書籍「あなたの不安を解消する方法がここに書いてあります。」 #全文公開チャレンジ 第10回
こんばんは。ニッポン放送・アナウンサーの吉田尚記です。
#ふあかい 全文公開の第10回。本日は第二章にあたる「メソッド2」がスタートです。テーマは「知らない人に話しかけてみよう」です。それでは、どうぞ!
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メソッド2 知らない人に話しかけてみよう
「モテたい!」は、叶うのか?
さて、再びラジオ風にお悩みを開いてみましょう。次はなにやらテンション高めのお悩みみたいですね。
ラジオネーム・おおのぼりさん。
【お悩み②】
「思い切って相談します。……めっちゃ彼女がほしいんです!! でも、女子との会話がぜんぜん弾まなくて、モテる気配がありません。どうすればいいですか?」
わかりやすく「モテたい」! いいですねえ。正直! 14歳ぐらいの年頃の最大の関心事かもしれない。
はじめに言っておきますが、ぼく自身はまったくモテません。だから「モテるためのアドバイス」はできないんですが、最終的に結婚は出来ていて、「彼女をつくる方法」についてはお伝えできることがあるかもしれないので、この質問をピックアップしました。
いきなりの恋愛論……ではなく、この章のテーマはコミュニケーションの方法です。
ついでにそもそもモテたいってどういうことなのか。それは本当に努力によって叶えることができるのか問題についても、話してみましょうか。
コミュ力は才能じゃない
まず、なぜぼくはコミュ力にここまでこだわるんでしょうか?
「はじめに」でお伝えした通り、かつてのぼくはコミュニケーションが極端に苦手な人間、いわゆるコミュ障でした。それでも、中学・高校・大学時代は周囲も他人のコミュ障なんて気にしないやつらばかりでしたし、中学校時代は『機動警察パトレイバー』に、高校時代はアイドルグループ「東京パフォーマンスドール」にドはまりしたり、漫画や本やデジタル系雑誌を読み漁ったりと、典型的なオタクとして充実した毎日を過ごしていました。
*1 『機動警察パトレイバー』|漫画家ゆうきまさみらのグループ「ヘッドギア」原作で、1988年から漫画、アニメなどメディアミックス展開されたSFストーリー。レイバーという歩行式機械が一般的となった1998年からの東京を舞台に警察組織・特車二課の活躍を描く。
*2 東京パフォーマンスドール|1990年に結成されたアイドルグループ。ユーロビート、ハウスなどの音楽ジャンルを取り入れ、スタイリッシュに歌って踊るアイドルとして、90年代のアイドル文化をけん引した。2013年から第2期メンバーが活躍。
大学では落語研究会に入っていましたが、落語は話芸で、双方向のコミュニケーションとは別物。自分のコミュ力について考える機会なんてまったくなく、その時々でやりたいことを全力でやりながら過ごしてきました。
そんなぼくが、「あれ? もしかして、自分ってコミュ障?」と気づいたのは、大学を卒業し、ニッポン放送に就職した後のこと。「はじめに」でも少し触れましたが、運だけでラジオ局に入社し、アナウンサーとしての一歩を踏み出したはいいものの、ラジオ番組のゲストにまともな質問ひとつできず、ひとりで空回り。イベントの司会を担当すれば話題に困った挙句、とんでもない質問、いわば「地雷」を踏んで相手を怒らせてしまう、などなどさんざんなポンコツぶりを発揮。
ついにはゲストから「吉田さんって、日本一絡みづらいアナウンサーですね」なんて言われてしまったこともありました(詳しくは拙著『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』(太田出版)や『コミュ障は治らなくても大丈夫』(水谷緑との共著/KAD OKAWA)を参照)。
*3 『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』|“コミュニケーション力とは”というテーマを、とことん具体的に掘り下げた吉田の代表作。
*4 『コミュ障は治らなくても大丈夫』|“コミュ障”にも関わらず、アナウンサーとしてニッポン放送に入社した直後からの吉田の奮闘(ふんとう)を描いたコミックエッセイ。
完全なる、「君この仕事向いてないよ」宣言。めちゃくちゃ落ち込みましたが、我ながらよくあのとき辞めなかったなと思います。落ち込む暇も無かった、というのもありましたが。
そんなぼくに、当時の先輩がくれたアドバイスが「聞き上手になれ」でした。
でも、しゃべり上手ならまだしも、聞き上手ってなんだよって話じゃないですか。当時のぼくにはまったく理解できなかった。うまくしゃべるなら自分で努力すれば何とかなるかもしれないけど、相手がしゃべるかどうかは、自分の力だけではどうにもならなくないですか? 「自分がそこに座ってたら目の前の人がめちゃめちゃしゃべるって、そんな超能力あるわけないだろ!」って思っていました。
「聞き上手になれ」、これって、「ホームランを打てるようになりたい」と悩んでいるプロ野球選手に「よし、じゃあホームラン王になれ」って言ってるのと同じだと思うんですよねぇ。アドバイスするなら、バットの位置を動かせとかフォームを変えろとか……具体的な方法があるはずなんですよ。
当時、焦っていたぼくはコミュニケーション関連の本を読み漁りましたが、「自信を持ってみる」とか「打ち解けやすい人になる」とか、いや! それが出来ないから悩んでるんだし! と思うような、先輩に言われたこととだいたい同じ内容。納得して、実践して、コミュ障を脱せるイメージがまったく抱けなかったんです。
そんなマイナス地点からのスタートでしたが、現在のぼくはアナウンサーとしてどうにか続けてこられ、レギュラー番組に加え、イベントや講演会など、さまざまな現場を任せてもらえるようになりました。
「はじめに」でお伝えした通り、コミュ障アナウンサーからここに至るには、何かブレイクスルーとなる大きな出来事やラッキーがあったわけではありません。ひたすら地道にトライ&エラーを繰り返し、自分なりの方法を確立したのみでした。
コミュ障から自力で脱却し、コミュニケーションを生業として曲りなりにも20年生きてきた私が経験した、この膨大なトライ&エラーのうち、振り返ってみると、必要だったのはほんのわずかでした。少しのコツを覚えて、あとは実践すればいい。最短距離で目指すゴールにたどり着くことができます。血反吐を吐くのは私までで充分で、これを読んでくれた人には無駄な苦労はして欲しくない。というか、こんなにいろいろひどい目にあったんだから、せめて次の人に生かしてもらえないと、私の黒歴史が浮かばれません! お願いですから、誰でも実践出来るコミュニケーションの技術、受け取ってください!
もくじ
はじめに
メソッド1
「不安」の正体を明らかにしよう
-不安はどこからわいてくる?
-不安は社会の原動力
-不安の先には、死しかない
-コミュニケーションからの完全な断絶が、死
-「不安」はまったく役に立たないもの?
-不安への対症療法は、「これからどうするか」
-とりあえず、具体的にやってみる
-具体化って超大事
-「なんか大丈夫」感=セルフエスティーム
-考えるよりも、行動しよう
-人生で一番役に立たないプライドの話
-手っ取り早くセルフエスティームを上げるには
-COLUMN① パソコンは生産の道具、スマホは消費の道具
メソッド2
知らない人に話しかけてみよう
-「モテたい!」は、叶うのか?
-コミュ力は才能じゃない
-知らない人に話しかけるために必要な持ち物
-コミュニケーションとは、協力型のゲームだ
-聞いたらダメ、やったらアウトってなんだろう?
-人に好かれる方法はない
-彼氏・彼女がほしい! だったら知らない人に話しかけよう
-実践編① コミュニケーションに最も必要なのは「質問力」
-実践編② 質問はWhyよりも、Who・When・Where・What・Howが有効
-実践編③ 会話のきっかけ「木戸にたちかけし衣食住」
-実践編④ 会話を「えっ!」でトラップする
-実践編⑤ 間違った情報でもぶつけてOK
-実践編⑥ 自分の気持ちを表現する=説明力
-実践編⑦ あいさつをしよう、時間を守ろう
-実践編⑧ 大きな声が出せていれば、なんか大丈夫
-COLUMN② 「集中力」は「無視力」
メソッド3
“深刻ごっこ”禁止
-悩みは自分に何をもたらす?
-「みんな悩んで大きくなった」はウソ
-深刻さとはエンタメである
-決断だけが、人を成長させる
-承認を目的とすることはできない
-きみが不機嫌になるのはなぜ?
-実践編① バンザイして悩んでみよう
-実践編② 悩みから「暗くなる」をとっぱらってみる
-実践編③ 適度に“深刻ごっこ”を楽しむ
-実践編④ 悩むの禁止
-実践編⑤ やりきることを目的にする
-実践編⑥ 他人に期待しない
-実践編⑦ 愛嬌最強説
-COLUMN③ 引き出しを増やす方法
メソッド4
「面白そう!」さえあれば、人生は大丈夫
-「夢を持て」って言うけれど
-100個やって、どれか1個ハマればラッキー
-今しかできないことをやろう
-〇〇をやりたいのか、〇〇家になりたいのか
-楽しむってなんだろう?
-完全な自由はないけど、どの不自由にとらわれるかを選ぶ自由はある
-結論。不安を解消する方法=知らない人に話しかける
おわりに
というわけで、今日はここまで。つづきは、また明日!