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だからオンラインのプレゼンはいやだ

とあるプロポーザルのプレゼンがオンラインだった。クライアントが遠方だとわざわざ現地まで行かなくてもいいというのはいいのだけど、それでもやっぱりオンラインのプレゼンはいやだという話。

私はWebサイトの案件でプロポーザルに参加し、プレゼンをすることがよくあって、自分では得意なほうだと思っている。企画提案書が自分で書いたものであれば、事前に資料を再チェックする必要もないし、原稿を書かなくてもスラスラと説明ができる。決められた時間内で収めることができるし、適度に笑いも取れる。面白かったと言われることもある。緊張はしないし、むしろ楽しい。そんな私でも、オンラインとなると話が変わってくる。

オンラインでのプレゼンでは、事前にURLが知らされ、決められた時間になったら入室するように指示される。時間になって入室すると、先方の担当者が画面に映っていて、軽く挨拶を行う。では準備ができたら始めてくださいと言われ、私が画面共有をして、説明を行う。その時点で相手はカメラをオフ、音声をミュート。ここから孤独な時間が始まるのだ。

私のばあい事前に原稿を用意しているわけではないので、対面のプレゼンでは、参加者の反応を見ながら話す内容を調整している。コンセプトの説明などでうなずいてくれたら、そこはしつこいくらい丁寧に説明するし、テクニカルな内容とかで退屈そうなら適当に飛ばすし、ちょっとおもしろいことを言って笑ってくれたら、もうすこし笑いを取りにいったり。こういうフィードバックができるかどうかが、プレゼンのスキルだと思う。だけどオンラインのばあいは、相手の反応がまったく見えないのだ。

共感してくれているのか、熱心に聞いてくれているのか、退屈そうなのか、眠そうにしている人がいないか、笑ってくれているか。極端にいえば、向こう側には誰もいないかもしれないし、接続状況が悪くてつながっていないかもしれない。何もわからないまま、ひたすら説明を続けなければいけない孤独な状況で、嫌な汗をかくし、口がパサパサになってくる。声に元気がなくなり、表情も暗くなってくる。早く終わりたいと思いながら、最後のスライドを説明し、終了。先方のカメラとマイクがオンになり、質疑応答の時間が始まる。ここでようやく審査員たちの顔が見える。

質疑応答では対面のプレゼンに近い感じなので、ここからは調子が戻ってくるのだけど、質問があまりないと、本調子になるまえにプレゼンが終了してしまう。退室ボタンをクリック。パソコンの画面。暗く重たい気持ちでしばらく画面を見続ける。

とまあ、こんな感じだ。

プレゼンというのは、お見合いみたいなものだと思っている。説明だけなら資料に書いてあるので、わざわざ口頭で行う必要はない。質疑応答だってメールや書面でじゅうぶんだろう。それでもプレゼンを行うのは、提案者の顔が見たい、声が聞きたいからだと思う。であればオンラインでもいい、というのはわからないでもないけど、プレゼンする側としてはやりにくいし、本来のじぶんを出せないのだ。スキル不足だろと言われればそうかもしれないけど。

なので、オンラインでのプレゼンを全否定するわけではないし、やめてくれとまではいわない。だけど開催するばあいには、カメラはオフにしないで、というのはお願いしたい。できれば審査員の全員が見えるようにカメラをセットしてもらって、プレゼン中もずっと顔が見えるようにしてほしい。それであれば対面ほどではないにしても、フィードバックはできるし、なによりつながっている安心感がある。

聞く側もカメラはオンで。切に願う。


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