マガジンのカバー画像

ぬいぐるみの恩返し

22
ぬいぐるみにも心があることを知っていますか? ぬいぐるみが主人公の物語です。
運営しているクリエイター

2022年10月の記事一覧

【ぬいぐるみの恩返し】9「新しい名前」

 その後もバッグの中で揺られていると、ぱん田が言った。  「佳乃さんはきっとプトラに新し…

【ぬいぐるみの恩返し】10「新しい家族」

 その日の夜、ぼくはぱん田の隣に寝かされた。ベッドで寝るのは初めてだ。持ち主と一緒にベッ…

【ぬいぐるみの恩返し】11「ガーの写真」

 次の日、佳乃さんがぼくを抱き上げ、ぼくに写真を見せた。  壁にガーの写真がたくさんはっ…

【ぬいぐるみの恩返し】12「二人きりのお散歩」

 次の週末、佳乃さんはぼくをトートバッグに入れて散歩に連れて行ってくれた。佳乃さんは散歩…

【ぬいぐるみの恩返し】13「ここはどこ?」

 その翌日、佳乃さんはまたぼくだけをトートバッグに入れて出かけた。今度はお散歩ではなかっ…

【ぬいぐるみの恩返し】14「お花のイベント」

 今日は佳乃さんのお休みの日だ。ぱん田が朝からそわそわしている。どうしたのだろう。  「…

【ぬいぐるみの恩返し】15「将来の夢」

 今日は日曜日なのに、佳乃さんは赤ペンを持って机に向かっている。佳乃さんが家で仕事をするのはよくあることだ。佳乃さんの仕事は、マレーシアの若者に日本語を教えることだ。  そばで見ているぱん田によると、今日は作文の添削をしているということだ。ぼくは「どんな作文?」と聞いてみた。  「『将来の夢』っていう題。ほとんどが日本に留学したいって書いてある。通訳になりたいっていうのも少しあるけど。」  将来の夢か。「ぱん田の夢は何?」とぼくは聞いてみた。  「ボクの夢は、庭の大きな家

【ぬいぐるみの恩返し】16「ツアーの募集」

 数日後、佳乃さんと一緒にパソコンの画面を見ていたぱん田が言った。  「ツアーの募集があ…

【ぬいぐるみの恩返し】17「中秋節」

 ぱん田はいつも佳乃さんと一緒にパソコンを見て、いろいろな情報を得ている。ぱん田によると…

【ぬいぐるみの恩返し】18「旅行会社に到着」

 箱に入ってどれくらいたったのだろう。全く見当がつかない。  箱の中は真っ暗だ。一人ぼっ…

【ぬいぐるみの恩返し】19「東京ツアー」

 ついにツアーの日が来た。ぼくが参加するのは、東京の下町に行く1泊2日のツアーだ。  ぼく…

【ぬいぐるみの恩返し】20「新しいお客さん」

 ツアーが終わって1週間たった。ぼくはまだツアーの仲間と一緒にオフィスで楽しく過ごしてい…

【ぬいぐるみの恩返し】21「二人きりの箱旅」

 ぼくはガイドさんたちに別れを告げ、ガーと一緒に箱に入れられた。ガーと二人きり、1週間の…

【ぬいぐるみの恩返し】22最終話「プトラの物語」

 二人きりの箱旅をきっかけに、ぼくとガーは大親友になった・・・というわけではない。でも、友達になったとは言えるだろう。ぼくとガーが仲良く帰宅したから、ぱん田がとても驚いていた。  ぼくが旅行会社から帰って、数か月たった。  夜、ぼくはいつものように佳乃さんのベッドに寝かされた。ぼくはなかなか眠れなくて、なんとなくぼくの半生を振り返っていた。  ジェニファーの友達がぼくをジェニファーにプレゼントしたこと。長い間クローゼットに閉じ込められていたこと。ジェニファーのエコバッグに