【教育】インターナショナルスクールのあれこれ① 『親に求められる英語力』
シンガポールの高層マンション。窓の外には、濃い藍色の熱帯夜に、宝石のように煌めく高層ビル群の光が、果てしなく広がっている。まるで、SF映画のワンシーンに迷い込んだようだ。
僕は、氷が溶けかけたアイスコーヒーをゆっくりと回し、その表面に映る自分の顔をぼんやりと眺めていた。シンガポールに来て約10年。子供たちは3人とも、この国のインターナショナルスクールに通っている。
日本で生まれ育った僕にとって、インターナショナルスクールは、遠い異国の地の、まるで蜃気楼のような存在だった。英語もろくに話せない僕が、まさか子供をインターナショナルスクールに通わせることになるとは。人生とは、実に不思議なものである。
子供たちがインターナショナルスクールに通い始めた頃は、不安でいっぱいだった。英語の壁、文化の違い、教育方針の違い…。わからないことだらけだった。あの頃は、毎晩のように妻と話し合ったものだ。「本当に、これでいいのだろうか」と。
それでも、子供たちは驚くほど速やかにインターナショナルスクールの環境に馴染んでいった。まるで、水を得た魚のように。子供たちの成長を目の当たりにするたびに、僕は自分の小ささを痛感する。そして、同時に、大きな喜びを感じる。
この10年間、僕はインターナショナルスクールに通う子供を持つ親として、様々な経験をしてきた。楽しいことばかりではなかった。むしろ、辛いことの方が多かったかもしれない。
英語が苦手な僕は、そもそも学校に入学願書を送るところから苦労をしたし、入学してからも学校からの連絡や書類を読むのに苦労した。保護者会やイベントでは、他の保護者との会話に戸惑い、孤独を感じたこともあった。
それでも、僕は諦めなかった。子供たちの未来のために、僕は必死で英語を勉強した。夜遅くまで、単語帳と格闘した。オンライン英会話で、外国人の先生と必死に会話した。休日は、子供たちと一緒に英語の絵本を読んだ。その結果、少しずつだが、英語でコミュニケーションをとれるようになってきた。
もちろん、今でも完璧ではない。それでも、子供たちの学校生活をサポートするために、僕はこれからも英語の勉強を続けていきたいと思っている。
幼稚園時代(K1, K2, Grade 1)
幼稚園の頃は、とにかく学校に呼び出されることが多かった。授業参観、保護者会、文化祭、誕生日パーティー、クラスパーティー、プレイデート…。
これらのイベントは、他の保護者と交流する貴重な機会である。しかし、英語が苦手な僕にとって、それは同時に苦痛の場でもあった。人見知りで、おしゃべりでもない僕が、見知らぬ外国人の保護者と英語でコミュニケーションをとる…。それは、まるで、裸で街を歩くような恥ずかしさだった。
それでも、愛する子供のため、僕は勇気を振り絞って、英語で話しかけた。
「Hello. My name is…」
たどたどしい英語。それでも、相手は笑顔で答えてくれた。
「Nice to meet you.」
その瞬間、僕の心は、少しだけ軽くなった。子供たちの笑顔を見るたびに、僕は「頑張ってよかった」と思えた。
小学校時代(Grade 2 - 5)
小学校に上がると、学校に呼び出される回数は減ってくる。しかし、それでも、学校行事や保護者面談などで、英語を使う機会は多い。また、この時期になると、子供同士のトラブルも増えてくる。些細ないざこざから、深刻ないじめまで…。
そんな時、親は子供のために、先生や他の保護者と英語で話し合わなければならない。時にはこのnoteの分量より遥かに長い英語の長文メールを書かなければならないこともある。
慣れない英語であっても、冷静に、丁寧に、そして論理的に、自分の意見を伝える。それは、容易なことではない。しかし、子供を守るためには、避けては通れない道だ。
僕は、子供がいじめられたことで、先生や他の保護者と話し合ったこともある。最初は、うまく伝えられるか不安だった。しかし、子供のことを思う一心で、数十枚に渡るプレゼン資料を作って持っていき、先生が理解するまで説明し続けた。大切な子供の親として、必死に自分の訴えを代弁したのだ。その結果、先生や他の保護者に理解してもらうことができ、問題は解決した。
この経験を通して、僕は「英語で自分の意見を伝えること」の大切さを学んだ。日本人だから黙って見過ごす、そんなことをしていては、グローバル社会では生き残れない、僕は仕事をする中で、誰よりもそれを痛感してきたのだから。
中学校、高校時代(Grade 6 - 8、Grade 9-12)
中学校、高校になると、学校に呼び出されることはほとんどなくなる。しかし、保護者面談は、各科目の先生と個別に行われるようになる。僕の子どもの科目担任は全部で9教科9名だ。
つまり、この9人の外国人教師と、英語で面談をしなければならないのだこれは、幼稚園、小学校時代とはまた違った難しさがある。各科目の先生は、それぞれの専門分野のエキスパートである。彼らは、専門用語を交えながら、子供の学習状況について説明する。それを理解し、適切な質問をするためには、僕にもある程度の専門的な英語の知識が必要となる。
子供をインターナショナルスクールに通わせるために必要な親の英語力は、子供の年齢や学校によって異なる。しかし、どんな場合でも、英語ができないよりは、できた方が良いに決まっている。
英語が得意な保護者は、子供たちの学校生活をよりスムーズにサポートできるだろう。英語が苦手な保護者も、諦める必要はない。僕のように、必死で格闘すれば、必ず英語力は向上するし、何があっても対応できるようになる。子供たちの笑顔のために、そう思えば、たとえ話せない英語であっても、話せるようになるのだ。
インターナショナルスクールでの生活は、決して楽ではない。しかし、それ以上に、得るものは大きい。子供たちは、多様な文化に触れ、国際的な視野を育むことができる。親もまた、子供たちを通して、様々な国の人々と交流し、新しい価値観を学ぶことができる。インターナショナルスクールは、子供たちにとって、そして親にとって、かけがえのない経験となるだろう。
今回は、インターナショナルスクールにまつわる話の中でも、最も大前提となる「親の英語力」について、僕が通ってきた道を書いてみた。僕はこの分野ではそれなりに経験してきたので、他にもインターナショナルスクールの魅力、有名インターナショナルスクールへの入学方法、日本の教育との違い、学校にかかる学費と学校以外で必要な費用、子供の英語力の伸ばし方、子どもの日本語力の維持など、意外とnoteにできるものが多い。
上の子が約10年インターナショナルスクールに通っているということは、僕もインターナショナルスクールの保護者を10年近くやっていることになる。どおりで白髪が増えてきたわけだ。
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