Crypto Spells(クリプトスペルズ)ベータ版を遊んでの感想
皆さんこんにちは、一流地雷踏み職人のヨシダです。
今回は、過去取り上げたブロックチェーンTCG、Crypto Spells(クリプトスペルズ)が無事β版のローンチに至ったということで感想などを述べたいと思います。
前回取り上げた経緯はこちらを参照ください。
※このおじさんどこいったの?
ざっくりまとめるとこういうことです。
・2018年10月「世界初ブロックチェーンTCG」と銘打ってプレセール開始
・いろんなポイントでめっちゃ燃えて返金騒ぎに
・サービス中止・返金を行ってこの4月再始動
というわけです。(宇宙一わかりやすい)
この場であえて何が悪かったかは振り返らず、未来志向で行きたいと思います。今回はβ版を遊んで見ての感想をつらつらと。
多分、ゲームとしての出来(中身、UI)と、オフゲーム(ゲーム外での動き)に言及するもの両方が必要そうなので両方に言及したいと思います。
1.ゲームとしての出来
まず是非こちらで一度触ってみていただければ幸いです。
ーゲーム自体の面白さ
良いところ:普通にハースストーンライクなDCGになっていること
悪いところ:それ以上の何者でもないこと
ハースストーンライクなDCGに仕上がっています。
いわゆるハント式(自由に攻撃対象を選べる)で、各リーダーごとにクリプトスペルズ(必殺技的なもの)が一枚配られ、それと独自のカードを使って30枚のデッキを構築します。
プレー感はエフェクトなどの枝葉末節とマッチングを除くと、「普通にプレイできるじゃん!」という感じ。ゲームバランスとしてはだいたい10T目くらいにはゲーム終了するくらいで長くもなく短くもなく、という印象です。
しかし、それだけです。
「ブロックチェーン」という要素を除いたとき、このゲームの新たな面白さはどこにあるのか?今の所私は見つけられていません。
シャドウバースはより美麗な絵とエフェクト、カード追加の速さによる環境変化、「進化」という独自システムによりプレイ感を変えました。
ドラクエライバルズは「配置」という概念をより重視。同じキャラクターでもどこに置くかで強さが変わるポイントに戦略性を必要います。
それではクリプトスペルズで私達はハースストーンにないどんな要素を愉しめばいいんでしょうか?今はもう失ったシンプルさ?それとも、後述するオフゲームの動きしかないのでしょうか?
後者だとすると、やはりゲーマー向けのゲームではないんだろうな、という思いが生まれてしまいます。その辺りは後述。
ーUI部分
ローンチまでに私が最低限直して欲しいと思う点は以下の通りです。
(細かい点には触れるつもりはあまりありません)
・スマホでプレイすることが非常に厳しい(画面が小さくなる)こと
・マッチングの切断の多さ
・レベルアップしたかどうかすらわからないこと
(採掘できるかどうかに関わる)
・デッキ構築画面のわかりにくさ
(3枚制限ならそもそも3枚入れられないようにしては?)
・思考時間があまりに短い
・テキストが試合中読みにくい
・「連撃」など能力語ががなにかゲーム内だけではわからない
(マウスオーバーなどで説明が入ったりすると良)
UI周りで大きく修正をお願いしたいところはこのくらいです。そもそも豪華なビジュアルやサウンドには期待していないので、その辺りには全く触れる気もありませんし、ゲームバランスなどにも触れるつもりはありませんが、もうちょっと「遊びやすい」デザインにするとしたら特に上の2つは急務と言えると思います。
また、今はマッチングしていますが、フリーマッチングのためであり、ランクマッチが実装された場合にマッチングがなされるかどうかはまた別の問題であるということを付言しておきます。
2.オフゲーム(ゲーム外)の動きについて
まず、ホワイトペーパーを引用します。(TCGプレイヤーに向けて、の部分。長いですが全部引用します)
クリプトスペルズの目標は『不平等なカードゲーム』の実現です。
一般的なDigital Trading CardGame(トレードできないので、そもそもTradingではないかもしれません)ではデジタルの長所を生かし、全てのカードが揃い、全てのユーザーが同条件でプレイすることが基本です。
一方で、「自分でデッキを考えるゲーム」ではなく、まずは攻略サイトを見て「決まったメタデッキを作るゲーム」という側面も同時に生まれました。しかしながら我々は、カードゲームの面白さは「メタデッキを作り、ひたすら勝率を上げる」ことだけではないと考えています。
子供の頃はおこづかいも限られており、今のデジタルTCGのように全てのカードが揃うということはありませんでした。その制限された環境の中で、友達の持っているカードを考えながら、自分で新しい「クラス最強デッキ」を考える時間がとても楽しかったのを覚えています。
ブロックチェーンの登場により、デジタルデータにも”オリジナル”と”レプリカ”という概念が誕生しました。その特徴を生かし、デジタルTCGで実現ができなかった「アセットの資産化」、アナログTCGで実現ができなかった「インセンティブによるトークンコミュニティの形成」に挑戦して参ります。
また、、クリプトスペルズでは、従来のTCGと違い全てのユーザーが「バトルで勝利すること」のみを目的としません。無課金でカードを採掘しマーケットで売却する「マイニングユーザー」、新しいデッキを考案する「デッキビルダー」、メタを予想しながらカード売買を行う「トレーダー」など、様々な目的を持ったユーザーが混在しながら、本ゲームのエコシステムを持続的に成長させていくことを目的とし、その実現に向け尽力してまいります。
最後となりますが、カードゲームの楽しさは、1万人の大会で優勝を目指すことは勿論素晴らしいことですが、クラス20人の中で、お金持ちの子もいたり、カードを借りて初めてプレイする子もいたりする中でのわちゃわちゃした大会も、楽しさなのかもしれません。
いくつか、言いたいことがあります。
(否定的な意見も述べます。ご寛恕ください)
TCG、DCGの既存ユーザーが楽しんでいるポイントを「メタデッキを作り勝つこと」と定義されていますが、勝手な話です。クリプトスペルズでも当然起きる問題ですし、そうでない楽しみ方をしている既存ユーザーだっていくらでもいます。「デッキビルダー」などは当然の概念です。
また、身内でわちゃわちゃ楽しむことも楽しみの一つ、とした場合に、ではなぜそれをクリプトスペルズでやるのか?ということになりませんか?資産レベルが同じの友達とシャドウバースなりハースストーンなりをやれば楽しいのではないでしょうか?
あえてやはり言及すべき部分は「マイニングユーザー」「トレーダー」の存在でしょう。この部分に楽しみを見いだせる場合にはクリプトスペルズをやる意義があり、そうでない場合にはやる意義がない、ということとなります。
そして、金がある人がここに費用を投下すれば当然強力なカードが揃い、そのユーザーは強力なカードを引く可能性が高まります。
(以下「採掘システム」の説明より引用)
排出ロジック
完全には非公開となりますが、下記などの要因によってレアリティの高いカードの排出確率が上昇する場合がございます。
・”価値の高いカード”をデッキに組んでフリーバトルを行う
・フリーバトルで”連勝”する
持てるものがより強い資産を持ち、それにより得た強力なカードで勝利し、新たな強力なカードを得てそれを資産に変える、このゲームはそういうゲームを志向しているように感じます。
これを楽しめるかどうかは、人それぞれだとは思いますが、
「20人くらいの仲間内で、友達とわちゃわちゃする」の世界観とこの方針は少なくとも合致していないように思われます。
いや、不平等なゲームなんだから、と言われればそれまでです。
しかし、僕はゲーマーとして、「面白いゲーム」にお金を払いたい。
決して「お金がもらえるかもしれないゲーム」にお金を払うのではないのです。この値動きのマネーゲームに面白さを感じられるなら投資すべきですし、そうでないなら触らないのが賢明だなと私は思います。
クリプトスペルズの運営の皆様には非常に厳しいことばかりを述べさせていただきましたが、今後「面白いブロックチェーンゲーム」の可能性を是非広げていただきたいという気持ちは本当にあります。(ゲーム業界の裾野が広がるのはいずれにせよよいことです)
ぜひ中長期的に繁栄するゲームとなることを祈り、筆を置きたいと思います。乱筆乱文失礼致しました。
(了)