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人間の心の奥の、その奥にあるもの (623字)

原文:PDFファイル
小川国夫『体験と告白』
京都大学2020年国語第一問

人間の内面を掘り下げていくと、その先に何があるのか。

それを突き詰めたのが「リアリズム小説」であり、詰まるところ、その先には絶望しかなかった。

「人生はひとつの崩壊の過程に過ぎない」というフィッツジェラルド (アメリカの小説家) の言葉が示すように、「いくら努力しようとも人生は不幸へ向かう無意味な過程に過ぎない」という決定論に辿り着いた。

フィッツジェラルド (1896-1940)

そんな絶望的結果を受けて、いったい私たちはどう生きればよいのか。

本文に出てくるトルストイ然り、ドストエフスキー然り、その絶望の先に希望はあるのか、みな苦しみに苦しみ抜いた。

トルストイ (左) とドストエフスキー

現代の私たちにも突き付けられる究極のテーマである。

「トルストイ/ ドストエフスキー」というロシア2大文豪の対比説明として、動画では「三島由紀夫 / 太宰治」の関係性についても触れた。

両者は共に対極的な生き方でありながら、人間としての純粋な根っこは共通するという、人間本質を考える上において最も注目すべき二人である。

なお、問五の文系限定最終問題では「その絶望の先」が問われている。

現代文だけに限らず、例えば数学で「無限のその先」まで考えさせようとするのが京大である。

それこそが学問の究極的な目的のひとつであると言えよう。

人生崩壊の先に、果たして希望はあるのか。

皆さんも是非考えてもらいたい。


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