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部下に合わせた「魔法の声がけ術」 

【『質問力』という本を出版致しました! よろしければどうぞ!】

 ここからは、様々なタイプの部下と対話を深めていくための、より具体的な質問やフレーズを紹介します。

心を開いてくれないタイプの部下にどう声をかけるか

 先ずは心を開いてくれないタイプの部下にどう声をかけるかです。
 大事なのは、聞き方を変えることです。
 無理に心を開いてもらおうと思わないことが得策です。

「as・ifクエスチョン」で心の鍵を開こう

 とっておきのフレーズは、「あるとすれば、ぜひ教えてもらえませんか?」である。
 これは「as・ifクエスチョン」という技法で、相手の心の扉を開くカギです。

上司「このレポートを今週中にお願いしても大丈夫?」
部下「はい。やっておきます」
上司「もしあるとすれば、何か気になることはある?」
部下「どうでしょう」
上司「あるとすれば、どう? どんなことでもいいので」
部下「言っても仕方ないのですが、このレポートって本当に必要でしょうか」

 このフレーズをクッション言葉として挟むことで、本人が「言うほどのことではない」と思っていることを聞きやすくなります。
 回数を重ねると、親近感を覚える効果が働くため、殆どの場合上手くいきます。

「あるとすれば」で信頼関係が生まれる

 「あるとすれば」という言葉で、相手の声にならない声に関心を寄せて聞き尽くすことで、信頼関係が生まれていきます。

やりたいことがない部下

 部下のやる気を引き出そうとしても、やりたいことがわからない状態の部下は多いです。
 上司が関わり方を変えれば、部下はやりたいことに気づきやすくなります。
 具体的には、次の3つのステップで尋ねると良いです。

ステップ1:「いずれこんな役割を担いたい、というものはある?」

 ステップ1は「たとえば将来はこんな生活をしていたい、というのはある?」や「いずれこんな役割を担いたい、というものはある?」です。
 最初は「わからない」という返答が多いでしょう。

ステップ2:「今の仕事で、やってみたいことはあるか?」

 ステップ2では「今の仕事で、やってみたいことはあるか?」と聞きます。
 それでも「わからない」と言われたら次のステップに移ります。

ステップ3:仕事をする上で何を大事にしたいかを聞く

 ステップ3では、仕事をする上で何を大事にしたいかを聞きます。
 続いて、その中でベスト1を選んでもらい、その背景を教えてもらう。それこそ部下の「やりたいこと」です。

 背景を聞くことで、本人すら気づかなかった等身大の願望が見つかるとしたら、これほど素晴らしいことはない。

ミスばかりする部下

 いつもミスをする部下がいて、いくら注意しても減らない。こうした状況も上司の声かけで解決が可能だ。

 ミスをしがちな部下は3つのタイプに分かれます。
(1)インプットにバグがある
(2)スループットにバグがある
(3)アウトプットにバグがある
 
の3つです。
 (1)のタイプは話を聞いていても抜け漏れがあります。
 (2)のタイプは自分勝手な解釈を加えます。
 そして(3)のタイプはスキル不足や忙しさが原因で、わかっていてもうまくできない状況にいます。

「念のために、やることを復唱してもらっていい?」

 どのタイプであっても、「念のために、やることを復唱してもらっていい?」と確認することで、問題を解消出来ます。
 復唱によって(1)のインプットのバグが回避でき、(2)の解釈の調整もできる。もし部下が(3)のタイプなら、「不安な点はない?」と追加で確認すると、アウトプットの問題も解消出来ます。

まとめ 問いで原因を診断して、部下自身で対策を考えて頂くとミスをなくす


 長々と説教するのではなく、問いで原因を診断して、自分で対策を考えて頂きます。
 それがミスをなくす指導です。

【参考】伊庭正康(2022).『できるリーダーは、「これ」しかやらない[聞き方・話し方編]. PHP研究所