吉田 政生 (Masao Yoshida)

オンライン学習塾主宰。予備校講師(現代文)。中学受験専門塾(算数)。京都大学法学部。

吉田 政生 (Masao Yoshida)

オンライン学習塾主宰。予備校講師(現代文)。中学受験専門塾(算数)。京都大学法学部。

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吉田塾紹介&自己紹介 [大学から現在まで]

お笑いコンビ「ロザン」宇治原と大学で同期だった。 彼らは在学中から活動していたが、当時は全く売れていなかった。 私を含めた周りは、単なる笑い話としてしか認識していなかったが、今にして思えば友だちになっておけば良かったと後悔している(笑)。 弁護士だった祖父に憧れて司法試験の勉強を始めたが、法律の全体像が見えず苦労した。 祖父は東大阪の労働者のために身を粉にして働いた人権派弁護士だ。 毎週末、ホームレスの人々に自費でパンを配り歩いた。 そんな祖父に憧れて私も弁護士を

    • 日本人を襲う近現代化の闇−−自我の追求が自我を滅ぼす

      東大・京大・共通テストすべての現代文入試において、「人間を覆う殻」をテーマとする文章が出題された。 偶然なのか必然なのか、真偽は不明だが、現代日本社会に巣食う根深い問題であることは間違いない。 福田恆存の『芸術とは何か』は1950年の出版であるが、戦後80年となる今、日本人がいまだに近代合理主義の弊害に苦しめられていることがよく分かる。 「個人とは何か」「自己とは何か」という西洋合理主義・自由主義・個人主義が、明治初期の文明開化の一環として日本に入ってきたことをきっかけ

      • 人間の殻 [私たちを取り巻く常識という壁]

        大学入試を代表する試験で、奇しくも (くしくも) 同じテーマが扱われた。 偶然なのか、必然なのか。 真偽は不明だが、「人間の殻」というテーマが、現代日本社会における最大の論点のひとつであることは間違いない。 [1]東大現代文 「壁」フランス語を学ぶ筆者が、その学習過程の中で新たな「自分の殻」を身につける喜びを綴って (つづって) いる。 日本語の「殻」を脱ぎ捨て、フランス語の「殻」を新たに纏う (まとう) ことで、今までの自分とは異なる「新たな自分」に生まれ変わること

        • 憲法は各自が解釈するものである[自分の価値観で自由に評価する]

          投資関連協定における「ISDS手続き」の動画を作成したが、その中で「憲法解釈」の説明がかなりのウェイトを占めた。 「協定そのもの」の合憲性・違憲性が問題になりうるし、その問題を自分で判断すること、自分の価値観を前面に出して評価することが重要だからである。 私たち日本人は、「既に決まってしまったルール」は絶対に守らなければならないと叩き込まれて育った。 しかし、決してそんなことはない。 この「協定」が私たちにとって本当に必要なのか不要なのか、私たち一人ひとりが自分独自の

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        吉田塾紹介&自己紹介 [大学から現在まで]

          【エッセイ】憲法とか法律とか、すべて空気みたいなもの

          「TPP協定」とか「ISDS訴訟」って、条約みたいなものなんだ。 日本の憲法とは別次元にあるから、「憲法と比べてどちらが上か」を決めるのは難しい。 憲法にもハッキリとは書かれていない。 「決めるのが難しい」ということは「どちらが上か決まってない」ということだし、結局は「その場の空気で決まる」ということ。 日米安全保障条約もそうだよね。 「自衛隊は軍隊なのか、軍隊でないのか」とか言っても結局うやむやで。 これまで最高裁の判決をいろいろ読みまくったけど、そこに正論など

          【エッセイ】憲法とか法律とか、すべて空気みたいなもの

          憲法の上にある権力[日米合同委員会と経団連]

          [1]基本的人権日本国憲法には何が書かれているのか。 まず「憲法」というものを一言で表すと、以下のように定義できる。 国家権力は私たち国民を不当に苦しめる危険性を持つので、「国家」よりも「上位」にあって私たち国民を常に守る存在が必要になる。それが「憲法」だ。 憲法は私たちの暮らし全般に関わる重要な存在であると言えるのだが、いったい日本国憲法にはどんなことが書かれているのだろうか。 大きく分けると、以下の2つになる。 日本国憲法は、全103条から成る短い法典であり、

          憲法の上にある権力[日米合同委員会と経団連]

          憲法は解釈が9割[憲法は自分たちで好きに読み替えてよい]

          一時期ネット上で騒がれた「パンデミック条約」について、以下の記事を書いた。 これらの問題が直ちに我々の生活を脅かすわけではないが、我々の「外堀」は確実に埋められていっている。 「本丸」は憲法改正だ。 改憲論議が沸騰してしまう前に、「憲法の本質」をじっくり考えておきたい。 [1]改憲論議の前にすべきこと憲法改正に向けた流れが加速している。 反対運動は大いに結構であるが、その運動が盛り上がれば盛り上がるほど分断が進むし、内部工作は進むし、恣意的な暴力行為も発生するであろ

          憲法は解釈が9割[憲法は自分たちで好きに読み替えてよい]

          【論点】パンデミック条約と日本国憲法の関係性

          WHO (世界保健機関) で策定中の「パンデミック条約」がネット上で騒がれているが、日本がこの条約を批准した場合、どういう影響が生じるのか。その法的効果を考える。 [1]WHOが世界を統治する?ここでいう「パンデミック条約」は以下の2つを指す。 1️⃣ パンデミック条約案 2️⃣ 国際保健規則の改定 (IHR) 日本国がこれらを受け入れた場合、今まで国連の一諮問機関にすぎなかった「WHO」が、日本国よりも上位の「統治機関」として君臨するという。 そして、その統治機関が

          【論点】パンデミック条約と日本国憲法の関係性

          通貨発行の仕組み[物価上昇の原因]

          このグラフを用いて話を進めていく。 財務省・日本銀行・内閣府などのホームページから簡単に手に入るデータである。 このグラフが、戦後から現在に至る私たちの経済状況を具に (つぶさに) 表している。 細かく見ていこう。 [1]マネーストックとは赤い線は「マネーストック」といい、簡単にいうと「日本で発行されているお金(円)」のことである。 すなわち、1970年には50兆円のお金が日本で発行されていたということだ。 それが、2020年には1,000兆円にまで増えている。

          通貨発行の仕組み[物価上昇の原因]

          【哲学の危険性】 君たちはどう生きるか[哲学を哲学する]

          中学生向けの国語講義で、哲学に関する文章を解説した。 非常に示唆に富む内容であったので、その一部を紹介しながら、現代哲学の意義と、そこに内在する危険性について述べる。 [1]人間の知的能力とは筆者はこの文章で人間の知的能力を2種類に分けている。 筆者は特に後者「赤線の能力」の重要性を強調している。 哲学だけに限らず世の中における主流の考え方である。 詰まるところ「今をどう生きるか」である。 [2]世の中を信じ過ぎないこの潮流に私は異議を唱えたい。 「今をどう生き

          【哲学の危険性】 君たちはどう生きるか[哲学を哲学する]

          現代文に絶対的解法は存在する

          『現代文SOS!!』(東大銀杏学舎) 私が浪人生時代に出会った本である。 この本のおかげで、私は飛躍的に現代文の得点力が伸び、受験で優位に立つことができた。 現代文講師としての道を歩むことにも繋がった。 センター試験の恐怖私は現役受験生として臨んだセンター試験で大失敗している。 現在は「共通テスト」と名称が変わったが、国語に関しては内容面に大きな変化はなく、基本的に5択の選択式試験である。 選択肢があるということは、そこに正解が既に書かれているわけである。 特に

          現代文に絶対的解法は存在する

          【随筆】京都探訪2023夏〜出会いの妙

          ドイツ在住の日本人中学生男子にオンラインで国語を指導しているのだが、その彼が東京に一時帰国し、観光で京都を訪れるという。 私は何を差し置いてもぜひ会いたいと思い、大阪から電車で京都に向かった。 そもそもの出会いはSNS 。その後の指導もずっとオンライン。直接会ったことがない。 リアルに会って感じたいこと、話したいことが山ほどある。 待ち合わせ場所の東山三条に向かう。 東山三条は、平安神宮や南禅寺のある観光スポット。 三条通りを横切って白川が流れる。 すでに梅雨入

          【随筆】京都探訪2023夏〜出会いの妙

          【教育展望】世界情勢からみる日本教育の在り方

          円安 物価高 公共料金値上げ 防衛費倍増 債務上限引き上げ etc … この混迷を深める世の中において、私たち大人は子どもたちのためにいったい何をしてあげられるのだろうか。 ほとんどの大人は「見て見ぬふり」である。 子どもたちの将来のこと、未来の社会のことについて、ほとんど誰も考えてなどいない。 みな自分のことで精一杯だ。 致し方ないことではある。そのように社会システムが構築されてしまっている。 そんな中で、私たち大人に何ができるのか。一人ひとりの大人が考えなけれ

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          【京大思考の時代】 自ら考え抜く力

          「東洋経済ONLINE」にこんな記事があった。 「入試数学」の観点からみる東大・京大の違いである。 今回はこの記事に触発された形で、「入試現代文」をもとにした東大・京大の違いを述べる。 最終章では、その違いから導き出される「私たちの今後の生き方・在り方」について、核となる方向性を提示する。 [1]浪人時代の東大・京大の印象私は京都大学法学部の出身であり、浪人時代は代々木ゼミナール大阪南校の「東大・京大コース」に在籍していた。 当時の関西の予備校では「東大コース」・「

          【京大思考の時代】 自ら考え抜く力