【スキル】英語プレゼンが死ぬほど苦手なあなたに僕の「秘密の極意」を共有します
シンガポールの高層マンション。窓の外には、スコール上がりのむせ返るような熱気が渦巻き、街の喧騒を包み込んでいた。冷房の効いた部屋で、僕は氷の溶けかけたアイスコーヒーを一口飲む。苦味が喉を通り過ぎると、遠い記憶が蘇ってきた。それは、まるで底なし沼のような深淵を覗き込むような、奇妙で不可解な出来事だった。
あれは僕がまだ社会に出たばかりの頃、東京でサラリーマンをしていた時のことだ。僕はと言えば、生まれついての引っ込み思案で、人前で話すとなると、心臓がバクバクと高鳴り、冷や汗が止まらない。会議で意見を求められると、喉がカラカラに乾き、声も出ない。しまいには、頭が真っ白になって、思考停止状態に陥ってしまう。まるで、深海魚が水面に引き上げられたかのように、僕は社会という大海原で息苦しさを感じていた。
そんな僕が、なぜ営業職にほど近いプリセールスエンジニアになろうと思ったのか?それは、まるで、草食動物が肉食獣に進化するかのごとく、自分でも理解できない突飛な発想だった。きっかけは、Hewlett-Packardでソフトウェアエンジニアとして働いていた新卒時代に遡る。当時の上司である部長は、技術部門の部長でありながら、まさにプレゼンテーションの天才だった。彼は、どんな難解な技術的な内容でも、まるで落語家のように面白おかしく、そしてわかりやすく説明することができた。僕は、彼のプレゼンテーションを聞くたびに、まるで魔法にかかったかのように、引き込まれていった。技術仕様などのドキュメントを書かせても、彼に右に出るものはいなかった。顧客のリクエストを、まるで機械で整形作業をするように読みやすい文章に変身させてしまう、魔法使いのような芸当だった。
「いつか、僕もあんな風に、すばらしい文章を書けるようになり、人前で堂々と話せるような人間になりたい。」
そう思った僕は、いても立ってもいられなくなり、Microsoftのプリセールスエンジニア職に転職した。僕が退職の決意をその上司に打ち明けた時、彼はあまりの衝撃だったのか、挙動不審で目が泳いでしまい、タバコに火をつけてくわえながら、次のタバコに火をつけていたのを、今でも鮮明に覚えている。僕に期待してくれていた彼には申し訳ないことをしてしまったと思うが、僕には僕の人生があるので、受け入れてほしい。そして、Googleで多くのメンバーを抱える組織の責任者になった現在、僕はどれだけ優秀でチームに欠かせないメンバーであったとしても、彼ら彼女らのキャリア形成のサポートや門出は惜しみなくさせていただくようにしている。
プリセールスエンジニアの世界は、まるでジャングルのように奥深く、様々な種類のエンジニアが存在する。顧客の技術的な窓口として、営業活動をサポートするアカウントプリセールスエンジニア。特定の技術分野の専門家として、営業活動をサポートするスペシャリストプリセールスエンジニア。僕は、自分の専門知識を人に伝えられる人間になりたいと思っていたので、スペシャリストプリセールスエンジニアの道を選んだ。それは、まるで、暗闇で自分の進むべき道を見つけたかのような、確信に満ちた選択だった。
それからというもの、僕は数々のプレゼンテーションを経験してきた。数十名規模の小さな講演から、数千名、時には1万人以上の聴衆を前にした大規模な講演まで。今でこそ緊張することは全くなくなってしまったが、当初はプレゼンテーションのたびに、僕は緊張と興奮で、まるでジェットコースターに乗っているかのような気分だった。
しかし、どんなに緊張する場面でも、僕は常に心がけていたことがある。それは、「聞き手を飽きさせない、面白いプレゼンテーションをする」ということだ。僕は、難しい技術的な内容でも、まるで漫才師のように、ユーモアを交えて説明することを心がけた。例えば、生成AIのプロンプトエンジニアリングを説明する時は、妻に買い物をお願いするシチュエーションと生成AIに問いかけるべきプロンプトが同じであることを説明する。
「もし、あなた(妻)が夫に『きゅうりを買ってきて』とだけ頼んだらどうなると思いますか?もしかしたら、夫はデパートに行って、1本数百円もする高級きゅうりを買ってくるかもしれません。でも、そんなきゅうり、毎日食べられますか?そんなの、まるで、毎日ステーキを食べているようなものです。贅沢すぎますよね?」
こう言って、聴衆の笑いを誘う。そして、続ける。
「だから、夫にきゅうりを頼む時は、こう言うんです。『ねえ、仕事の帰りに先週末に一緒に行った近所のフェアプライス(シンガポールにある庶民のスーパー)できゅうりを買ってきてくれない?あ、でも、普通のきゅうりでいいのよ。3本2ドルくらいのやつね。もし、もっと安いのを見つけたら、そっちを買ってきてくれてもいいわ。あ、あと、できれば6本くらい欲しいんだけど。もし、3本で2−3ドルだったら、2セット買ってきて。』こうすれば、夫はあなたの意図を正確に理解し、無駄な買い物をすることはありません。まるで、あなたの頭の中を透視したかのように。」
このように、僕は常に、聞き手の立場に立って、わかりやすく、そして面白いプレゼンテーションを心がけてきた。その結果、僕のプレゼンテーションは、「参考になった」よりも「面白かった」という評価を多くいただくようになった。それは、まるで、砂漠で花を咲かせたかのような、喜びだった。
そして、僕は、ある時、英語でのプレゼンテーションでも、このユーモアを交えたコミュニケーション手法が有効であることに気づいた。英語が苦手な僕にとって、英語でのプレゼンテーションは、まるで、エベレストに登るような、困難な挑戦だった。しかし、僕は、ある秘策を思いついた。それは、プレゼンテーションの冒頭で、自分の英語力について、自虐的に触れることだった。
「今日はいくつかお話を聞く機会がある中、この最も難しいプレゼンテーションにご参加いただきありがとうございます。その理由を最初に説明します。ここまでの少しのお話を聞いてお気づきかもしれませんが、私は英語が苦手です。今日のように英語でスピーチをするようなことなんて考えたくもありません。でも、今から苦労するのは、苦手な英語でスピーチする私ではありません。それを聞いて理解しなければならない皆さんです。がんばってついてきてください。では、自己紹介からはじめます。(ここから元気よく)改めましてはじめましてー!◯◯のよっしーです!」
こう言って、僕は聴衆に頭を下げる。すると、会場からは、温かい笑いと拍手が沸き起こる。そして、その瞬間、聴衆と僕の間の距離感はぐっと縮まる。なぜなら、この自虐的な自己紹介は、聴衆の心を和ませ、僕に対する親近感を持たせる効果があるからだ。そして、彼らは、僕のつたない英語にも、真剣に耳を傾けてくれるようになる。僕が初めてこの方法を取り入れたのは、コロナより前ではあるが、シンガポールにあるマリーナベイサンズの中の数百名くらいのステージだった。まるで、言葉の壁が消え去ったかのような、不思議な感覚だったのを今でも覚えている。
プレゼンテーションの目的は、情報を伝えることだけではない。聞き手の心を動かし、共感を得ることこそ、真の目的と言えるだろう。そして、そのためには、ユーモアや人間味あふれる語り口が不可欠なのだ。それは、まるで、音楽で人の心を揺さぶるかのような、芸術的な行為と言えるだろう。
シンガポールの高層マンション。窓の外には、夜空に輝く星々が、まるで宝石のように煌めいていた。僕は、アイスコーヒーを飲み干すと、静かにベースギターを手に取った。指が弦に触れると、あの頃の記憶が、まるで音楽のように流れ始めた。それは、苦くて甘い、忘れられない記憶だった。
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