A天丼と指伝話文字盤
お昼によく買いにいった揚げ物屋さんの天丼弁当は、エビ・イカ・キスの3種類の天ぷらがのっていました。キスをかき揚げに変えてもらえないか?と毎回頼んでました。差額の30円でボリュームアップできるのが良かったです。同僚もそれを見て同じ注文をするようになりました。
馴染みになったおばちゃんは、そのイレギュラーな組み替えに笑顔で応じてくれましたが、時々パートに入る別なおばちゃんは、毎回説明が必要だし代金の再計算をするので時間がかかりました。
A天丼登場
そこである日、おばちゃんに「A天丼と言ったらエビ・イカ・かき揚げの天丼ということにしたい」と提案して認められ、それからは注文が楽になりました。
お昼時はお店が混雑するので、テキパキ済むのは良いことでもありました。同僚が一人で買いに行っても「A天丼ください」の一言で済むから楽になったと言ってました。他のお客さんに「それはなに?」って顔でみられる時がありましたが、お馴染みさんの特権のような感じがちょっと嬉しかったです。
指伝話文字盤の使い方
先日、多系統萎縮症の奥さまとの会話に指伝話文字盤を使ってる方とお話しをしました。五十音表から文字を一つ一つ選ぶのは大変だから、1は口元を拭く、2は体の痛み、3は電気、というように、数字を選んだ時の用事の取り決めを奥さまとしているそうです。
なるほど、その使い方は思いつかなかった!
単に伝達を効率化しているだけではなく、阿吽の呼吸のような会話がそこにあるようです。「1」を選んだら「1は口元を拭くだったね」と言いながらタオルを持つ旦那さん。うちの旦那はよくわかってくれているという安心を感じられる時でもあるようです。二人きりの秘密みたいで、いい感じでしょう?
食事の時に文字盤を使うのは大変だから「美味しいはウインク1回、美味しくないなら目をつぶる」と決めておいたりします。ウインクしてくれたら「美味しい?よかったー。今日のは少しとろみをつけて肉の旨味が逃げないようにしてみたんだ」なんて会話が始まります。そしたら目をぱちぱちさせたりして。
「そんなに美味しい?」
「(いや、目にゴミが入ったみたい)」
「涙がでてきたよ」
「(確かに。泣けば取れるかもしれない)」
なんて会話になったり。
用事を伝えるだけでなく、会話を楽しむのがコミュニケーションだと思います。