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書籍「あなたの不安を解消する方法がここに書いてあります。」 #全文公開チャレンジ 第11回

こんばんは。ニッポン放送・アナウンサーの吉田尚記です。

#ふあかい 全文公開の第11回。本日は「メソッド2」のつづきからお送りいたします。

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メソッド2  知らない人に話しかけてみよう

知らない人に話しかけるために必要な持ち物

 メソッド1の結論として、不安を解消したいのならば、とにかく「知らない人に話しかけよう」ということをお伝えしました。でも、知らない人に話しかけるって、確かにめちゃめちゃハードル高い。
 その高い高いハードルを越えるために、あらかじめ持っておくべきものがふたつだけあります。

 ①話しかける勇気
 ②へこまない体力

 とにかく持ち物はこのふたつだけなんです。「痛いのをガマンして!」って言ってるようなものではありますが、「コミュニケーションには痛みがつきもの、痛くても全部ガマンして」って言ってるわけじゃなくて、痛いのはここだけ! なのでこのふたつだけ、精神論ぽいですけどついてきてください。ぼくのコミュニケーション法においてはこれさえ守れば、あとは単純な技術論です。このふたつだけはとにかくえいやっと、「やる」と決めちゃいましょう。

 まずは①、とにかく「話しかける勇気」を持つこと。
 コミュニケーションに関しては、話しかけないことには、何も始まりません。コミュニケーションはしたい。でも、相手が話しかけてくれるまで待つ……では、機会はどんどん失われていきます。みんなが自分に興味がある、なんてことはまずありません。こっちから話しかければ、あとは否応なしに場は動きます。
 ちなみに経験者の立場から言っておきますが、事前に綿密な会話のシミュレーションなんかしても時間の無駄ですからね。相手は自分の思う通りになんて動きやしません。だからとにかく、目の前の機会を逃さず勇気を出して話しかけちゃいましょう。
 大丈夫です。死にはしませんし、相手がいきなり大激怒するなんてこともありません。
 私は年間1000人くらいの人に会っていますが、「あの人と関わってひどい目にあったな」っていう記憶って、この20年で2回くらいしかありません。正直に言いますが、無くはない。ただ、確率たったの1/1万です。あとは、話しかければ場はなんとかなるものです。気楽にやりましょう。
 だいたい無鉄砲になんかやったときのことが、最終的に一番いい結果になってきますから。

 余談ですが、実は、今ぼくのマネジメント的なことをしてくれている田中さんという方との出会いも、そんな感じでした。前からラジオ大好きでぼくのことをよく知っていてくれた田中さんが、ある日、ダメ元でぼくに取材のオファーをしてくれたことが出会いのきっかけ。その取材が縁となり、今ぼくと一緒に働いている……という関係になっていたりします。世の中、行動の先に何が起こるかなんてわからないものです。

 もうひとつの②「ヘコまない体力」について。コレはちょっと心理的ハードルが高いかもしれませんが、いじられてもオイシイと思うことです。

 ぼくは顔色の悪さゆえに某アイドルグループの女の子たちから「ゴボウ」と呼ばれているのですが、めちゃめちゃオイシイと思っています。ゴボウ、どうでしょうか? 決してイケメンにつけるあだ名ではないですよね。
 最初にこのあだ名を言われたときは、確かに「そんなに顔色悪い自覚ないですけど!」と、一瞬傷つきました。でもその場にいたアイドルの女の子たちも、ディレクターもみんな笑ってる。相手に決して悪意がないことはわかっています。なのに、そこでぼくが拒否反応を示して固まったら、それはとたんにただの悪口になってしまう。それよりはのっかってみよう、と、意を決して「確かに!」と返したんですね。そしたら、その場が一気になごんで、アイドルの子たちとの距離も縮まったんです。
 その瞬間、ぼくは「いじっていい人」になった。「この人、いじっていい人なんだ」と思ってもらえるのって、コミュニケーションのハードルが一気に下がる瞬間です。

 それに、ゴボウってあだ名がついたとたん、なんかぼくの個性に一発でスポットライトが当たった感がないでしょうか? 黒くて細くて面倒くさい。自分のキャラクターって、他人が決めるものです。自分で「ぼくはこういう人だから」っていくら宣伝しても、周りの人がそう見てくれなければ意味がない。
 だから、自分にとって予想外のネガティブパスがあっても、いったんはそれを受け取ることを拒否しない。これはもう、そういうルールとして決めてください。

 お笑いの世界では「チビ・デブ・ハゲ」はキャラ付けに欠かせません。「ハゲ」を武器にしている芸人さんが、人気者の世界からいなくなることはないですよね。
 10代だと、嫌かもしれないけど、この中で一番言われがちなのは「デブ」かな? 本当は傷ついたとしても、男子だけど「うるせーおっぱいBカップだぞ!」なんてのっかってみる。一番最初に受け入れるときは、つらい気持ちがあって当然なんですが、一度、「いじっていい人」として周囲に認識されたら、圧倒的に生きやすくなります。

 とはいえ、本音ではやっぱり「イケメンとして尊重されたい」「アイドルみたいにちやほやされたい」と思ってしまうかもしれません。でもそれはメソッド1でお話ししたプライドです。持っているだけ害なもの。人間としてその気持ちをすっぱり捨ててください、と言われても難しいですけど、それを目指して行動しなければいい。だから、自分の理想通りの評価がこなかったとしても、ネガティブパスでも、いったんは全部受ける、と決めてしまう。

「話しかける勇気」「ヘコまない体力」。知らない人との会話において、大事なのはとにかくこのふたつだけだと思っています。でも、コミュニケーション論を読むと、このふたつ以外のことを言う人が非常に多いんですよね。「相手のことを考えて」とか。でも、相手のことなんて考えてもわからないから、それはウソです。

もくじ

はじめに
メソッド1
「不安」の正体を明らかにしよう
 -不安はどこからわいてくる?
 -不安は社会の原動力

 -不安の先には、死しかない
 -コミュニケーションからの完全な断絶が、死

 -「不安」はまったく役に立たないもの?
 -不安への対症療法は、「これからどうするか」

 -とりあえず、具体的にやってみる
 -具体化って超大事

 -「なんか大丈夫」感=セルフエスティーム
 -考えるよりも、行動しよう

 -人生で一番役に立たないプライドの話
 -手っ取り早くセルフエスティームを上げるには
 -COLUMN① パソコンは生産の道具、スマホは消費の道具
メソッド2
知らない人に話しかけてみよう

 -「モテたい!」は、叶うのか?
 -コミュ力は才能じゃない

 -知らない人に話しかけるために必要な持ち物
 -コミュニケーションとは、協力型のゲームだ
 -聞いたらダメ、やったらアウトってなんだろう?
 -人に好かれる方法はない
 -彼氏・彼女がほしい! だったら知らない人に話しかけよう
 -実践編① コミュニケーションに最も必要なのは「質問力」
 -実践編② 質問はWhyよりも、Who・When・Where・What・Howが有効
 -実践編③ 会話のきっかけ「木戸にたちかけし衣食住」
 -実践編④ 会話を「えっ!」でトラップする
 -実践編⑤ 間違った情報でもぶつけてOK
 -実践編⑥ 自分の気持ちを表現する=説明力
 -実践編⑦ あいさつをしよう、時間を守ろう
 -実践編⑧ 大きな声が出せていれば、なんか大丈夫
 -COLUMN② 「集中力」は「無視力」
メソッド3
“深刻ごっこ”禁止
 -悩みは自分に何をもたらす?
 -「みんな悩んで大きくなった」はウソ
 -深刻さとはエンタメである
 -決断だけが、人を成長させる
 -承認を目的とすることはできない
 -きみが不機嫌になるのはなぜ?
 -実践編① バンザイして悩んでみよう
 -実践編② 悩みから「暗くなる」をとっぱらってみる
 -実践編③ 適度に“深刻ごっこ”を楽しむ
 -実践編④ 悩むの禁止
 -実践編⑤ やりきることを目的にする
 -実践編⑥ 他人に期待しない
 -実践編⑦ 愛嬌最強説
 -COLUMN③ 引き出しを増やす方法
メソッド4
「面白そう!」さえあれば、人生は大丈夫
 -「夢を持て」って言うけれど
 -100個やって、どれか1個ハマればラッキー
 -今しかできないことをやろう
 -〇〇をやりたいのか、〇〇家になりたいのか
 -楽しむってなんだろう?
 -完全な自由はないけど、どの不自由にとらわれるかを選ぶ自由はある
 -結論。不安を解消する方法=知らない人に話しかける
おわりに

というわけで、今日はここまで。つづきは、また明日!

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