たずさえる
手に下げたり、身に着けて持つ
「吉田祥吾」
自分の名前が職業だと思っている。
一言では説明出来ない“人の心に関わる”ということ。
今やっと「吉田祥吾」が職業だと心から言えるようになった。
それは生活の為にバイトをしていても、だ。昔のように「音楽や伝える以外で収入を得るのは才能がないからだ」と、卑下することなく、それらも含めて、今が一番「吉田祥吾」が職業だと胸を張って言える。
僕を選び続けてくれる、“レッスン”や”相談”、ライブに来てくれる人、講演会に呼んでくれる人達、僕を「吉田祥吾」で居させてくれる人達。
間違いなく、その人達のお蔭で僕はこうして生きている。
音楽は苦手だ。正確な音程、リズム、どれだけやっても理想は超えられないし、自分の能力の限界は見えていて、音楽の才能はないと言い切れる。
自分に「よくやった!」と言ってあげたいのは、いち早くその事実に気付いたこと。
音楽の能力は低い。その現実的にどうにもならない能力を補う為に必死に探した『自分だけの武器』。
それこそ、人前で歌い始めた20歳の僕は純粋に音楽が好きで、理由のない自信と夢を抱いていた。いつか必ずスカウトされて、どこかの事務所に認めてもらえる日が来る。そう思って弾き語っていた。
人生の「大当たり」には届かない。そんな日々が続いても、“もしかして、、、”と、完全に諦めて期待を捨ててしまわないように、巧妙に、絶妙に、何より喜びと共に出逢いを与えてくる。そして、その度に思い出すのが『自分だけの武器』。
僕には伝える力がある。
声がある。
僕は僕だけの武器をたずさえる。
「今」がいつも輝く、なんて、うまくはいかない。
「今」が輝いていないなら、輝く時がこの先待っている。
もうひとつ、たずさえている武器がある。
それは「想像力」
未来に希望を生み出す力。
希望を覆い尽くそうとする現実を打ち砕く力。
”自分の物語”を生きる為。
僕は与えられていた武器をたずさえる。