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興味あるものだけが見える
私の ”最終” 学歴は、美容専門学校 “中退” です。
高校卒業後に浪人をして教員養成大学に入り、教育心理を専攻し小学校と中学数学の免許をとって卒業しました。社会人になって10年以上経ってから、美容師免許をとるべく美容学校の夜間部に通いました。学科は修了したものの実技の時間を十分にこなせずタイムアウト。ちょうど仕事が忙しい時で両立は難しかったので中退しました。
街で目につくもの
教員にならずに民間企業に就職したのはIT企業。インターネットがまだこんなに普及していなかった頃でした。休みの日に出かけるのは家電量販店かパソコンショップ。街中で目につくのはインターネットカフェでした。
外資系の企業で働いていた時は、街中で目につくのは英会話学校でした。
美容師向けの雑誌を出版する企業を手伝っていた時は、街中の美容室に目が行き、社員の女性の髪型の変化はすぐにわかりました。この頃、美容師になるための勉強をしました。
下請けでシステム開発していた時に、大学の動物病院のシステムを作っていたことがあります。その時に街中で目についたのは、動物病院でした。
指伝話の仕事をするようになって、街中にあるリハビリ病院ということばが目に飛び込んできます。いまは、インターネットカフェも、美容院も、動物病院も、目に飛び込んでくることはなくなりました。
人は、興味のあることが目に飛び込んできて、興味のないことには目もくれません。
城本さんに興味がある
研究所の研究員で、私のブレインでもある城本さんは、筋ジストロフィーです。というと、何型の人ですか?と聞かれることがありますが、よくわかりません。何度か説明を聞いたのですが、それを人に説明するほどの知識として身についてないのです。でも、城本さんがどんな人か、どんなことを私に教えてくれるかについてだったら、私はたくさんお話しできます。
筋ジストロフィーについて興味がないのではありません。私の興味は城本さんであって、彼の頭の中はどんなになっているんだろう?どうしてああいう発想がでてくるんだろう?というところなのです。彼の筋ジストロフィーを医療的に治療するという興味ではなく、彼と話しをしたい、もっと議論したいという興味の方が私にとっては強いのです。
興味のあるものは目に飛び込んできますし、興味がないものはどんなに話しを聞いても右から左に抜けていきます。興味がなくても話しを聞いて興味を持つこともありますが、私の興味は「筋ジストロフィーの城本さん」ではなく、「城本さん」で、たまたま筋ジストロフィーだったということで、筋ジストロフィーは彼の属性の一つでしかありません。
城本さんに興味があるから、筋ジストロフィーということばが身近に感じられるのであって、筋ジストロフィーに興味があって城本さんを観察対象にしているのではありません。
城本さんとの出会い
私がAUGM(Apple User Group Meeting)in 盛岡で、指伝話についてお話しをした時、ワンボタンの声というPodcast番組でご紹介いただきました。それを聞いた城本さんが、自分の考えをメールで送ってきました。私は内容が面白かったので「是非お会いしたいです。いつでも会社にいらしてください。」とメールしたら、「私は行けないが、来てくれたらお会いしましょう。」と返事がきました。
なんて上から目線の人なんだろう!と思ったけれど、そこも面白いし、彼のアイデアの話しを聞きたくで会いにいくことにしました。
出会ってみたら、車椅子に座っていて、右手の指が3本だけ少し動き、それで小さなトラックパッドを動かして mac を使っていました。なるほど、これでは藤沢まで会いにくるのは難しいなと納得しました。
彼との出会いは、彼が学会で発表した中で触れています。
今回のITヘルスケアのテーマ、「ICTデータから見えてくる医療・介護・ヘルスケア連携の近未来」に沿って、予想図のひとつになり得るのは、「障害者の活躍が珍しくない社会」です。
社会から必要とされ、その場で力を発揮したいと思う気持ちは健常者も障害者も同じで、生きがいになるからです。
重度障害者の社会参加の可能性 〜当事者の立場から〜
城本大輔 2016年5月22日 ITヘルスケア学会
https://yui.fi/activities/research/20160522-daisuke-shiromoto/
実際、彼と出会うまでは、彼が身体を自分で動かすのが難しいことは知らなかったし、出会ってそれを知った後に彼との関係性が変わったかというと、それはないです。この場合、彼は病気ではあると思いますが、障害があるとはあまり意識していませんでした。
彼もまた、私の最終学歴がなにであるか、どの企業に属しているかといったことに興味があったのではなく、私のものの見方・考え方に興味を持って付き合ってくれていると思います。
目指す社会は、当たり前の社会
人は、興味のあることしか目に飛び込んでこない。
ICTが、社会にある障壁を解消するのに役立つ。
相手に興味をもって一歩近づけば、相手も一歩近づいて、話しをすれば誤解や偏見がなくなり、差別もなくなる。
城本さんが言っていた「障害者の活躍が珍しくない社会」は、城本さんが実際に自然にやっていることでした。
一方で、世の中には根深い差別が続いてきていることも知りました。でも、それを糾弾して罰するよりも、城本さんのようにさらりと どうしたらいいのかを実践して見せていく ことが良い方法だと私は思います。彼はそれを見せようとして頑張っているのではなく、自分の状況でできることを見つけて、自分らしく気負わずやっているだけだろうと思います。
これもまた、大切なのは機械ではなく機会、であると感じています。
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