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漫画キングダムと行動経済②

キングダムの中での経済学と行動経済学

二日前に「漫画キングダムと行動経済①」について、
記事を書きました。
今一度…
「経済学と行動経済学の違い」
を書かせて頂きます。
経済学とは、
「人間は経済的合理性に基づいて行動し、
自己利益を追求する性質を持つという、
定義のもと成り立っている」学問です。
つまり「人は自分の利益を最優先し、
その利益を確実に得るために合理的な行動を取る

と言う事ですね。
しかし行動経済学は、
「人間が必ずしも合理的には行動しないことに着目し、
人間の心理や感情的な側面をベースに分析される経済学」です。
これは「いままでの経済学にはなかった新しい考え方の学問」なのです。
それでは…
大人気の漫画キングダムの主人公に当て嵌めて、
経済学と行動経済学を見てみましょう。

嬴政と呂不韋編

中華統一を目指す秦の若き王・嬴政(えいせい)
彼は秦の始皇帝がモデルとなっています。
物語は中華統一王を目指す嬴政と、
天下の大将軍を目指す信を中心に描かれています。
そしてキングダムを読んでいる方であれば、
よくご存知かと思いますが…
財力と頭脳で秦の右丞相まで登りつめた、
呂不韋(りょふい)がいます。
彼は元は一介の商人。
しかしその「財力」と「頭脳」で秦の右丞相へ、
更には相国まで登りつめた人物です。
呂不韋の勢力は秦国の国内最大規模と言われ、
大王陣営と権力争いを繰り広げていました。
呂不韋の勢力拡大には余念がなく…
時に危険な手段をとる事が多々ありました。
この時のやり取りはぜひ見て頂きたい所です。

「天下とは何か」の議論

嬴政と呂不韋が「天下とは何か?」
の議論を繰り広げる名場面があります。
これは約9年にも及ぶ、
嬴政VS呂不韋の戦いのクライマックス部分です。
実は嬴政の「加冠の儀(成人した王の誕生祭)」が近づく中…
嬴政の実母である太后と嫪毐(ろうあい)が、
呂不韋に利用され毐国を建国すると宣言。
独立国家を打ち立て、内乱へと発展して行きます。
ここでまた様々なドラマが起きるのですが、
内容は伏せておきます。
その中で「加冠の儀」を終え呂不韋が嬴政に対し、
"天下"について語り合おうかと誘い出します。
そしてここから始まるのです。

呂不韋の思想①

ココが今回のポイントです。
嬴政と呂不韋が「天下とは何か?」を語るのですが…
嬴政の大望である"中華統一"について触れます。
その願望は「狂気の沙汰」であると。
呂不韋は「金が人の欲を増幅させた」と語り、
「貨幣制度が天下をつくった」と言う事を伝えます。
「金こそが人々の欲を増幅させ、
他人との裕福度を比較する物差しとなり、
そのことが他人より多くを得たい!
という強烈な我欲をもたらした」と…
「人の本質の表れであり、
人の世の営みの一部である戦争を、
この世からなくすことはできない。」と断言します。

呂不韋の思想②

「物々交換」の範囲で生きていた人々の世は、
「貨幣制度」の普及により、
中華という広大で複雑な世界へとまで「進化」して来た。
自分ならば「暴力よりも金」で人を動かして、
「贅沢で豊かな国」づくりをしてみせる。と…
「人間の本質は我欲」であると考えており、
「中華を統一するのもお金を操って実践」
すればいいと考えているのです。
「10年あれば秦を中華史上で最も富に満ちた国に、
成長させることができる!」と断言します。
これは【経済学】の最もたる考えですね。
「人間は合理的」と考えるからです。
当然、企業は【利益の最大化】を目指しますし、
人はなるべく良いモノを安く買おうとします。
呂不韋の思想に近いのが「経済学」なのです。
呂不韋は戦争は無くならない!と言う理由に、
以下の言葉を付け加えます。
「己の大義、仲間、愛する者、ただの私利私欲、復讐…
戦う者たちの戦う理由は、
【それぞれが人の持つ正しい感情からの行動】であり、
誰もが間違っていないからこそ堂々めぐりとなり、
戦争が終わることなどない!」と言い放つのです。
これはこれで名言でもあると感じますね…

嬴政の答え①

キングダムを読んでいくと内容が繋がって行きますが、
呂不韋の「戦争が終わることはない」と言う言葉を聞いて
嬴政は幼少期(趙時代)に味わった、
復讐心の闇の中へと思わず引き込まれそうになります…
しかし命がけで嬴政を助けてくれた、
とある人物の言葉を思い出すのです。
それが【女商人・紫夏】でした。
呂不韋に対し嬴政はこう語ります。
「所詮〝文官〟の発想の域を出ないもの」であり、
「戦に向き合わぬ呂不韋の為政」は今の世の延長上である。
戦国時代が再びより大きな戦争期間へと突入するだけだ!と。
呂不韋は反論しますが…
「人が持つ凶暴性や醜悪さはただの側面であり、
人の本質ではない!
人の本質を見誤り、
戦争がなくならぬものと思い込み、
その中での最善を尽くそうとしているが…
それは前進などではなく〝人へのあきらめ〟だ。
そこに気づかないからこそ、
中華は500年も戦争の時代を続けているのだ」と語ります。

嬴政の答え②

呂不韋は嬴政に対し、
「では、人の本質とは一体何だと思うのか?」と聞きます。
そしてこの局面最大のポイントとなる、
中華統一を目指す秦の若き王・嬴政からの
感動のメッセージがこちらです。
「人の持つ本質とは【光】だ」
に繋がるのです。
嬴政はその上で「武力で中華を統一」させて、
「自分の代で戦争を終わらせることを断言」したのです…
嬴政の覚悟はその場にいる全員に伝わり、
呂不韋の目にもにじむものがありました。
人の持つ本質とは【光】
まさに感情で人は動く!
嬴政の思想はまさに【行動経済学】なのです。
こののち…
嬴政は約9年にも及ぶ呂不韋との争いに勝利し、
ここに国内統一が成し遂げられるのです。

漫画キングダムと行動経済について

様々な経済学の視点からこの局面は分析されています。
私は経済学と行動経済学を比べる上で、
この名場面を分析しました。
答えがあるとか、
正解があるとかは分かりませんが…
【行動経済学は光】であるとは感じています。
その理由は…
行動経済学の別添資料にも書かれていますが、
「人間の行動が全て自分の利益を最大化するために、
合理的に行動するというのであれば、
震災が起きた時に、
自分の仕事を放ったらかしてまで、
被災地にボランティアに駆けつけるなどということはしない」
でした。
これは私がまさにそうであったからです。
東北大震災で被災した二日後の深夜…
100人中99人が反対した中で、
気仙沼へ車で向かった私がいました。
この時いかなければきっと…
後悔していたでしょう。
人生は一度切りです。
多くの若者に後悔して欲しくないとも思うのです…
経済学と行動経済学の違いと言うよりも、
後悔しない生き方はどちらか?
をこれからの時代を作る人たちに、
伝えたいのかもしれません。
大人気漫画キングダムの魅力は、
まだまだ続きます。

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