としているのか』、ちょっと同じことを言い過ぎてくどい部分もありますが、おすすめですよ!