スイッチコントロール・連打の調整について
スイッチコントロールでiPadを操作する際、手の震えなどによって意図せずスイッチを連打してしまうことがあるが、その調整方法はないか?という相談が時々あります。
スイッチ側で対応する、スイッチコントロールの設定で対応するなど、対応方法は、いろいろあると思いますが、ここでは、スイッチコントロールの設定で調整する方法をご説明します。
はじめる前に
「注目すべきはスイッチそのものだけではない」という点は忘れてはいけないと思います。目的はスイッチの操作ではなく、スイッチを操作して何をするかという点です。単にスイッチの押し方の練習をしている時はうまく操作できないけど、好きなもの・やりたいことをするためにスイッチが必要だという時にはうまく操作ができる、といったケースもよくあることです。
機器の設定にだけ頼らないで、操作される方の思いを心にとめて工夫してください。スイッチコントロールの設定も、設定の組み合わせによってがらりと使い勝手が変わります。どんな風に工夫したら使いやすいかを考えてみて、その設定の仕方を探す方が簡単です。設定に身体を合わせるのは大変です。
繰り返しを無視の設定の設定
意図しないスイッチの連打に対応するに、繰り返しを無視 の設定を使う方法があります。この設定は、1度スイッチを押した後、一定時間の間の再操作は入力と認識しないようにします。
設定内容は、無視をする時間の秒数です。0.1〜6.0秒まで、0.5秒単位で指定することができます。
設定 > アクセシビリティ > スイッチコントロール > 繰り返しを無視
最初の設定
スイッチコントロールの設定によって、操作感が大きく変わります。
自動ハイライトか、手動ハイライトか。自動ハイライトでも、タップ後の動作がデフォルトか、自動タップか、常にタップか。自動タップの場合の秒数によっても変わります。項目モードかグライドカーソルかでも、使い勝手が変わります。
ですので、一度設定した後に、使いづらいと思ってもそれで止めにせず、設定の調整をすれば使い勝手が変わるということを思い出してください。
初めてこの 繰り返しを無視 の設定を使う場合は、次の設定で試すとイメージがつきやすいと思います。
・ハイライトのスタイル:自動ハイライト
・自動ハイライトの時間:4秒
・最初の項目で一時停止:オフ
・繰り返し:2
・移動の繰り返し:オフ
・長押し:オフ
・タップの動作:デフォルト
この時、一旦自動タップにして時間を4.20秒にし、デフォルトに戻します。
・タップ後にフォーカスされる項目:現在の項目
・保持継続時間:オフ
・繰り返しを無視:オン、4.00秒
・スイッチのアクション:タップ
この設定で、項目モードでもグライドカーソルであっても、スイッチを1度操作した後は4秒間はスイッチを操作しても認識されない、ということになります。項目モードの自動ハイライトが4秒ですので、1つの項目で1回しか認識されない程度の設定となります。
スイッチのアクションを タップ にしたのは、ハイライトメニューを表示しないようにしたからです。最初は、画面の項目を選択することだけに集中して使い勝手を見た方が納得しやすいです。そのタイミングに慣れたら、スイッチのアクションを 項目を選択 にしてハイライトメニューを表示するようにして試してみてください。このことは、繰り返しを無視がオフでも同じです。
タップの動作の設定で、一旦自動タップにして秒数を変えてからデフォルトに戻したのは、繰り返しを無視の秒数は、自動タップの設定時間より小さくないといけないからです。例え自動タップを選択せずデフォルトに設定していたとしても、自動タップで設定している秒数を超える設定を繰り返しを無視で指定することはできません。
設定の変更と調整
スイッチを押すまで緊張して待っていると、スイッチを押した後に手の震えが止まらなくてもう一度押してしまう、というような場合に、この設定で調整ができます。
一度スイッチを押した後は、一定時間は操作が無視されるから安心してくださいと伝えます。操作の後、気持ちが落ち着いて手の震えが緩やかになり、自分の意思でスイッチが再び押せるようになるまでの時間を、繰り返しを無視の時間に設定すると良いです。
慣れてきたら、少しずつ調整していくことで、待ち時間を少なくできます。自動ハイライトの時間との兼ね合いも考えながら調整してください。あまり待ち時間が長いとじれったいですし、速すぎても使いづらいです。
その他の方法
スイッチコントロールを使う場合は、連打の調整は上記の項目となりますが、スイッチコントロールを使わない場合は、スイッチ接続キットの変わる君の設定で、同様のことが設定可能です。1回スイッチ操作をした後、一定時間は入力を無視するといった設定が可能です。
指でタップする動きはできるのだけど、平べったい画面をタイミングよくタップするのが難しい、タップしようとしてもスワイプになってしまう、というような場合は、タッチ調整の機能を使って調整したり、指伝話メモリでカードを作る際にスワイプさせない作りにすることなどで対応することもできます。
透明なシートにタップする場所だけに穴を開けて、タップしやすいようにするとか、物理的なボタンを画面につける、といった方法もあります。
いろんな方法があるので、一つだめだからといって諦めたり決めつけてはいけない、ということですね。
参考:指伝話を使って覚える iOSアクセシビリティ 1-2-3! タッチ調整編https://yubidenwa.jp/switch/AC123-TouchChousei/