香港のアフターヌーンティが進化中
私が初めて香港を訪れたのは、まだ中国に返還されるずっと前、1986年のことだった。当時中国大陸の留学を終え、友人と二人で最後の贅沢とばかり、香港に寄って遊んでから、日本に帰国しようと計画をした。
その当時、まだ香港の空港は市内の九龍にあって、ニョキニョキと立つ高層ビル群に飛行機は突っ込んでいくように着陸した。私は初めての香港に心を踊らせた。
中国大陸の片田舎に1年間生活していた私にとって、香港はキラキラした大都市だった。中国大陸では味わえないイギリス領の香港の香り。それを象徴していたのが、ペニンシュラホテルのアフターヌーンティだった。
元イギリス領の香港では、今もなおアフターヌーンティの習慣が残っている。ホテルの豪華なものだけでなく、一般庶民が日々通うローカルなお店でも、午後の時間帯はアフターヌーンティを提供している。アフターヌーンティは香港に強く残っている食文化だ。
そんな香港のアフターヌーンティ、現在進化を遂げているという。しかもそれは、ペニンシュラホテルのケーキやスコーンなどが並ぶイギリス式のものではなく、中華風の豪華なアフターヌーンティ。パッと見て豪華、種類も豊富で、いかにもインスタ映えしそうな中華風のアフターヌーンティの料理写真がSNSでは賑わしているという。
弊社の香港のライターさんが、高級上海料理レストランのアフターヌーンティセットの一例を紹介してくれた。
まずドリンクは、お肌に良いハトムギとレモンのドリンクやマンゴーとタピオカ、ザボンを使った楊枝甘露ジュースなどから選べる。すごくヘルシーな感じ。
さらに蒸籠に入った4種類の点心の盛り合わせ〜小籠包、帆立と蝦の餃子、アワビとハムの餡入りパイ、カスタードクリーム入りの饅頭。
続いて、蒸籠に盛られたアペタイザー数種類とメインのハトのスモーク。
締めには小さなお椀に入った上海風ヌードル。
聞いただけで、よだれの出そうな中華料理のオンパレード。是非それぞれの写真は、以下の記事からご覧いただきたい。
値段もそんなに高くなく、手ごろというものうれしい。香港にいくと、飲茶ばかりをチョイスしていたが、今後は、中華風アフターヌーンティが楽しみだ。
こう言ったアフターヌーンティの進化は、コロナ禍からで、コロナの為の規制が厳しく、夕食では商売にならないレストラン側が昼食の後の中途半端な時間帯に少しでも多くのお客を呼びこむために考えた策ではないかとも言われている。
近年香港は、デモから始まり、コロナと、観光に大きな打撃を受けている。中国色が強くなり、以前の香港の雰囲気が薄れてきているのは否めない。それでも香港が、今もなお、このような魅力的な文化を育んで進化していることに安堵する。いつまでも香港が香港らしくいてほしいと望むのは、返還前、憧れを抱いて香港に降り立った若き自分に対するノスタルジーもあるのかもしれない。