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スイッチ操作に適した画面の作成

 iPadのスイッチコントロールの機能はとても優秀で、画面のタップ操作をしなくてもスイッチ1つだけを使って、ほぼすべてのiPadの操作が可能になります。

 最初からいきなりバリバリ使いこなそうとするのは難しいものです。料理を習う時にフランス料理に挑戦するようなものです。楽しみを知る前に挫折してしまいますね。ですので、最初はパンにハムやチーズを挟んで食べるくらいのスタートが良いでしょう。

 わずかな身体の動きを使ってのスイッチコントロールも同じで、最初は簡単なところから始めるのが良いです。でも、せっかくやるなら先の展望が見えていて、やる意味があるものがいいと思うものです。そして失敗したくない。

 そんな時には、指伝話メモリが良いです。スイッチ操作の最初の最初はスイッチコントロールを使わない「めくってタップ」(別のnoteに執筆します)がお勧めですが、スイッチコントロールを使い始める最初は、「ふむふむ」がお勧めです。今回は「ふむふむLC」を使っています。LCとはLightなColorという意味です。

まずは動画でご覧ください

 動画と解説で説明します。今回はスイッチコントロールのグライドカーソル(ポイントモード)を使用しています。UFOキャッチャー方式と呼ばれている選択の仕方です。スイッチ2回の操作で画面のどこでもタップできるので、応用の効く操作方法です。


ふむふむカード

 ふむふむカードは、1画面に4つの選択肢が表示されています。内容はあいづちのことばです。どれを選んでも、どのタイミングで選んでも、周りの人との会話に入っていける人気のカードです。

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 4つしか選択肢がない上に、1つの選択肢が大きいカードなので、グライドカーソル(ポイントモード)で結構ラフにスイッチを押しても狙い易い点が魅力です。

 この方式は、2回の選択で場所が確定しますが、このように画面いっぱいの選択肢の場合、1回目の選択で間違えると、2回目の選択肢を選ばないとならなくなり困ることが考えられます。

 スイッチコントロールの設定に、繰り返し の項目が指定できます。1〜10回の指定ができます。グライドカーソル(ポイントモード)では、1回目の選択をした後、ここで設定した回数の間2回目の選択操作がなければ、1回目の選択が取り消されて最初からやり直しになります。

 これによって、1回目の選択を間違えた時は 待ってやり直す という方法があるのですが、グライドカーソルの動きがゆっくりであったり、繰り返しの設定回数が多くしてあると、待ち時間は長くなってしまいます。待つのは長いものです。

 そこで、積極的に選んでいくことができる方法をいくつか考えてみました。

ふむふむ9

 これはカードを1画面に9枚表示にし、4つの選択肢を表示し、他の5枚は空白にしておく方法です。空白があると、カーソルが見やすくなります。

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 この方法であれば、1回目の選択を間違った時、1回目の選択の後に気持ちを変えて他の選択肢を選びたくなった時に、2回目は空白の場所にすれば、もう一度選び直しができるので安心です。選び損ねてもいい、選び直してもいい、という安心感が緊張を和らげます。そうするとスイッチ操作も力を入れずにゆったりとできるので、楽にできるようになります。

 間違った時に何も選ばれないならまだいいのですが、違うものが選ばれてしまうというのは大問題です。これはあいづちの選択ですから、違うものが選択されても大きな問題ではありません。(ですので最初の練習はこういう選択肢から始めることが良いです。)しかし、「何を見たいですか? 時代劇・漫才・オペラ・恐怖映画の4つから選ぶ」という場合、漫才を楽しもうと思って恐怖映画を選んでしまったら、なんとも言えない気持ちになってしまいます。そうならないために緊張すればするほど、恐怖映画を選んでしまう可能性が高まってしまいます。このこと自体が恐怖です。

ふむふむ16

 これはカードを1画面に16枚表示にし、4つの選択肢を表示し、他の11枚は空白にしておく方法です。画面の真ん中に4択が表示されます。上下左右に空白があるので、カーソルがより見やすくなります。

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 カーソルが画面の端にあたってから跳ね返ってくるところを選ぶようにすると、タイミングをとりやすいです。

ふむふむ3

 これはカードを1画面に9枚表示にし、3つの選択肢を表示します。選択肢の数は1つ減ってしまいますが、1回目の選択で間違った時に、2回目に空白を選びやすい点が特長です。

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 左上から右下に並ぶ斜めだと、最初のカードを選ぶために縦も横も最初というのは緊張が高まるので、右上から左下への並びにしました。16枚表示で4つの選択肢にするというのも良いと思います。

ふむふむ確認

 一番始めの1画面に4枚の選択肢を表示する方式ですが、1つを選んだ後、同じ場所にその選択肢だけを表示して、再度それを選んだ時に確定となる方法です。

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 最初に選んだ時に違うものを選んでしまった時、いきなり確定するのではなく、次の画面で確認ができるのが良い点です。違うものを選択してしまった時は確認画面で空白部分を選択すれば前の画面に戻ってやり直しができます。空白部分が広い分選び易いです。正しいのを選ぶ場合は、選択肢は1つしかなく他は白ですからカーソルも見易いです。仮に選べなかったとしてももう一度やり直しになるだけで、希望しないものが選択されてしまうという不安はぐっと減ります。

 最初にタップしたものが選びたいものであれば、確認の画面では選択せずに放置しておくというのも一つの方法です。誰か介助者の方が画面を見てくれれば、何を選択したかがよくわかります。

指伝話メモリのメリット

 指伝話メモリは、使い方や慣れに応じて、このように画面表示を簡単に変えたものを作って使えます。訓練をして使い方に慣れるのではなく、いま使える状態で使ってもらっているうちに、だんだん慣れて複雑な操作・細かい操作もできるようになるでしょう。

 また、指伝話メモリは、「カードを1つ選ぶ」という操作ができるようになれば、音声でことばを伝えるだけでなく、メールやメッセージを送信したり、音楽をかけたり止めたり、スマートスピーカーに話しかけて電気をつけたりと、できることがどんどん増やせます。それでも操作は複雑になるのではなく、「カードを1つ選ぶ」という使い始めと同じ操作のままです。

 最初は1画面に4枚表示だったのが、慣れてくれば16枚表示になるでしょうし、階層化したメニューも使ってどんどんできることを増やしていくイメージが湧いてきます。それでも「カードを選ぶ」だけなので、訓練して緊張して使うものではなく、楽しんで使っていただけます。

 あいづちをうてるようになったら、是非次は、好きな音楽を選んでかけるカードにしてみてください。

参考: 指伝話のホームページ https://www.yubidenwa.jp/



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Yoshi = 高橋宜盟(たかはし・よしあき)
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