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企業にとってオンライン化は本当に必要か?(コロナ禍2020)


  • 2020.10.29

  • トレンド

2020時点での判断 ~導入を見極めるポイント~

今回のテーマは、「中小企業にとってオンライン化は本当に必要なのか」。

自社の状況に焦りを感じている経営者の皆さん、ぜひご一読ください!


ポイントは、「即対応できる状況にあるか」

コロナ禍により、企業のオンライン化が一気に進んだように感じている方が多いようです。

自社での対応の遅れに焦り、「何から手をつければいいのか、どこまで対応すればいいのか」といった声も耳にするようになりました。

結論から言えば、「今すぐ何もかも対応する必要はないけれど、必要になったときはすぐにアクションを起こせるだけの情報を集めておけ」ということでしょう。

後から解説しますが、現状私の感覚では、世間でいわれているほどオンライン化は進んでいないし、オンライン化が正解といえる確固たる根拠もまだ確立されていません。

まずは情報収集。そして経営者自身がオンラインサービスを経験しておくことが、今すぐ起こすべき行動です。


中小企業でのオンライン化の現状と、「即対応は必要でない」理由

「オンライン化は必然」の流れにあって、全国の中小企業の状況はどうかというと、「オンライン化を進めなければいけないとは感じているけれど、対応はさほど進んでいない」のが私の実感です。

ホームページやLINE公式アカウントからの問い合わせ、ネット予約、ミーティングソフトの導入など、環境整備は少しずつ進められていますが、スムーズに使いこなせている顧客や企業はまれ。

会議や打ち合わせをオンライン化している企業や団体もありますが、まだ多くの方がオフィスや自宅など、インターネット環境が整った場所へ行き、開始時間まで待機するのが一般的です。「オンライン化で制限から解放された」と感じている人は少数派です。

また「オンライン商談を、LINEや電話で代用することは不可能だったか」との問いに対しては、「電話でも問題なかった、LINEでも意志決定することはできた」と回答する人が多く見られます。

ビジネスの場において、オンライン化のメリットはあまり感じられていないことが伺えます。

「オンラインだったから成約に至った」という明確な手ごたえのある企業も少なく、2020年時点で、オンラインの対面に対する明らかな優位性は見られません

大多数の企業にとってオンライン化の即対応が必要になるのは、どこにいても通信の負担なく、すべての人が情報端末を当たり前のものとして使いこなすようになってからだと言えるでしょう。

私が「まだ多くの企業にとって即対応は必要ではない」とする理由はここにあります。


オンライン化の見きわめポイント

「まだ多くの企業にとってオンライン化の即対応は必要ではない」とお伝えしましたが、一方で早急に対応が必要な企業もあります。

たとえば情報収集はインターネット、外食はオンライン予約が当たり前、電話予約などもってのほか、といった世代を対象にビジネスを展開している企業であれば、他社がどうであれ自社のオンライン化は待ったなしの状況です。

まず自社がどのターゲットに向けてどんなサービスや価値を提供しているのかを把握しましょう。

さらには5年後や10年後はどんな企業になっていたいのかという明確なビジョンを持ってはじめて、「今、何をオンライン化することが必要か」の答えは出てきます。

ひとまずの指針は、お客さまから要望があったときにいつでも対応できる状況にしておくこと。

現状、必要には迫られていない企業でも、経営者自身がネット予約を使ったり、オンライン会議に参加したりして経験値を高めておくことには意味があります。

使い勝手や現状を把握し、必要なときに的確な判断を下せる材料をそろえておきましょう。

オンライン化のなかで、経営者に問われていること

環境が整備されてオンライン化が本格的に進むと、「オンライン化しているか」ということは顧客が企業を選ぶ際のひとつのめやすになります。

たとえば弊社が将来性を見越し、より長くおつきあいのできる20代に選ばれる企業になりたいと考えた場合。

「家には来てほしくないし営業マンに時間はかけたくないけれど、先行きは不安だから役立つ情報がほしい」という若年層の傾向から、オンラインでの面談やメッセージアプリでのやりとりは今すぐ必要だと判断します。

一方で現在、最終的な保険のご契約には直筆でのサインが必要で、サービスの特性から見ても物販のような「購入する」ボタンや、支払いシステムはまだ必要ありません。ここにコストをかけるのは無駄です。

ただ今後オンライン上での契約締結が行われる可能性は十分あるので、その時にどう対応するかは今から情報を集めて考えておかなければなりません。

このように、「今後自社は何を目指し、どのような顧客を求めていくべきか」というビジョンが明確になっていれば、オンライン化に限らず取るべき判断は自ずと決まってきます。

今回はコロナ禍ですが、不透明な情勢のなかで不透明なツールが登場し、判断は個々に委ねられるといった状況は、長い経営の歴史のなかで何度もくり返されます。

自社が生き残るために、経営者として正しい判断ができるか。

オンライン化に限らず、経営において発生する様々な課題は、判断の是非で経営者の真価を問うているのです。

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