-2013年9月-
野田は新聞を手に長野のホテルの朝食会場に居た。
この年は国体が東京で行われ、地元開催がゆえのプレッシャーの中、優勝は厳しいと言われていた東京チームの強化コーチとして、最終合宿の最中だった。
中学生、高校生は8月にそれぞれ全国大会があり、それからまた約3週間、コンディションを維持しなくてはならない。かつ他所属のコーチや選手と、チームを作っていくのだから非常に難しい側面がある。
この合宿は、非常に重要な意味を持つ。
《この1年、あっという間だったな。》
野田はこれからのことよりも、新たな地での激動の日々を振り返っていた。