ちょっと寄り道 ”ウカイロファーム”
2022年4月、愛媛県北条市にて”ウカイロファーム"をスタートしました。
”ウカイロ”とは、このまま何もしない未来に突き進む以外にもオプションがあるよ、と伝えたいネーミングです。
一直線の行き方ではなく、みんなでちょっとだけ寄り道してみない?もうちょっといい未来が見えるかもしれないよ?という提言を意味しています。
ウカイロファームでは、自然農法や共生農法などと呼ばれる方法で、農薬・化学肥料を使わず、ビニールのマルチなども使わずに藁で覆った「藁マルチ」を活用するなど、できるだけ自然に近く、偉大な自然の力でお野菜やお花やハーブを育てる実験を始めています。
やってみると、本当に農家さんを尊敬する日々です。
なぜ畑なのか?
東京で暮らしていた頃は、野菜はスーパーで買うものでした。でも、愛媛に引っ越してきて、父の小さな畑で穫れる野菜や、友人やご近所さんからお裾分けでいただく野菜は、東京で購入していた野菜とは違う表情をしているように感じています。
鮮度が違うこと、ビニール袋に入っていないこと。でも、一番の違いは、誰が作ったのか、誰からいただいたのかがわかることかもしれません。
そして、表情の違う、顔の見える野菜に対する感謝は、これまでより大きくなりました。
夫はずっとコンサルを、私はPRの仕事をしています。何かを自分の手で生み出したことはない。それがコンプレックスでもあり、そして疑問でもありました。
「何も生み出さないままお金だけを稼ぎ、この先誰かが一生懸命作った作物を頼りにすることは、本当に豊かな生き方なのか。」
「食べることは生きることであるにも関わらず、農作物の値段が安すぎるのではないか。」
そして、愛媛で出会った農家さんのかっこいい佇まいと、心の豊かさに触れたことも、「なぜ畑?」の一因です。2021年に越してきて、すぐに地域の方々と仲良くなり、そして"スナモンnouen"に出会いました。おばあちゃんとお父さんを中心に、週末にはお母さんもキッズもお手伝いして、家族で営む兼業農家さん。
まず驚いたのは、子供たちが農園を運動場のように遊び場にしていて、誰1人タブレットやゲームを持ってこず、ひたすら自然の中で遊んでいたこと。(相手してくれそうな大人を捕まえてきて鬼にして、ドロケイやイロオニでただひたすら走り回る…)
そして、今では手間がかかるため珍しくなった天日干しでお米を作っている風景に、幼い頃の懐かしい原風景のようなものを感じ、とてもとても心が動かされました。(私の祖母もお米を天日干ししていたのです)
何も生み出したことがない人生、「まずは自分の食べる分だけでも作って、感謝して、生活してみたい」という気持ちを実行にうつそう、と決意しました。
なぜ自然農法・共生農法なのか?
パンデミックをきっかけに学校が閉鎖され、学びが奪われることを危惧した森田真生さんと瀬戸昌宣さんが始めたラジオ「学びの未来」で、”共生農法”という言葉を初めて知りました。全ての生物が共生しながら生きている地球上で、人間の手が入ることで生態系がより豊かになる農法、と理解しています。「害虫」とは、人間が生活を営む上では「害」であるけれど、それは人間のみからみたちっぽけな視点。
しかし、資本主義社会が広がり、人口が増え、食べ物を効率良く生み出すためには「害」であったそれらを、人間の営みのだけだけに排除することで地球環境が破壊されてきたことを考えるきっかけをいただいたラジオで、今も毎週拝聴しています。
大量生産大量消費は時代の流れで必要なものだったことも理解していますが、それらによってもたらされた地球環境の変化や、私たちの感覚や態度変容は、もしかしたら思っている以上に何か大きな大切なものを無くしてしまったのかもしれない、なんて思ったりもしています。
もちろん化学物質が私たちの体に入ってくることをできる限り少なくしたい、という気持ちも大きいです。だから自然農法という、自然にできるだけ近い農業を選択しました。
それに、有機農法によるお野菜を使ったレストランのシェフたちのインタビューを読むと、健康面よりもむしろ、その美味しさに魅了された、とこぞってお話しされているのも興味深いです。
確かに有機のお野菜は味が濃く、栄養が凝縮されているように感じます。
少しづつですが、自分たちのペースで楽しく挑戦していこうと思います。
たった1ヶ月ですでに嫌というほど実感したのは、「農作物を作ることって本当に本当に本当に大変!!!!!!」ということ。
本当に農家さんたちを尊敬してやまない日々です。