『ぼくのPlayStationClassic』part.1 「刻命館」~黎明期に現れたダークトラップシミュレーション~
※文字数約2,500文字 サクッと3分くらいでお読みいただけます。
本稿は、思い出の20本のプレイステーションソフトについて紹介・思い出語りをするコンテンツです。
他のタイトルはぜひこちらの【予告編】を御覧くださいませ。
先日このnoteにて楽しく20本を挙げた本企画、それぞれのゲームをどう深掘りするか考えました。年代別・ジャンル別など検討したのですが、やはり1本1記事がベスト。不純物なく1本について語りたいと思います。
栄えある第1号は「刻命館」(1996.7.26 テクモ)
※OPムービーを見て気持ちを盛り上げてください
目次
・どんなゲーム?
ー概要
ー特徴
・思い出語りパート
・どんなゲーム?
ー概要
スピード感をもってwikipediaから引用します。
『刻命館』(こくめいかん)は、1996年7月26日にテクモから発売されたPlayStation用シミュレーションゲーム。続編として、本作のトラップを仕掛けるシステムのみを継承発展させた『影牢 〜刻命館 真章〜』『蒼魔灯』『影牢II -Dark illusion-』『影牢 〜ダークサイド プリンセス〜』『影牢 〜もう一人のプリンセス〜』 があり、これらの作品を「刻命館シリーズ」「トラップシリーズ」と呼ぶ事がある。
1996年夏、プレイステーションがまだ完全に覇権ハードとも言えない時期に出た本作。次世代機らしくポリゴンを活かした一人称のシミュレーションゲームです。
※なんと美麗なポリゴン
画像はPSゲームアーカイブスより。
つまり今でもプレイ可能です
ー特徴
本作の特徴はダークなストーリーとストーリーに連動したダークなゲーム性
何せゲーム開始時点で即実弟に裏切られて火炙りになるところからスタートです。
導入はこんな感じ
主人公はゼメキアという国の第一王子、隣国エンゼリオの姫フィアナと結婚が決まり、城に姫を連れ帰ります。そして父である王と謁見の最中に王が何者かの手にかかり死亡。主人公は第二王子であるユリアスと大臣ザムールにより濡れ衣を着せられ処刑台に立たされます。
昨日までは自分のことを敬慕の目で見ていた民衆たち。今となっては王殺しの罪人として罵声を浴びせられ、火刑にかけられながら主人公は叫びます。
「神よ!いや、悪魔でもいい、誰か私に力を!!!」
火刑台に落ちる落雷。主人公の姿は忽然と消え去ります。
消えた主人公は気づくと森の中。謎の女による「刻命館に向かい、魔神と契約せよ。そうすれば力を与える」という言葉を頼りに、館に向かいます……
う~ん、玄人向け。
このあとも、
・明らかにイカれた館の主が現れる
・優しい人に助けてもらう
・イカれた館の主を倒す
・助けてくれた優しい人を殺すミッションを与えられる
(当然回避などできない)
など、電源をつけて10分あるかないかのうちにたくさんの衝撃を与えてくれるゲームです。
その後館の主人となった主人公は館に来訪する人々を老若男女・善悪を問わず原則殺戮し続けます。(例外的に保管し、モンスターの合成素材とします)
主人公は直接戦うことはしません。
・壁から鉄のヤリを出して刺す
・天井から鉄球を落として潰す
・檻で捕まえる
などの「トラップ」により戦います。
※忍者なのがちょっと世界観怪しいですがこんな感じ
最初は迷い込んできた旅人や商人ですが、ガンガン殺すにつれて評判が広まり、主人公には懸賞金がかかります。
※この人はやばい人ではなく、
娘さんの手術代を稼ぐためにきた優しいお父さんです
そして色々あり結婚予定だったフィアナ姫が館に滞在することになりますが、
①主人公がガンガン人を殺す人になってしまったことに幻滅して失踪
②追手に殺され姫は死亡(モンスターに転生させることが可能)
のどちらかの展開となります。
う~ん、玄人向け。ちなみに姫を転生させたモンスター、メチャ強いです。
その後討伐軍も本格化。勇者が現れたり、冴えない魔術師が勇者の血統に目覚めて力を発揮したりして向かってきますが、おおよそ全員殺します。
王になった弟も殺します。
その後もなんやかやありますが、最終話のタイトルを見ていただければどんな感じかはおわかりになるかと思います。
第27話 絶望の結末
ちなみにこの時代からエンディング分岐を取り入れています。テクモすごい。しかし、原則スッキリするエンディングはありません。
う~ん、玄人向け。
・思い出語りパート
なぜこんな玄人向けのゲームを取り扱うこととしたのか?
それはこのゲームが、私が10歳の頃初めて買ったゲームだからです。
なぜこのゲームを選んだのか、いまいち記憶にありません。多分Vジャンプで特集が組まれていたのでしょう。
初めてのプレイステーション、ディスクを入れ、電源をつけます。
前掲のおっかないOPが流れます。きつい。
※ふたたび
スタート画面でボタンを押すとクソ長いロード画面に襲われます。きつい。
NEWGAMEを選び、ゲームを始めると最初の最初からぶっ飛んだストーリー。きつい。
アイテムを拾わなければいけないシーンにぶつかりますが、「視点変更しなければ拾えない」仕様にぶつかり、拾うことができず3ヶ月積みます。きつい。
殺したときの悲鳴が怖い。きつい。
メモリーカード15ブロックのうちの9ブロックを使う。小学生に2,000円の追加出費はきつい。
このように、なぜか最初からハードモードを選んでしまい、しばらく積みまくりまともにプレイしたのはだいぶあとになってしまったのでした。
……しかし、改めてやってみるとメチャ面白い。
ダークなストーリーは、「トラップで戦う」というゲーム性と密接に関わっていますし、エンディングの分岐も考えさせられるもの。
ゲーム性としてもつまづく箇所は出てくるも、工夫すればなんとか進んでいける、歯ごたえのある難易度。
「あれ、いいゲームだなこれ」と振り返ったときに気づいたのです。
続編も出ました。
しかし、シリーズは「トラップアクション」の方に軸をシフトし始め、ちょっと個人的には嬉しくない方向にいきました。個人的にはこのダークな世界観、救いのないストーリー、それらと齟齬がない世界観内のトラップでいてほしかったな、と思うのです。
※最新作はこちら
『敵をトラップにはめるカ・イ・カ・ン♪ 』とか
そういうことじゃねえんだよなあ、おじさん的には
売上13万本、同年に出た同じく3Dの先駆けである「バイオハザード」と比べれば大ヒットとは言えないかもしれません。
しかし、『ぼくのPlayStationClassic』を選ぶとしたらこの一本は絶対に外せない、思い出の一作なのです。
(了)