直帰率が高いとか低いとか
ウェブ分析の指標として直帰率というのがあって、Googleアナリティクスを使って数字をチェックしている会社のウェブ担当者から、うちの直帰率が高いのですがなにが問題なのでしょうか、みたいに訊かれることがよくある。結論からいうと直帰率が高いからよい、低いからよくないとはいちがいにはいえない。
いちおう説明しておくと直帰率とは検索エンジンなどからサイトのどこかのページにやってきて、サイト内の他のページには移動せずに帰っていった人の割合のこと。似たような用語に離脱率というのがあるが、これは他のページから移動してきて帰っていった人も含まれる。
直帰率が高いとよくないと考えられる理由
直帰率が高いのはよくないと考えているウェブ担当者が多いのは、おそらくこういうイメージだろう。とあるユーザーがトップページにやってきたけど、デザインがダサくて、情報も古そうで、ナビゲーションもわかりにくいので、どこにも行かずにすぐに帰った、みたいな。たしかにこういうユーザーもいるかもしれないが、実際には少ないはずだ。それはユーザーの行動を考えるとわかってくる。たとえば「山田商事」という社名を検索してサイトに来た人のことをイメージすると、その人は山田商事のことを知りたくて検索したのだから、多少デザインがダサくても、目的の情報を探すはずだ。違う山田商事を探していて、間違えて来てしまった人はすぐに帰るかもしれないが、そういう人は無視してもいいだろう。
ブログサイトでは直帰率が高くなる
ブログサイトでは直帰率が高くなる。これはどういうことかというと、たとえばユーザーが「サラリーマン 平均年収」を検索して、とあるブログ記事にたどり着いたとする。そのユーザーは次に何をするだろうか。同じブログサイトで「ハーゲンダッツの人気ランキング」の記事を読むだろうか。そうではなく、「サラリーマン 平均年収」の検索結果に戻って、別の記事を読むだろう。ようするにブログというのはユーザーは目的の情報にダイレクトにたどり着いているので、他に移動する必要がないのだ。結果的に直帰率が高くなる。
正しいSEO(検索エンジン最適化)
コーポレートサイトにおいても、ユーザーが目的のページにすぐにたどり着けているのであれば、直帰されてもなんの問題もない。たとえば「山田商事 アクセス」と検索したばあい、山田商事のサイト内にある「アクセス」というページにランディングしたのであれば、ユーザーは目的のページにダイレクトにたどり着けたわけだから、すぐに帰っても問題ない。逆に「山田商事 アクセス」と検索したにもかかわらず、トップページにランディングしてしまい、アクセスが書かれているページに移動しなければいけなかったとしたら、直帰はしなかったとしても、ユーザーはストレスを感じてしまう。
そもそもSEOとはユーザーの検索キーワードとサイトのページ構成が最適化されていることをいう。なにかテクニカルなことで検索上位に表示させるハック的なものではなく、ユーザーの検索行動にもとづいてページを作ることがSEOの本質なのだ。つまり検索エンジンからの集客をメインに考えるのであれば、直帰率が高いのはよいことなのだ。もちろんランディングページを起点にサイト内を回遊してもらうことも狙うのであれば、つぎの段階としては直帰率を下げる対策が必要になるわけだが、ステップとしてはまずは集客がいちばんだろう。
直帰率の正しい見方
直帰率はそれが高いか低いかだけをみてよいかわるいかは判断できないということを書いてきた。重要なのはページの内容によってその判断が異なるということを意識することだ。トップページであれば本来は直帰率が低いはずだから、高いとしたらなにかがおかしい。コーポレートサイトであれば、アクセスのページや社長のプロフィールの直帰率が高いのは自然。個別の商品・サービスのページであれば、直帰率が高いのであれば他のページにうまく誘導して低くする施策が必要、など。
おわりに
直帰率にかぎらずウェブ分析の指標はそれだけを見てもあまり意味がない。いわゆるアクセス数にしても、上がった下がっただけを見て一喜一憂してもしょうがないのだ。分析のための分析ではなく、明確な目的をもったうえで分析し、改善することが重要だといえる。