アニメD4DJに出していただくことになり、はっ!これって「分断を対立にしない」ってことだ!と感じた話。
なんと、アニメに出していただくことになりました。
ほとんどの方にとって唐突に映ったでしょうが、実は、完全にいきなり、ってわけでもないです。
D4DJというコンテンツのテーマは、「DJ」。
私は、ゴリゴリのDJではないですけども、2009年ごろに秋葉原MOGRAのオープン日に取材をして以来、「まてよ…?!アニソン大音量でききながら、踊ったり、自分で選んだ曲をみんなにきいてもらったら、めちゃくちゃたのしくないか…?!」と思って2013年に初めてアニソンDJやらせていただいて以来、そこそこの回数、アニメソングとアイドルソングのDJだけは、やらせていただきました。
ブシロードの方々とは色々な現場で仲良くさせていただいているのもありまして、随所で「アニソンDJいいよ!最高だよ!」と趣味として吹聴していたところ、D4DJがまず小さなイベントとしてスタートしたときに、DJとして呼んでいただいて、プレイさせていただいたことがあります。StudioCoastでもっと大きなイベントが開催された時、オープニングアクトと平野綾ちゃんのバックDJをやらせていただいた、なんてこともありました。
そういうご縁をいただいて、作品に出していただける!というのは、30年来のアニメファンとしてめっちゃ嬉しいです、もちろん。
ただ、ちょっとそれだけじゃ終わらない、思うところがあったので、noteを書いてみています。
「DJ」って、私にはこんな楽しさがあります。
30代も余裕で半ばを過ぎてから、若者がハマりそうなDJを好きになったわけですが、DJって、「なーんかこのまんまじゃいけないな」ってずーっと無意識に感じてたことに、めっちゃ効いてる気がするんですよね。
今日、D4DJプロジェクト戦略発表会でも、D4DJのテーマは「つなぐ」だと、何度も言われていました。
そうなんです、DJは曲をつなぎます。
曲を繋ぐと、単に曲と曲の間の無音が感じられない、音楽が終わっていない、という状況が続くだけなのですが、それだけのことで、ちょっとした魔法みたいなことが起きるのです。
まず、クラブに行ったとしましょう。そこで、自分が好きな曲が大音量で流れていたらそれだけでうれしい。そしてここに、意外性を持って自分の好きな曲が間断無く流れてきたときの快感って、すごいんです。
あの時の、「オレモー!!!」という感じは、なにものにも変えがたい快感があります。個人的には、DJまじなるくんのプレイとか、大好き。ずーっと、「だよね!!」「それなー!!!」って言いながら、ずーっと踊っていられる。
多分、これは音楽プレイヤーのランダムプレイのラッキーではこうならなくて、「誰かがこの曲を選んでいる!」という実感が大切で、この時の、自分の話が通じる人がここにいる!!という感覚、めちゃくちゃ気持ちいいです。ちなみに私はラジオ屋ですが、ラジオでCDや音源で持ってる曲が流れたら、むしろ何時でも再生できるんだから一番聞かなくてもいいはずなのに、まずまちがいなく、嬉しくなって聞いちゃいますよね。それも、「誰かが選んでるから」「他にもこれを聞いている人がいる」と実感できるから、なんだと思います。
もう一つの快感が、何千人もの人がフロアにいても、これはいま回しているDJにしか、この繋がりは思いつかなかった!!! これとこれが!!! という、ネットワークを見せつけられた時の新鮮な驚き。あきねっと、というイベントでみたokadadaさんとかほんと忘れられない。
これを体感した時に、「あ、もう、食わず嫌いは良くないわー!面白いことこの世にいっぱいあるわー!」って、言葉で何百回も説明されるよりも、はっきり伝わってくるんですよね。
これをもう自分が壇上に上がらせてもらって、自分の責任で選曲させてもらってうまく出来るかどうかドキドキしながら操作して、どう?!と聞いてくれている人に提案して「うぉー!!!!」とポジティブなリアクションが返ってきたときの快感たるや…!!!
これが、私がDJ現場で味あわせてもらってる楽しさ、です。
私は「分断」が気になるんです。
で、もう一個の、「気になってること」について。
SNSのおかげで、「自分の見たいものしか見ないで済む」ことが、もうとてもとても気になっています。知りたい情報を効率よく手に入れるためにはSNSは本当に役立つのですが、世の中には、「知りたいとも思わなかったけど、知っておいた方がよいこと」というものも、ずいぶんあります。
意識的に見たくないものを排除して、そうしている場合もあるし、今やシステムが自動的に提案してくれるから、無意識のうちに見たいものしか見ていないこともあります。フィルターバブル、ってやつですよね。
みんなが同時に興味を持っているもの、なんて、もうそんなにない。それっぽくいうと、「分断」が進んでいる。
多分、この傾向、どんどん進んでいくと思うんですよね。それは仕方ないし、悪い事ばかりじゃないんですけど。「わかりあえないもの」同士が、無視ならまだいいけど、ちょっとでも刺激があると、いがみ合い出しちゃいそうな、なんかイヤーな緊張感がある気がする。
そんなことが気になっていたところ、先日、コマーシャルフォト、という雑誌の連載で対談させていただいた、稲見昌彦先生のお話に、がーん!ってなったんです。そのお言葉とは、
『分断を対立にしてはならない。分断は寛容とセットでなくてはならない。「俺は俺の道を行く、お前はお前の道を行け」というのが正しい分断』
ふぁー!これですよこれ!!
「分断を対立にしない」が、D4DJのポリシーじゃないかな
プロジェクト発表会の最後、中山プロデューサーがめっちゃいいこと言ってて、司会しながら、「もう、みんな聞いて聞いて!!」と思ってました。曰く、「混乱が共鳴に変わる瞬間」。
私は、そこで、あー、「分断を対立にしない」ってことを、言おうとしてるんだな、と。寛容の呼びかけだよな、と思って、勝手に壇上で感動していたのです。
DJって、さっきの説明で伝わってるといいな、と思うんですけど、本当に対立じゃなく、「あれもいいよね!これもいいよね!」という寛容の喜びがあるから楽しめるんですよね。
で、今回はアニメになります。
アニメも、同じ絵を見ているようで、実は絵を通して、その人は絵と同時に自分の記憶も見ているので、アニメをきっかけに行動を起こすことは、自分の世界と誰かの世界をつなげていることだよな、と感じることがあります。(このへん、正確に説明しようと思うと多分めっちゃ長くなるのですっ飛ばし気味に感じる人がいたらごめんなさい)
DJもアニメも、分断を乗りこえる、対立を乗り越える、つなげる器になりうるよな、と感じたのです。西尾夕香さん演じる主人公の名前も、愛本「りんく」ですしね。もう、作品全体で、「つなげてくぞー!」という気合いにあふれている。私、まだ正式には始まってもいないD4DJに、めっちゃ期待しているのです。
あと。
いまや、中3でオタクに育ってる娘にも、今回の発表までD4DJに出ることを本当に内緒にしてて、さっそくどやっ!と自慢したところ、「イケメンで笑った」って返ってきました。30歳差あるんですけど、親子で、D4DJできるんじゃないかな、と思ってます。