見出し画像

アメリカザリガニが飼えなくなる日

子供の頃や小学校で飼っていたアメリカザリガニは、もしかしたらもう身近に見ることのない存在になるかもしれない。そんなニュースを目にしました。

アメリカザリガニを取り扱う法律がかわる


2022年1月に「中央環境審議会」の議題に上がった

「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の施行状況等を踏まえた今後講ずべき必要な措置について」

この法案によって、アメリカザリガニの取り扱いに規制が入る可能性が出てきました。

なんだか難しい言葉が並んでいますが、要は「アメリカザリガニが増えすぎて生態系を壊しているから規制しようぜ」という話です。

規制が入るとどうなるのか。飼育はもちろん、販売や繁殖、生きたままの運搬。これらすべてが禁止になります。つまり私たちが身近に感じていたアメリカザリガニに触れる機会がなくなってしまうというわけですね。

特定外来生物とは?

特定外来生物」とは、外来生物(海外起源の外来種)であって、生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、又は及ぼすおそれがあるものの中から指定されます。
特定外来生物は、生きているものに限られ、個体だけではなく、卵、種子、器官なども含まれます。

※環境省のホームページ参照

要約すると、日本国内にもともと存在しない生物の中で、生態系や、私たちの影響に被害が出ている、もしくは出そうな生き物が特定外来生物に該当しするわけです。

この特定外来生物に指定されると、主に以下のような制限がかかります。

  • 生きたままの運搬

  • 飼育

  • ペットショップなどでの販売

  • 屋外への放流

他にも細かな規制はありますが、おおむねこのような制限がかかります。ですので、もしアメリカザリガニが特定外来生物に規制された場合、田んぼや小川で捕まえたアメリカザリガニは、持って帰って飼育することも、もと居た場所に返すこともできなくなります。

こうなると、もし捕まえてしまったら、殺してしまうしかないわけですね。
身近なペットであり、私たちの生活にとても近かった生き物が、ある日突然「殺処分の対象」となるわけですから何とも言えない気持ちになります。

今はまだ飼育は可能の段階

とはいえ、本格的にまだアメリカザリガニが特定外来生物指定されたわけではありません。今回環境省で決められたのは「条件付き特定外来生物」に指定する。という内容でした。

これは、生きたままの運搬や販売、放流は禁止するけれど、飼育は認めます。といった内容です。この条件が付いた背景には、現在日本国内で飼育されているアメリカザリガニの個体数が関係しています。

2022年現在540万匹のアメリカザリガが飼育されている

アメリカザリガニは、2022年の時点で推定540万匹も飼育されています。もし、このザリガニたちに規制が入れば飼育には登録と許可が必要になります。

今まで飼育していたペットに許可が必要になるなんて、なんだか変な話ですよね。それに許可申請もなんだか難しそうです。

もし、この許可申請を面倒に思った飼育者が、特定外来生物認定前にアメリカザリガニを一気に屋外に放流してしまえば、それこそ生態系への影響は深刻になるでしょう。

環境省はこのような事態を懸念して、現時点では条件付きの特定外来生物の指定としたようです。

今後の対応はどうしたらいいのか

とりあえず今のところ、既に飼育している方には何か対応をする必要はありません。但し、繁殖はできませんので大切に終生飼育をしていただければと思います。

野外でザリガニ釣りなどをして遊んでいた方は、今後釣ってしまったザリガニは放流せず、その場でシメる必要が出てくるかもしれません。
特にお子様などの前では慎重な対応が求められます。(このあたりの決定は今のところ未定のようです)

【まとめ】こうなってしまったのには私たちの責任がある

特定外来生物は、生き物が悪いわけではありません。勝手に生き物を連れてきた人間に責任があります。

今後も買いきれなくなったペットの野外放流や、身勝手な動物の持ち込みによって、身近な生き物が特定外来生物として規制になる可能性も否定はできません。

生き物を飼育することの責任をもう一度自覚して、このような事態になることを減らしていきたいものですね。


いいなと思ったら応援しよう!