音楽を科学する
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何故人は音楽を必要とし、音楽に感動するのか
何故人は音楽を必要とし、音楽に感動するのか。
この疑問への回答に人類はたどりついていないが、これが解明されれば私たちは音楽とさらに深く繋がることが出来るでしょう。
約4万~5万年前の世界最古のフルートがヨーロッパで発見されている
音楽と脳、音楽と人間の関係を知ることは、私たち自身を知ることです。芸術の起源を辿ってみると、約4万~5万年前の世界最古のフルートがヨーロッパで発見されています。
文字を生み出した紀元前3000年頃よりも遥か大昔から、ヒトは音楽活動を行い、新たな価値を創出してきたのだ。
ヒトは何万年とかけて音楽の表現方法を模索し、様々な音の響きを「音楽」と認識できるようになりました。
ピタゴラスの発見と問題点
芸術と科学とは、感性と論理のように対照的に述べられることが多いです。
しかし、どちらも起源は同じだ。表現の仕方が対照的であっても、自然の不思議な現象を共有したいという根本は共通しています。
音楽は、科学の進歩とともに変化してきました。
「音律」と「音程」を発見したのピタゴラス
「三平方の定理」を発見した古代ギリシャの天文学者ピタゴラスは、音楽の最も重要な要素である「音律」と「音程」を発見した人物でもあります。
音律とは、オクターブの中のどのような高さの音を用いるかを規定するもので、音程は2つの音の高さの差を表す。
ピタゴラスは「オクターブ」も発見した
ピタゴラスは、羊の腸で作った「弦」を用い、一定の長さの弦と、その半分の長さの弦を同時に弾くと、音の高さは違うにもかかわらず同じ音に聴こえることに気づいた。これが「オクターブ」の発見です。
え、音楽界最も偉大なのピタゴラスでは?というかピタゴラスがいなかったら、何も成り立っていないのではないでしょうか。
さらに、一定の長さの弦と、その2/3の長さの弦を同時に鳴らすと、とても協和した響きを出すことに気づいた。
これはドとソの音程に相当します。
ピタゴラスは、弦の長さを2/3ずつ短くしていくことで、オクターブの中に何個の音があるかを探っていきました。
バッハやモーツァルトの時代の音楽は、この純正律が用いられていた
しかし、ピタゴラスの手法で1オクターブ内に音階を作ろうとすると、綺麗に収まらず、ずれが生じてしまう。
多くの音楽学者たちはこれを解決しようと、新しい音律を探求した。その結果、「純正律」(周波数の比が整数比である純正音程のみを用いて規定される音律)が生み出されました。
バッハやモーツァルトの時代の音楽は、この純正律が用いられていたといわれています。
才能は生まれか、育ちか
楽器が演奏できる人、歌が上手い人は「天から特別に与えられた才能」といわれることがよくあります。
才能は、遺伝なのかそれとも「生後の環境」や「経験」に依存するのか、という科学論争には非常に長い歴史がある。それぞれ、生得説と経験説と呼ばれます。
「相互作用説」:遺伝と環境の両方の要素の”かけ算”
現在最も主流になっているのは「相互作用説」です。
人の発達は、遺伝と環境の両方の要素の”かけ算”という考え方です。
心理学者アーサー・ジェンセンはその中で「環境閾値説」を唱えている。閾値とは、ある環境要因が個性や人格形成に影響を与えるためのボーダーラインを指します。
身長は遺伝の影響が大きく、環境の影響は小さいため、環境要因の閾値が低いです。
一方、絶対音感は、そのポテンシャルを遺伝的にもっていても、適した環境がなければ会得できない。つまり環境要因の閾値が高いのです。
つまり、「絶対音感はピアノなどの楽器を小さい時から習っていれば身に着く」ということです。
「才能」が発揮されるためには「適切な環境や学習」が必要である
重要なのは、たとえ潜在的に才能の遺伝的素因をもっていたとしても、それが実際に発揮されるには、適切な環境や学習が必要であるということです。これは音感に限った話ではありません。
生まれつき才能が備わっていても、努力なしではその才能が開花することはありません。
音楽は、「言葉にはできない感動」のような感情を呼び起こすことができる魔法のツール
音楽はまだ言語化されていない「心の中」を表現することが出来ます。
音楽は、「言葉にはできない感動」のような感情を呼び起こすことができる魔法のツールなのです。