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書籍「あなたの不安を解消する方法がここに書いてあります。」 #全文公開チャレンジ 第8回

こんばんは。ニッポン放送・アナウンサーの吉田尚記です。

#ふあかい 全文公開の第8回は、いよいよ「メソッド1」のラストです。ぜひ最後までご覧ください。

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メソッド1  「不安」の正体を明らかにしよう

手っ取り早くセルフエスティームを上げるには

 不安を感じたら、具体的に対処する。次の不安がわいてきたら、また具体的に対処する。するといつの間にかセルフエスティームが上がって、そもそも不安自体をあまり感じなくなる。
 これが、ぼくがこれまで考えてきた不安を退治するための正攻法です。

 ただ、不安がある人は、ある意味で幸運です。不安を出発点にして行動することができるからです。
 実は、不安を感じているというのは、最高の没頭を手に入れるために、ラッキーな状態なんです。人間、自分が価値があると思っているものに対してしか、不安を感じませんから、自分が価値を感じるものがわかった、ということ。勉強ができなくて不安、という人は勉強に価値を感じています。勉強がどうでもいいと思っていたら、いくら勉強ができなくても不安にならないはずです。あとは、勇気を出すだけです。
 一方で、「退屈だけど、不安は感じていないよ」という人がいたとすると、それはおそらく、本当に価値を感じるものを自分から求めに行っていないのです。
 退屈を甘んじて受ける多くの大人は、受け身のままです。ただそれでは、セルフエスティームは高まっていかない。
 そこで受け身ではなく、積極的にセルフエスティームを上げる方法としておすすめしたいのが、「知らない人に自分から話しかける」ことです。話しかける=コミュニケーション。ここでコミュニケーションの話に戻ってきましたね。
 しかも相手は知らない人。めちゃめちゃハードル高くないでしょうか? 知らない人に話しかけると、予想外の答えや反応が返ってくる。どうしたらいいんだろう。そう、不安がわいてきます。知らない人たちが、未知の価値あることを知っている、と思うから不安。知らない人たちへの敬意があるからこそ、不安なんです。

 手っ取り早く不安を作り上げて、それに対処する機会を自ら作る、というのが、このミッションの意義です。
 知らない人に話しかけるだけなので、いつでも、どこでも挑戦できる。仮にうまくいかなくても、知らない人だから、これまでの日常生活にはノーダメージ。その経験は、会話をする能力につながります。そのときセルフエスティームも勝手に上がる。不安が消えていく。これ以上うってつけのことはありません。

 先日、うちの娘のパソコンのACアダプターが壊れてしまったことがありました。
 本人がどうすればいいかわからないようだったので、「メーカーのカスタマーサポートに電話すれば何か教えてくれるよ」とヒントを出してみたんですね。でも、しばらくは何もしない。カスタマーサポート、つまり知らない大人に電話をするなんて、そりゃあ不安ですよね。ちなみにほとんどの人が個人用の携帯を持っている今、オフィスに電話したことがない、なんて人がいても、不思議はありません。
 なんて言うべきなのか、相手に怒られたらどうしよう、とか、いろいろ悩んでいる様子がみてとれました。
「あ、こりゃやらないかな」「ちょっとハードル高かったかな」と思ったんですが、2~3日したら電話をかけている。「あの~、すみません……」って。意外に行動力があるな、と思っていたら、ちゃんとやり取りしていて、ACアダプターを無償交換してもらっていました。「どうだった?」と聞いてみたら、「おもしろいおじさんと話しちゃった」とケロッとしています。
 やってみたら何てことはないんです。
 事前に相手を想像することは大切だけど、相手がどう出るのかは想像力だけでは限界があります。完全に事前に想定するなんてことは不可能なので、やる、と決めて電話をかけだしてしまえば、もう対処するしかなくなる。
 案ずるより、産むが易しです。

 この状況を、自発的に生み出してみましょうか。
 ひとりで服を買いにファッションビルへ行ってみる。これはどうでしょうか?
 なんでファッションビルかというと、これはぼく自身が十代のとき、めちゃくちゃ苦手なシチュエーションだったからです。洋服のことはさっぱりわからないし、そもそも「服を買いに行く服がない」、オシャレな場所に場違いな格好で行って、バカにされたらどうしよう、と不安で仕方がない。店員さんに何をどう聞けばいいかもわからない。
 今だったら、そこで、あえて店員さんに話しかけてみます。なんでもいいんです。
「すみません、今の季節って、何かおすすめってありますか?」
「今日、予算これだけなんですけど、見繕ってもらえませんか?」
「いい感じの服をお願いします!」
 これでもう合格。今思えば簡単なことなのですが、当時のぼくはこういう第一声すらままなりませんでした。
 あとは、そりゃ、手頃な似合う服を手に入れられれば、それに越したことはないですけど、それは二の次。思い切って声をかけたあとにどんなに大恥をかこうが、まったく好みじゃない変な服を買わされようが、全然気にする必要なし。死なずに家に帰ってごはんが食べられたら、それでいいんです。
 どうです? ハードルを「死なない」に設定するとしたら、コミュニケーションって、案外簡単な気がしてきませんか。
 これを繰り返していけば、お店ではどんな風に振る舞うとスムーズにいくのか、コミュニケーションの作法が経験として否応なしに身についてくる。
 さらにコツをちょっとだけ押さえておけば、上達はもっと早いはずですよね。そのコツについては次章、メソッド2で。

もくじ

はじめに
メソッド1
「不安」の正体を明らかにしよう

 -不安はどこからわいてくる?
 -不安は社会の原動力

 -不安の先には、死しかない
 -コミュニケーションからの完全な断絶が、死

 -「不安」はまったく役に立たないもの?
 -不安への対症療法は、「これからどうするか」

 -とりあえず、具体的にやってみる
 -具体化って超大事

 -「なんか大丈夫」感=セルフエスティーム
 -考えるよりも、行動しよう

 -人生で一番役に立たないプライドの話
 -手っ取り早くセルフエスティームを上げるには
 -COLUMN① パソコンは生産の道具、スマホは消費の道具
メソッド2
知らない人に話しかけてみよう
 -「モテたい!」は、叶うのか?
 -コミュ力は才能じゃない
 -知らない人に話しかけるために必要な持ち物
 -コミュニケーションとは、協力型のゲームだ
 -聞いたらダメ、やったらアウトってなんだろう?
 -人に好かれる方法はない
 -彼氏・彼女がほしい! だったら知らない人に話しかけよう
 -実践編① コミュニケーションに最も必要なのは「質問力」
 -実践編② 質問はWhyよりも、Who・When・Where・What・Howが有効
 -実践編③ 会話のきっかけ「木戸にたちかけし衣食住」
 -実践編④ 会話を「えっ!」でトラップする
 -実践編⑤ 間違った情報でもぶつけてOK
 -実践編⑥ 自分の気持ちを表現する=説明力
 -実践編⑦ あいさつをしよう、時間を守ろう
 -実践編⑧ 大きな声が出せていれば、なんか大丈夫
 -COLUMN② 「集中力」は「無視力」
メソッド3
“深刻ごっこ”禁止
 -悩みは自分に何をもたらす?
 -「みんな悩んで大きくなった」はウソ
 -深刻さとはエンタメである
 -決断だけが、人を成長させる
 -承認を目的とすることはできない
 -きみが不機嫌になるのはなぜ?
 -実践編① バンザイして悩んでみよう
 -実践編② 悩みから「暗くなる」をとっぱらってみる
 -実践編③ 適度に“深刻ごっこ”を楽しむ
 -実践編④ 悩むの禁止
 -実践編⑤ やりきることを目的にする
 -実践編⑥ 他人に期待しない
 -実践編⑦ 愛嬌最強説
 -COLUMN③ 引き出しを増やす方法
メソッド4
「面白そう!」さえあれば、人生は大丈夫
 -「夢を持て」って言うけれど
 -100個やって、どれか1個ハマればラッキー
 -今しかできないことをやろう
 -〇〇をやりたいのか、〇〇家になりたいのか
 -楽しむってなんだろう?
 -完全な自由はないけど、どの不自由にとらわれるかを選ぶ自由はある
 -結論。不安を解消する方法=知らない人に話しかける
おわりに

というわけで、今日はここまで。続きはまた明日!

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