(創作小説)デキル妻に デキナイ夫 家事労働分担成立の顛末記
人類が地球上に誕生して以来、料理の配膳や食事のあと片付けなどに代表される家事は、労働としての価値を与えられていませんでした。
それは、なぜ?かと言うと。。。価値を産み出さないからです。
この場合の価値とは、お金に変換出来るか否かということです。
このようになったのは、労働力をお金に換えることが可能となった社会が成立したからです。
というわけで、オレは、ちゃんと家事を行っている。だから、働いていることと変わらないのだ。
と声高々に言うと、「貴方は、男なんだから、さっさとハローワークに行って、仕事を見つけなさい。」と妻の一言。
あえなく撃沈したオレは、自分にとって、いかに家事が大変だとか、不器用なオレは、涙ぐましい努力で、ここまで出来るようになったとか未練がましく、口をもごもごさせていたのだが。
「チッ❗️」っと言う妻の舌うちが聞こえたので、オレは、慌てて「ハローワークに行ってきます。」と言うと、そそくさと二階に上がり出かけるしたくに取りかかった。
ハローワークで求人票のデータとにらめっこするが、気に入ったものには出会えず。
正社員は、諦めてパートや有期雇用に挑戦しようと決心。どれもこれも、一長一短であり、ようやく決めたのは、郵便局での宅配義務。週休2日であったが、勤務そのものが、肉体労働のかたまりであった。 先ず驚いたのは、郵便局の車なのにナビが搭載されていない。毎朝、紙で印刷された地図と荷物を仕分けして準備する。冷蔵のモノであれば、専用のバッグに保冷剤を入れるのでその分重くなる。で、実際の配達業務では、地図を見ながら家や建物を探しやっと見つけたら、エレベーターのない県営やら市営の住宅。
そして、最上階まで水が入った重さ10キロ以上するのを配達に行き、留守であった場合の落胆は、たまったものではない。不在票をいれて後で再配達することになるからだ。当然再配達は、夜の9時ぐらいまで行うので、結果的に長時間の拘束となる。これを繰り返すのだ。当然身体に負担が来る。
したがって、休みの日は、筋肉痛になり、寝たままで過ごす。本当にクビから下が動くのを拒否している状態であった。
さらに、商品の販売の無言の強要である。こちとら、有期雇用の時給労働者なのにである。年賀ハガキ、暑中見舞いのハガキ、年末年始のギフト等。驚いたことにみんな、年間50万円以上も購入していた。時給810円?で月二十日働いて月の収入って20万に届かないのに、年間50万円もの自爆営業?。しかも全身の筋肉痛が酷い。元サラリーマンにとっての宅配作業は、こんなにもキツいとは。
とういことで、有期雇用だったので、期間満了時点で妻に泣き❗️を入れて契約を更新せずにリタイア。
全身筋肉痛カラダの治療をすることになり整体に行くことになった。 が、しかし、働かない専業主夫❗️状態が続くと妻の舌打ちにびびり、慌ててコンビニのバイトに応募。
肉体労働では、なかったが、レジ業務とか、品出しとかの業務とか、常に客を意識しての入店退店時の声出しとか、精神的に辛かった。最年長者であったが、職場では、動きの鈍い老害者扱い。
そして、お決まりのイジメに逢い、落ち込み、再度妻に泣きを入れてリタイヤ。妻に懇願して主夫に転身することになった。
さて、そこからは、日々家事の修行が始まったのであった。ゴミ出しひとつとっても、ゴミの分別から、金属製やら鍋などの定期的なゴミ出し、その他、飼い猫のトイレ用の砂の不燃ゴミとして取り扱いなどなど。
さらに、掃除は、風呂掃除、トイレ掃除、床掃除、冷蔵庫および電子レンジの掃除など。また、調理においては、味噌汁に代表される汁物の出汁の取り方やら具材と味噌の選定、そして食材の切り方から焼き物、煮物、そして揚げ物などの調理プロセス。また、調理中のアク取りやら、調理全体の段取りと妻の帰宅時間を逆算しての調理完了の実現などなど。
また日用品の在庫管理など、うわあ!家事って365日、これをやるんだ。もう、驚き以外のなにものでもなかった。
こういう修行を通して、改めて気づいたのです。男は、もっと家事全般の理解を深めていかなければと。そして、実際に家事を分担して行う体験をしないと良い旦那、良い父親、良い社会人になれないと。
以上男が家事分担することで、この日本社会の維新を可能にすることができるということをあまねく世に啓蒙することを決めたのでした。