書籍「あなたの不安を解消する方法がここに書いてあります。」 #全文公開チャレンジ 第2回
こんばんは。ニッポン放送・アナウンサーの吉田尚記です。
#ふあかい 全文公開の第2回は第一章にあたる「メソッド1」からお届けします。
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メソッド1 「不安」の正体を明らかにしよう
不安はどこからわいてくる?
私の仕事はラジオパーソナリティですので、本もラジオ風にやらせてください。
この本では、まず各メソッドごとに「あるある」なお悩みを紹介していきたいと思います。
まずはこんなお悩みから。
ラジオネーム・ショウコのコさん。
【お悩み①】
「小学校の頃は誰とでも仲良く話せていたけど、中学に入ると友だちとの付き合い方が難しくなってしまいました。話したことのない人と話すのが怖いし、話したとしてもぎこちなくなってしまうので、周りから『陰キャ』『コミュ障』とからかわれているような気がして仕方ありません。一生、この人見知りな性格が変わらなかったらどうしよう。陽キャのようになりたいとは思わないけど、あの明るさだけはちょっとうらやましいです。どうすればいいでしょうか?」
ショウコのコさん、わかるわー。陽キャのようになりたいとは思わないけど、陰キャもイヤ。一応説明すると、陰キャ=暗い性格の人、反対に陽キャ=明るい性格の人、ですが、この分類、どうしても陽キャの方が陰キャよりも上のような気がして、陰キャだと思われていたら、不安ですよね。
「陰キャ」とからかわれていないか不安。一生人見知りのままだったらという不安。
ここで、大人は「陰キャの一体何がダメなの? 気にするなよ!」なんて、よく言いますよね。「気にするな」って言われても、自然に「気になっちゃう」のであって、「気にしない」ってやらない行動を命令されても出来ないって!
どうも、ほとんどの大人はその不安をいつの間にか忘れているらしい。ちゃんと説明してくれる人は、あんまりいない。
不安っていったいどこからわいてきたものなんでしょうか?
そもそも人間が感じている不安っていったいなんなんでしょうか?
ここで、私が考えてることをお伝えしましょう。いきなりですけど。たぶん、この世から不安がなくなったことはない。
不安って、社会の原動力なんじゃないでしょうか?
不安は社会の原動力
まず、人間が〝不安〟を感じるのはどんなときでしょうか?
「明日の日本史の中間テストまであと8時間しかないのに、まだ出題範囲の半分しか終わってなくて不安」、「自分が参加していないグループLINEが存在して、そこで陰口を言われてそうで不安」、「自分が立派な大人になれないかもしれないから不安」……うん、いろいろ思いつきますよね。
実はこれって、大人も同じなんです。
「老後に2000万円必要なのに、派遣社員から抜け出せないから不安」、「家のローンがあと何十年もあるのに、健康診断で病気が発覚するかもしれないから不安」、「親が死ぬまで元気でいてくれるか不安」……どうでしょう? 大人も子どもも中身は違えど、不安を感じていることには変わりありません。
*1 老後に2000万円必要|金融庁金融審議会の報告書「高齢社会における資産形成・管理」(2019年)をもとに提案された金額。無職夫婦世帯(男性65歳以上、女性60歳以上)が約30年生きるとした場合、公的年金を中心とする収入に対し支出が上回るため、資産形成を始めることが推奨された。
でも、そもそもぼくたちの生活を取り巻く社会システムって、そんな誰かの不安を原動力にして発展してきている感じがしませんか?
たとえば農産業。いにしえの時代、人間はもともと狩りや採集でその日の食料を調達していましたが、毎回、そんな行き当たりばったりではちゃんと食べ物が手に入るかわからなくて不安だったから、農業や畜産業が始まりました。さらに農業も効率的に行えないと収穫量が不安だったから、便利な農耕具が次々に発明され、治水技術も発達していきました。
通信技術もそうですよね。遠くにいる相手のことがわからなくて不安だから、狼煙を上げることからスタートし、やがて郵便システムが確立され、電話が誕生し、現在のインターネット技術やスマホにつながっていきました。ちなみに電話は、直接交渉はしたいけど、会って話をしたらお互いに殺されてしまうかもしれないから出来た、という説もありますし、インターネットも、軍用のコンピュータが一カ所に集まっていたら、そこが攻撃されたときに一撃でやられてしまうので、たくさんのコンピュータをネットワークでつないだところから生まれています。これも不安が原動力になっていますよね。
もっと身近な例でみてみましょうか。たとえばLINEに既読機能ってありますよね。これがどういう経緯で作られたかというと、大きな震災などで電話やメールといった通信環境にトラブルが起こって、相手がなんらかの事情で返信できなかったとしても、とりあえず「既読」がつけば、そのメッセージを相手が読んでいる、生きていることがわかるから、だそうです。既読機能によって、相手の生存確認ができるようになった。でも、今度は「既読スルー」問題という新たな不安が生まれてしまったわけなんですが……。
人類発展の歴史は、不安と付き合い続けてきた歴史です。
不安な気持ちが、発展の動機になっているんだから、不安を抱いていても、何もおかしくない。
じゃあ、仕方ない。不安というのは人間は必ず持っているものなんだから、一生このモヤモヤした楽しくない気持ちと付き合うしかないのか─。ほとんどの普通の大人の結論は、そうです。
でも、「人間誰しも不安」という当たり前は、当たり前ではないんです。
この世には、不安とはまったく無縁の人たちだっています。
ぼくが最近影響を受けた本のひとつに、アマゾン川の支流に住む原住民族、ピダハン族について書かれた『ピダハン─「言語本能」を超える文化と世界観』(ダニエル・L・エヴェレット著、屋代通子訳/みすず書房)という本があります。この本によると、ピダハン族は、ぼくたちが常識だと思っているいくつかの概念を持っていないそうです。まず、数字や右・左の概念がない。空想の概念もないから、自分たちが見たもの以外については話さない。
中でもぼくにとってもっとも衝撃的だったのが、彼らの言語には「不安」という言葉がないことでした。言葉がないということは、不安という概念もない。
ピダハン族は不安にならないんです。
想像してみてください。アマゾンの奥地で暮らす彼らには、十分な医療もありません。病気や事故なんて日常茶飯事です。それでも彼らの社会には不安は存在せず、全員底抜けに明るいんですって。
不安は、社会を動かす装置。それは間違いありません。でも、不安にならなければぼくたちは生きていけないのかというと、どうやらそんなことはない。
人生は楽しいことが多い方がいい、とぼくは本気で思っていますが、どうですか? できればピダハン族のように、不安に追いかけられずに生きていきたいですよね。
では、どうすれば不安に追いかけられることなく生きていけるのでしょうか。
もくじ
はじめに
メソッド1
「不安」の正体を明らかにしよう
-不安はどこからわいてくる?
-不安は社会の原動力
-不安の先には、死しかない
-コミュニケーションからの完全な断絶が、死
-「不安」はまったく役に立たないもの?
-不安への対症療法は、「これからどうするか」
-とりあえず、具体的にやってみる
-具体化って超大事
-「なんか大丈夫」感=セルフエスティーム
-考えるよりも、行動しよう
-人生で一番役に立たないプライドの話
-手っ取り早くセルフエスティームを上げるには
-COLUMN① パソコンは生産の道具、スマホは消費の道具
メソッド2
知らない人に話しかけてみよう
-「モテたい!」は、叶うのか?
-コミュ力は才能じゃない
-知らない人に話しかけるために必要な持ち物
-コミュニケーションとは、協力型のゲームだ
-聞いたらダメ、やったらアウトってなんだろう?
-人に好かれる方法はない
-彼氏・彼女がほしい! だったら知らない人に話しかけよう
-実践編① コミュニケーションに最も必要なのは「質問力」
-実践編② 質問はWhyよりも、Who・When・Where・What・Howが有効
-実践編③ 会話のきっかけ「木戸にたちかけし衣食住」
-実践編④ 会話を「えっ!」でトラップする
-実践編⑤ 間違った情報でもぶつけてOK
-実践編⑥ 自分の気持ちを表現する=説明力
-実践編⑦ あいさつをしよう、時間を守ろう
-実践編⑧ 大きな声が出せていれば、なんか大丈夫
-COLUMN② 「集中力」は「無視力」
メソッド3
“深刻ごっこ”禁止
-悩みは自分に何をもたらす?
-「みんな悩んで大きくなった」はウソ
-深刻さとはエンタメである
-決断だけが、人を成長させる
-承認を目的とすることはできない
-きみが不機嫌になるのはなぜ?
-実践編① バンザイして悩んでみよう
-実践編② 悩みから「暗くなる」をとっぱらってみる
-実践編③ 適度に“深刻ごっこ”を楽しむ
-実践編④ 悩むの禁止
-実践編⑤ やりきることを目的にする
-実践編⑥ 他人に期待しない
-実践編⑦ 愛嬌最強説
-COLUMN③ 引き出しを増やす方法
メソッド4
「面白そう!」さえあれば、人生は大丈夫
-「夢を持て」って言うけれど
-100個やって、どれか1個ハマればラッキー
-今しかできないことをやろう
-〇〇をやりたいのか、〇〇家になりたいのか
-楽しむってなんだろう?
-完全な自由はないけど、どの不自由にとらわれるかを選ぶ自由はある
-結論。不安を解消する方法=知らない人に話しかける
おわりに
というわけで、今日はここまで。続きはまた明日!
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